板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「スティールパートナーズ(3)」


(本日、2本目のエッセイです。)
その後、スティールについてもろもろ調べています。
現時点では・・・
1、彼らの発言について、批判すべきところは見当たらない。
特にリヒテンシュタイン氏の発言の中にある、
「日本人は、投下資本利益率という概念をしらな過ぎる」には、
100%同感だったりします。
この発言に限らず、彼らの発言は「真っ当」だと思います。
2、彼らの過去の買収戦略とその後の対応について、
  批判すべきところはほとんどない。
一部、「結果的に」グリーンメーラーのようなイクジットを行ったこともあります。
しかし、彼らの数あるポートフォリオについて、グリーンメーラー活動を、
「主なイクジット手法」としているとは思えません。
むしろ、ITAKURASTYLE「スティールパートナーズ(2)」で書いた、
現時点での経営を前提にした場合、フェアバリューではあるが、資本効率を向上させる他の現実的な経営手法によって、企業価値を増大させうる可能性があるとすれば、それは、経営者の怠慢であり、それは、賢い「投資家且つ経営者」にとって、投資のチャンスです。
という投資チャンスを生かした投資家の部類に属すると、少なくとも現在集めた情報の限りでは判断できます。
以上から、
ITAKURASTYLE「スティールパートナーズ(1)」にて、
「情報を積極的に集めていない段階での印象」として書いた、
「グリーンメーラーとしか思えない」
という表現を撤回したいと思います。
一方、
彼らのポートフォリオであるところのブルドックソースの買収防衛策については、
経営者が、経営者の椅子を守るために、形振り構わず、
1、株主の将来のゲインの損失
(↑ 事業拡大と合理化による株主価値の最大化の機会損失)
2、株主の現在の経済価値の破壊
(↑ 経営者のための買収防衛策における弁護士費用など)
を行っていると言えます。
(この件について詳しくは、パートナーエッセイ「企業と法律」を担当する森が、後に書きますのでご期待ください。)
「スティールが真っ当」というより、
「ブルドックソースの買収防衛策がとんでもない」ということによって、
両者を比較した場合に、
「スティールが真っ当に見える」のかもしれませんケレド。
過去にこんなフレーズを、エッセイで書いたことがあります・・・
「(外資ファンドが)ハゲタカに見えるのは、
 私達があまりにもハト過ぎるからである。
 私達がハトである所以は、
 私達のファイナンスや投資に関わる知識があまりにも少ないからです。」

スティールによるブルドックソースの100%買収が成功し、
上場廃止後に、思う存分、ソースの海外展開なり、合理化なりを進め、
企業価値を最大化し、再び上場するというストーリーにて、
彼らの手腕を拝見したいところです。
もちろん、彼らが真っ当な投資家である、という前提の下ですケレド。
2007年6月20日 板倉雄一郎
PS:
ブルドックソースの経営陣は、いわゆるサラリーマン経営者なんですよね。
調べれば調べるほど、「印象」が事実と異なることって結構あります。
もちろん、調べても調べても、初期の印象が変わらないこともあります。
いずれにしても、
「調べること」と、調べたことを判断する「知識を磨くこと」は、
自らの資産を守るために、最も効果的な手段です。
ちなみに、次回の第25回合宿セミナーで採用する、
講義用個別企業は、アデランス。
ワークショップ用個別企業は、********。
(すいません、ワークショップ用は「その場の評価」を求めるため、書けません)
どちらも、スティールのポートフォリオの企業です。
次回のワークショップから、そのゴールを、
単なる「Sell , Hold , Buy」ではなく、
1、過去の財務オペレーションが合理的であったか否か
2、投資するなら妥当な株価はどれほどか
3、企業価値最大化のために具体的にどのようなオペレーションをすべきか
をゴールとすることになりました。
加えて、次回に関しては、スティールと彼らのポートフォリオの関係について、
当事務所の見解についても、その場でお伝えする予定です。
(なお、第25回合宿セミナーは、その募集を満員御礼で締め切っています。)
第26回合宿セミナーの開催は、現段階では未定ですが、
開催する日時によって、そのときのホットな銘柄を取り上げたいと思います。
開催の詳細が決まり次第、この場でお知らせいたします。
なお、セミナー開催「お知らせメール」のご登録をいただければ、
このサイト上での告知に先立って、募集の受付をいたします。
ご登録は、こちらからどうぞ。
(なお、セミナー開催告知以外の個人情報の利用は一切いたしません。)





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