板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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セミナー卒業生のその後 第3回「卒業生による超便利ツール」

こんにちは。パートナーの渋谷です。

低迷している株式市場ですが、底を打ったのでしょうかね?

僕個人的な感覚としては、この先(主に米国など)のリセッションによる日本企業の業績悪化を、市場は織り込んだのではないかと思っています。

これから3月決算発表のピークを迎える訳ですが、今期予想業績に関して市場の大方の予想通り弱気であれば、(それを織り込んでいると考えているため)そう大きく下げはしないが、底這い状況でしばらく低迷、そうでなく案外好業績予想が出れば、株価は持ち直すのではないかと個人的には予想しています。


さて今回は、卒業生が作った「超便利ツール」に関するお話です。


皆さんが企業価値評価を行う上でのネックは何ですか?
当然「知識」ということもあろうかとは思いますが、それは学習することによって得るしかないですよね(笑)。

僕は当事務所の企業価値評価セミナーを最初に受講後、初めて独力でバリュエーションを行おうとした時、対象企業の財務諸表を「欲しい形で」得るのに大変な苦労をしました。
確かにEDINETや会社のIRホームページから有価証券報告書などの書類が、PDFなどの形式で簡単に得ることはできます。

しかしその数値をもとにバリュエーションを行うには、様々な分析や加工をする必要があります。それには、そのためのツール・・・そうExcelに数字を落とし込まないといけないのです。

最初はPDFから数値をExcelにコピペして、欲しい形にするために体裁を整えようと試みましたが、そうしたところ1社の数値をきちんと整えるのに2時間近くもかかってしまいました。

そうなると、数値が揃った段階で既に気力も集中力もなくなってしまい、もうバリュエーションどころではありませんでした。

その後、財務諸表をExcelに落とし込むには、PDFからコピペするより、必要な数値を直接転記入力する方が、遥かに速くて効率がいいと気付きましたが、何か原始的で納得いかない上、それでも相当に手間がかかる作業であることには変わりありません。

僕の想像ですが、そもそも財務諸表を公表している上場企業は、多分Excelなどを使ってその公表数値を整えている企業も多いと思いますので、それを何故わざわざ手入力する必要があるのだろうと不条理を感じていました。


ここで少し余談ですが、この4月以降にEDINETで公表する数値は、XBRLという標準化されたフォーマットを使って行う事が義務付けられ、XBRL化がスタートしました。しかし現段階ではこれは全く使い物になりません。
なぜなら、例えば3月決算の会社なら最初にXBRL形式で報告を行うのが、今期の業績開示からであり、過去分の数値に関しては対象外だからです。
つまり、今後の数値は徐々に標準化されて蓄積されていきますが、バリュエーションに必要な過去5期分ぐらいの数値が揃うのは、まだ5年以上先になるからです。
これまでのEDINETもそうですがこの新しいシステム自体も、投資家への利便性の提供というより、新システムの導入にお金を使うのが第一目的の「お役所仕事」であるのではないかと疑いたくなります。


少し話がそれましたが、そういう手間隙がかかる作業の煩わしさを、一気に解決できるツールを、ある卒業生の方が作ってくれたのです。


その「企業価値評価支援ツール」という名のツールはExcelのマクロを用いて、上場企業が開示している貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)の財務3表を、ネット上から過去5期分にわたり自動的に「瞬時にして」取得することができます。

それだけでも非常に便利なのですが、さらに取得したデータを用いて、過去業績を自動でグラフ化することにより、対象企業の業績や財務状況のイメージが瞬時にして掴めます。

例えばこういう具合です。

年度別BSの推移0001.jpg

 

売上高推移
0002.jpg

 

簡易キャッシュフロー推移0003.jpg

 

原価率、販管費率、営業利益率の推移0004.jpg  
 

その他にも、過去2年、5年、10年の株価チャート、投下資本利益率(ROIC)推移、投下資本回転率推移などもグラフで表示します。

そしてさらにその上、バリュエーションの計算シートに必要な数値が自動的に展開され、事前に入力可能な計算式も全て入力されています。

そのため、実際にバリュエーションを行うために必要な作業は、幾つかの必要なパラメーターを入力するのみとなります。

ですからざっくりであれば、1社あたり3分から5分程度あれば、バリュエーションが完成して「理論株価」まで出せる訳です。
それも「PER」なんてサルでもわかるいい加減な計算方法ではなく、きちんとしたエンタープライズDCF(Discount Cash Flow)法を使ってのバリュエーションです。


僕自身はこのツールのお陰で、企業価値評価を行う上での劇的な効率化ができました。


その上、さらにバリュエーションの数をこなす事が可能になったため、かなりのスキルアップにも繋がったと考えています。
もちろん僕だけでなく、このツールを使っている多くの卒業生の方も同様の価値を得られたと思います。

また、この企業価値評価支援ツールは「卒業生発コンテンツ」という位置付けのもと、当事務所と作成された卒業生の共同事業の形で、規模は小さいですが「ビジネス」としても成立しています。

つまり我々と卒業生は、単なるセミナー提供者と客という関係なのではなく、共同のコミュニティメンバーであるとともに、この例のように機会さえ存在すれば「ビジネスパートナー」ともなりうる訳です。


当エッセイをお読みの方も、今回ご紹介した「企業価値評価支援ツール」を使って、効率よくバリバリと色んな企業のバリュエーションを行ってみませんか。
現在、卒業生対象のプレミアクラブ会員へのサービスメニューとして、このツールを提供しております。


このツールを正しく使いこなすには、もちろん企業価値評価の正しい知識が必要となります。

ご興味のある方は是非セミナーを受講いただき、「知識」や「ツールの利便性」のみならず、我々のコミュニティに参加することによって得られるであろう「価値」も受け取っていただきたいと思います。


2008年4月22日  T.Shibuya
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