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ITAKURASTYLE「安倍首相突然の辞任」


有利子負債を抱える個人事業主が、安倍首相の「自分が辞めた方がいい」という主張を聞いて、一体どう思うのか、僕には興味があります。
業績不振の個人事業主の多くは、心のどこかで、
「自分じゃだめだな、他にもっと優秀な人間が経営にあたるか、
 事業をたたむのが、本当はベストな選択だよな」
と思っているケースは、きっと多いと思います。
しかし一方で、
「とは言え、個人保証した借金もたくさんあるし、
 事業再起への公言を信じてついてきている従業員や株主も居るし、
 まさか自分から辞めるなんてことはできないよな」
という想いから、必死でがんばっているのではないでしょうか。
事業が不振でなかったとしても、
「そろそろ疲れてきたな。
 この事業を今後担ってくれる優秀な人間に、
 今の内に交代できたらいいのになぁ」
と思う人も、居ないとは限りません。
そんな想いを抱く「民間経営者」にとって、
「僕じゃない方がどうやらいいらしいから、辞めます」
という説明にならない説明によって、一国のトップの座を退く人を見て、
腹立たしく思う人も居るでしょうが、
本当は、
「そんな簡単に辞められたらいいよな。俺達にはそんな選択肢はない」
と思っている場合が多いのではないかと思います。
一民間企業の経営者は、辞められない。
しかし、
一国の首相は辞められる。
なんて不条理なことか。
今回の安倍首相の突然辞任がもたらす直接の弊害はメディアが表現しているように、たくさんあると思います。
しかし最も重大な弊害は、「国民の政治家(全体)に対する信頼の喪失」だろうと思います。
「あいつら、うまくいかなかったら、辞めれば良いわけじゃん」と。
もし、体調が思わしくないのであれば、それを有権者に対してしっかり説明すべきだと思います。
もちろん、有権者への謝罪を含めて。
しかし、民間経営者の場合、たとえ命に関わる病気だとしても、「だから辞めます」とは言えないですよね。
命に関わる病気だとしても、債権者は執拗に迫ってきますから。
小泉元首相の再任が一部で期待されているようですが、
安倍「元」首相を実質的に選んだのは、他でもなく小泉元首相ですよね。
政治って、こんなんでいいのでしょうか?
誤解を恐れずに表現すれば、「政治家っていいよね」(笑)
2007年9月13日 板倉雄一郎
PS:
僕だって、自分の名前を担保にした今の活動を、
「辞めてしまいたい」と思うことが全くないわけではありません。
しかし、そう思うたびに、
「けど、僕を信頼してセミナーに来てくれた(くれる)人がたくさん居るし、
 自分の力をすべて使い果たしたわけではないから、
 周囲のすべての利害関係者が、
 『お前もう辞めろ!』という事態にならない限り続けたい」
と思い直します。
そう思い直せば、「だったら楽しんでやるぜ!」と思います。
「楽しさ」は、「うれしさ」と違い、自ら積極的に参加することによってはじめて得られることですから。





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