板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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経営経験者からみた投資 第6回「失敗から得られるもの」


(毎週火・木曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所の渋谷です。

前回予告しました通り「経営者」シリーズは前回で終了し、今回からは「ベンチャー失敗から投資家へ」というテーマで、僕の経験談などをまじえて書いていきたいと思います。
(本日の話題も含み損に関係する話です)
このブログの読者の方には、実際に株式投資をされている方も多いと思います。
ここのところ株価は全体的に大幅に下がっていて、心労をお持ちの方も居られるのではないでしょうか。

実は僕のポートフォリオも大幅な含み損を抱えており、昨日(9月12日)終値時点で、8月17日の大暴落後の含み損をもさらに上回ってしまっています(泣)。
その額はこれまで投資をして来た中での、最大金額です。

もちろん決して気分が良い訳ではありませんが、特に慌てる訳でもなく、比較的平静を保っています。

では、そうしていられる理由についてですが、読者の皆さんはもうお分かりですよね。
そう、「自分自身が下した価値判断に対して、ある程度の自信を持っている」からです。
株価の乱高下に翻弄されたり、含み損に対する不安、それに下手な損切りによる後悔などから開放されるために、皆さんも是非、自信を持って「企業価値」を算定できるスキルを身につけられることをお奨めします。

ちなみに、僕が買い増しをしたい会社(銘柄)については、まだ「買い増したい価格」までは下がって来ておらず、また新規に「どうしても手に入れたい会社(銘柄)」に至っては、買いたい価格どころか、最近は更に大幅に値上がりしています(笑)。

しかし僕自身には、「価値算定に対する自信」より、さらに大きく、心強く、平静でいられるための「心の支え」があります。
それが何かわかりますか?











正解は、「失敗の経験」と、そこから「這い上がった経験」です。

僕がベンチャーの経営に失敗した時、それまでやっていた事業でコツコツ貯めてきた全財産の殆どを失いました。もちろんその額は、現在の「含み損」より、何倍も、遥かに大きな金額です。

幸いにもベンチャー起業前に「社長失格」を読んでいたお陰で、銀行借入による資金調達はしていなかったので、当事務所代表の板倉さんが以前に受けたダメージに比べると微々たるものでした。

しかし失った金額は、普通のサラリーマンの方などからすると、決して小さい金額ではなかったと思います。

そのベンチャーを始めると決断した時に、「もし失敗しても、また1からやり直せばいい」と考えていました。そして失敗が決定的となった時にも、後悔の念よりも、むしろ「他人と違ったすごくいい経験ができた」という思いの方が強く、結構さばさばした気分でした。

そういう考えがあったからこそ、その後またコツコツと勉強し、努力することによって、失敗前の状況よりも、さらに自分として「満足できる状況」を手に入れることができたのだと思います。

それらの「失敗~這い上がり」の経験が、現在の自分の大きな自信に繋がっている訳です。

ですから今回の一連の株価下落に関しても、もし結果的に自分の価値算定が間違っており、損失がさらに大きく膨らみ、最終的にその大きな損失が確定したとしても、多分それはベンチャー失敗で失ったほどにはならないだろうし、もし仮にそうなったとしても、失敗の原因を真摯に学び、また同じように「1からやり直せばいいや」と考えると、それが大きな「心の支え」になるのです。

当事務所代表の板倉さんも、僕なんかとは比べものにならないぐらい、大きな失敗と挫折から這い上がった経験をお持ちなので、今の状況があるのだと思いますし、あのウォーレン・バフェット氏でさえも、これまで何度も手痛い失敗を経験されているようです。

幸い投資家という職業は、プロスポーツ選手などと違い、70歳を超えてもまだまだ、死ぬまで続けられる職業です。いくらでもやり直しはきくので、そう悲観する必要はないと考えています。

そして人の価値の根源は、決して「保有資産額」にあるのではなく、それぞれの人の「自分自身」の中にあるのだと思います。

2007年9月13日  T.Shibuya
ご意見ご感想、お待ちしています!
経営経験者からみた投資 第5回「投資対象企業をみる~経営者編(5)

PS)
僕は普段「起業をめざす人」に対して、その人があまり見えていないであろう、経営者の「重圧」や「苦労」の部分を語り、「止めておいた方が良いんじゃないの」的な話をすることもあります。

しかし、それでもやりたいという人には、積極的にどんどんチャレンジしてもらい、失敗も含めて色々な経験を積むのが、結果的には大いにその人にためになるんだろうなと、最近考えています。

一方明らかに、「起業」や「経営者」に向かない人が、「中途半端」に成功してしまうと、最も不幸な状況を生むのではないか、とも思います。
(どういう人が経営者向きで、どういう人がそうでないかは、また別の機会に書きたいと思います。)

PS2)
先日、自分のブログで、以下のように書きました。

『参加したいと思うセミナーに投資するかどう迷っている人は、投資対効果を測りかねて迷っているというより、「投資額を必ず回収するぞ!」と、自分自身に「コミットするかどうか」を迷っているという事ですよね。』

当事務所の合宿セミナーは、もちろん殆どの「向上心ある方」にとって、大幅に「価値>価格」であると確信していますが、
・ セミナー価格以上の価値を「絶対に回収するぞ!」という考えをお持ちの方
・ 万一セミナー内容に不満で、「セミナー価格を支払って失敗だった」としても、その程度の失敗は、「すぐにその後の自分の努力で取り返してやるよ!」という気概をお持ちの方
も含めて、合宿セミナー(東京/大阪)へのご参加をお待ちしております(笑)





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