板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「社会に対する価値提供」

正直な話。テレビに出演するのは、楽しく無い。

活字メディアの取材でも、編集によって僕の発言の主旨が曲がってしまう可能性があるから、許される場合、全ての原稿をチェックさせて頂くので、非常に神経を使う。

僕は、静かにこのWEBや、書籍だけで様々なことを伝えていたい。

そして、心ある読者に直接接することができるセミナーを最も大切にしていたい。

それでも、なぜ大衆メディアに出演するのか?
それは、より多くの人達に経済・金融・投資の知識を伝えたいから。

では、なぜ伝えたいのか?
それは、僕には社会からの「借り」があると考えているから。

1997年12月、僕自身の度重なる経営判断ミスによって、株式会社ハイパーネットを倒産させた。

負債の大部分は、「大手銀行」だった。しかし僕は、彼ら金融機関に対し「申し訳ない」などとは、これっぽっちも思っていない。

なぜなら、彼らが僕らのビジネスに飛びつき、そして、連日押しかけ融資を迫り、しかし、数ヵ月後に、彼らの都合で強引に融資を引き上げたことが、倒産の「直接的原因」だからだ。

もちろん、本質的には、全ての意思決定権を持っていた僕に、すべての原因がある。

だから自己破産した。自己破産すれば、すべて終わりというわけではない。確かに法的には、債務はなくなったが、僕が与えた損害は、金融機関のマヌケな「経営者」が被ったのではない。

僕が与えた損害は、その金融機関の「預金者」や「株主」が被ったのである。

僕が稼ぎ、既に法的には返済義務のなくなった債務を、金融機関に返済することが出来ないわけではない。しかし、彼らの経営をよく知っている僕は、そんなことをしても、無駄に使われるだけであることを承知している。

だから僕は、僕の持てる知識や経験を、広く一般社会に伝えることによって、社会に与えてしまった損害のリカバリーに勤めたいのだ。おそらく一生、その償いは続けていく。

そのための手段は、時代と共に変化するだろう。しかし、以上の考えを変えるつもりは無い。もちろん、書籍にしても、セミナーにしても、それなりの「価格」を頂く。僕の活動を継続するために、資金は当然必要だからだ。しかし、僕が提供する「価値」 > 僕が頂く「価格」という条件が満たされる範囲で継続してゆく。

以上を、偽善と思われる読者もいらっしゃると思う。

しかし、長い人生の中で、以上が偽善ではないことを、時間をかけて証明してみせる。平和で豊かな未来の日本のために、少しでも力になりたい。

(ってか、楽しいからやってるんですけどね)

2006年1月31日 板倉雄一郎

PS:
稼いだ金から、必要経費や税を支払った残りを、僕は投資に回している。

短期の値幅取りのための投機をしているわけではない。僕が「育って欲しい」と思う企業。僕が「確かな経営者だ」と感じる企業。僕が「欲しかった製品」を作ってくれる企業などに対し、その企業価値を算出し、株主価値を算出し、株主価値 > 時価総額となるような株価のタイミングを見計らい、投資する。

この手法は、投資家としてのリスクを軽減し、リスクに対するリターンを最大化することと同時に、社会に対する議決権であるところの「カネ」の有効利用になる。

こんなすばらしいことは無い。

PS^2:
当事務所の「実践・企業価値評価シリーズ」の卒業生は、誰一人として、ライブドアへの投機を行っていない(はずだ)。

企業価値評価、経営者の評価が出来れば、投資活動においてインチキに捕まらなくて済む。インチキ企業に投資するということは、すなわちインチキに「結果的にではあるが」加担することになる。

一時的に、サヤ抜きが出来たとしても、回りまわって損害を被ることになる。

投資活動は、哲学なくして真の成功は得られない。それを多くの人に伝えてゆきたい。

PS^3:
「ええかっこしい」のついでに、僕が、歴史上最も尊敬する人物の言葉を・・・

 「人の一生は重荷を背負いて遠き道を行くが如し、
 急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし(続く)」
                    by 徳川家康





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