板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「日本人が買えばイインダヨ!」

「ジャパンパッシング」なる海外の投資家の日本株離れが観測されています。
単に、「成長力ない日本(人が顧客や従業員などの利害関係者の大部分を構成する)企業より、がっちり成長したがっている元気な新興国の方が利回りが高い」、と思っての行動なのか、
それとも、
「日本はどうせアメリカの連結子会社だから、アメリカが悪ければ全然駄目」、と思っての行動なのか、
それとも、
「日本の経営者はいまいちはっきりしなくて業績が良くても不安で投資できない」と思っての行動なのか、
(↑ 中国の方がよっぽど信頼できないと思うんですけどね)
それとも・・・
いや僕には、理由はわかりませんし、以上のように考えられるすべてが原因なのかもしれません。
しかし、東京市場の「取引の」過半数を占めるといわれる外国人投資家の行動に右往左往している現実は、確かにあります。

そこで、極めて乱暴な意見ですが、
「日本人が日本企業(←定義は上記の通り)をこの時期に買えばよいのだ!」
と思います。

僕には真偽の程はわかりませんが、この日本では、個人の金融資産がおよそ1500兆円あるそうで、そのうちおよそ半分が銀行預金なのだそうです。
一方で、上場企業の時価総額は、500兆円前後ですから、

「全部日本人個人の金融資産で買ってしまえばいいのだ!」

という乱暴な意見を考えてみました(笑)

呆れた方は、以下は読まなくてもOKですが・・・

企業が、その利害関係者(←顧客、取引先、従業員、債権者、国や地方自治体、そして株主)から経営資源を調達し、付加価値を創造し、創造された付加価値を再び利害関係者に配分する「仕組み」であることを考えれば、「従業員の側面としての配分を受けるだけではもったいない!」と思うわけです。
日本国民が、企業の株主としての側面においても関わることによって、企業が生み出す経済価値の配分を「もっと受けることができる」わけです。

発展途上国のように、「そもそも資本が無い」という場合は、確かに海外に資本を依存する(=海外勢が株主になる=企業が生み出す経済価値の配分の大部分を海外に持っていかれる)のは仕方が無いことですが、日本の場合は、「(銀行などを通じて)間接的にしか運用されない資金」が膨大にある、わけですから、そいつを、「せっかく労働力を提供している企業の株主になることによって、配分を俺たちでもらおうぜ」という話になって全然おかしくないのだと思います。

そもそも生きるための資源を海外から調達しなければならない日本の環境から考えれば、日本政府に税金を納め、日本人に雇用機会を提供する「(利害関係者の多くが日本人で構成される)企業」が駄目だと日本の生活者が生活できなくなってしまうわけです。
いくら現金を溜め込んでいても、モノやサービスとの交換価値が下落して(←つまりインフレートして)生活さえできなくなってしまう可能性も十分あります。

だから、「日本企業(←定義は上記のとおり・・・しつこい?)」を、日本人個人の金融資産で買いましょう!
って思うわけです。
だって、「株主の多くが外国人」ってことは、企業の株主としての配分を海外に持ってイカレテイルわけですから。
(まあ、成長段階で資本を海外に依存した中国ほどではないですけれど)

お金って、それ自体が経済価値を生み出すことは無いのです。
そのお金を、運用して初めて、経済価値が「創造」され、お金がお金を生むという結果になるわけです。

今突然そう思ったのではなく、そもそも現在の当事務所の活動理念であるところの「日本人のフィナンシャルリテラシーの向上」は、以上のような考えに基づいて行っているわけです。

すべての日本企業について「今が買いだ!」なんて、とてもいえません。
けれど、ざっくり言えば、「めちゃくちゃ割安」です。

以上は、プライスキーピングのために主張しているのではありません。
本質的な「企業が生み出す経済価値の配分」を、私たちが受け取るために主張しているのです。

その金、もっと生かしませんか!
自分自身の老後のためだけではなく、あなたの子々孫々のために。
ねぇ、お金を持っているおじいちゃん、おばあちゃん。
(↑ おじいちゃん、おばあちゃんは、絶対にこの文章を読まないと思いますけれど(笑))

とはいえ、今書いたとおり、1500兆円の大部分は、おじいちゃん、おばあちゃんに帰属しています。
で、そのおじいちゃん、おばあちゃんに、当事務所のセミナーに来てください!っては言えないですよね(笑)
だから、現実的な方法としては・・・
(1)生前贈与にかかる税を特例的に引き下げ、金融資産の次世代への移転
(2)もっとまともでインチキしない「日本株向け投信」の充実
(3)法人税の引き下げ(←これは、短絡的発想の人にとって、「金持ち優遇&貧乏冷遇」に思われがちですが、企業の国際競争力が法人税率の高さが故に失われたら、日本沈没になってしまいますし、そうなれば、貧乏はもっと貧乏になってしまいます。)
が必要なのだと思います。

僕ら日本人が、日本を買おうぜ!

(そして、多少高くついても国産を「食べよう」ぜ!)

2008年2月1日 板倉雄一郎

PS:
結局、「教育」に尽きるのだと思います。
ここでいう教育とは、πが、3なのか、3.14なのかというほとんど何の役にも立たない教育や、(先日のエッセイで書いたような)証券会社によるインチキ教育でも無く、生きていくために必要な知識の教育です。
小学校からやらなければならないと思います。
つまんねぇ?授業やってたら、そりゃ学級崩壊しますよね。

PS^2:
だから、現在の「実践・企業価値評価シリーズ」を、継続したいんです。
でも、需要が「2回連続で低迷したら(=募集が定員の半数に届かないことが2回連続したら)」続けることを断念せざるを得ません。
なぜなら、「儲からなければ活動を継続できない」からです。
お金って、つまるところ、「活動のための資源」なのだと思います。
少なくとも、溜め込むものではないと思います。

次回の第29回合宿セミナーは、今のところ、定員の半数に届いていません。
トホホです。

今だからこそ、企業価値評価が大切な時期なんですけどねぇ・・・

ニュースに神経質になって、売ったり買ったりしていると、結局ブローカレッジばかりが儲かるんですよ。
BNPパリバによるソジェン買収とかでも、ブローカレッジは、たんまり儲かるわけですから。





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