板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「欲」

<想像レバレッジ>

テレビなど、公の場に出るデメリットに、視聴者の「想像レバレッジ」がある。
視聴者は、テレビに出ているその映像や声などから、
勝手に「その人物のすべて」を、想像してしまう。
テレビに出ている「瞬間」は、その人物の「ほんの一部」に過ぎないし、
そもそもその本の一部だって、「よそ行きの振る舞い」だったりもする。
なのに、観る側は、その「瞬間」をベースに、その「瞬間」を拡大しながら、
その人物の「すべて」を作り上げてしまう。

で、何かの機会に「現物」に接し、「想像と違ったわ」と、文句を言ったりする。
だから、メディアに出るほうは、つらい(笑)
僕が、編集を伴った(または、編集後のチェックをさせてもらえない)メディアへの
出演や取材を、この春ごろから断り始めた理由でもある。

断っておきますが・・・(だって、今週末レディースデイがあるし)
僕、性欲も、金欲も、物欲も、人一倍持っています。
ただし、その「欲の満たし方」については、人一倍吟味します。
性欲を満たすために、女性を騙したりしたくないですし、
(たとえば、付き合うつもりなんてないのに、
 「付き合おうよ」と口説くことはしない。)
金欲を満たすために、他人から搾取したくないですし、
(たとえば、僕が、僕の知識やアイデアを提供することによって、
 相手の価値が100増加するとすれば、
 その内の、50とか、場合によっては80とかを、いただこうとは思いますが、
 120とか、200とかをいただこうとは思いません。)
物欲を満たすために、金を使うことになるわけですが、その場合、
「お金は社会に対する議決権」であることを前提に吟味します。
ただそれだけのことで、「欲」を捨てたいとは思いません。
そういう人間です。
仙人でもなければ、僧侶でもなく、ましてマザーテレサであるはずもありません。
そのあたり、よろしくです(←なんのこっちゃ)

<欲>

「欲」って、それ自体が悪さをするわけではないと思うのです。
何に対する「欲」なのか、という点と、
「欲の満たし方」を考える知恵やモラルが大切なのだと思うのです。

だって、「社会のために何かしたい」という「欲」は、
しっかり、「本当に社会のためになるのか?」を吟味することを忘れず、
且つ、吟味できる「知識」を持っていれば、悪くないですし、
(いや、実は、知識がないと、社会のためになっていないのに、
 「社会のためになっているわぁ~い」と喜ぶ人もいるから。
 たとえば、デイトレ教えて、社会の役に立っていると思っている人、
 結構「いた」しね。)
また、「性欲」が乏しければ、「少子高齢化」が進む一方でしょ。
(↑ かなり無理がある・・・だって少子高齢化自体が悪いことだとは思わないし、
    それなりの手段で、避妊できるわけだから。)
ってことで、
「欲」自体を封じ込めることがモラルということではない、って言いたいわけです。

「自分の欲を、自分と社会のために、上手に利用する」
これって、学校では絶対に教えてくれないことですよね。
だからこそ、その方法を、自分自身で生み出してゆく必要がありますよね。
そして、それができれば、かなりハッピーですよね。

でも、「欲」を、さらけ出していることに気がつかない人もいます。

<企業家の欲>

「俺は稼いでるぜ!たんまり持ってるぜ!」と自慢する企業家(?)は、
確かに、結構持っているし、稼いでいる。
しかし、その会社の、
従業員は使い捨てだったり、
顧客には、「うまくハマりそうなうたい文句」を並べ、
大した価値のない商品を売り付け、
場合によっては、その解約にえらく金のかかる条件を付けたりして、
株主には、株主を毀損するオペレーションを実施し、
一方で、わかっていない個人投資家を惹きつけたりする。

こういう方にお聞きしたい。
「あなたが経営しているつもりの会社って、一体誰のための会社なの?」

顧客も、従業員も、株主も、すべて企業家個人の「搾取の対象」だったら、
そんなえげつない「欲の満たし方」って、他にないですよね。
そういう人に限って、公の場での振舞いは、立派なんですよね。

知識がなければ、それを見抜けないから、
知識の乏しい人が、搾取の対象になってしまうわけです。


<どんな欲の塊>

自身の「欲」を正直に表現する人って、僕は好き。
特に欲はありません、みたいな人、信用できない。
人間なんて、そもそも欲の塊だから。

2006年11月27日 板倉雄一郎





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