「週刊現代」(2月25日号)という雑誌を買いました。
巻頭に細野真宏の「投資の極意」なる付録がついていたので、おそる恐る読んでみました。
正しい部分もあるにはありますが、基礎的な部分で大変根本的な間違いがありました。
(例えば、配当と時価総額の関係についてなどが間違ってます。)
それにしても、基礎的なことも知らずよく本を出しますね。呆れてしまいます。
間違った理解の下、個別銘柄(NTTドコモ)の株価が「どんどん上がっていく」なんて断言してます。売れている本に本当のことが書いてあるとは限りません。
皆さん、ご注意くださいね。
そもそもこの人、塾講師としては「腕きき」らしいですが、株式投資の経験、及びファイナンスの知識がどれほどなの?そして、企業についてどれほど知っているの?
ああ(呆れるのが怖くて)この人の著書「世界で一番○○○」は、読みたくないよ。だって、そんなものを読んでしまったら、僕「間違いリスト」とかブログで書いちゃいそうだし。(笑)
以上の文章が、法的に何らかの毀損(きそん)にあたるならいくらでも戦います。僕は、間違いを大衆に広めるような者の行為を放って置く事が出来ないですから。
「知らない」ということは、怖いことです。
それは、書く方にとっても、読む方にとっても。
売れると勘違いしちゃうのですよね。
【参考エッセイ】
⇒ Deep KISS 第18号「配当と企業価値・・・再び」
⇒ KISS 第108号「配当と時価総額」
⇒ KISS 第39号「配当と株主価値」
以下、本文とは別に、ちょいと高度な話・・・
NTTグループによる、ドコモの資金の還流について・・・NTT持ち株会社がドコモ株を放出し、同じ時期にドコモが自社株買いを実施しています。
この場合・・・ドコモの株価が「その株主価値に対して相当に割安」なら、ドコモの株主にとって悪くはありませんが、その分だけNTT持ち株の株主が毀損されます。
ドコモの株価が「その株主価値に対してフェアバリュー」ならば、どちらも損得はありません。
ドコモの株価が「その株主価値に対して相当に割高」ならば、ドコモの株主は毀損され、その分だけNTT持ち株の株主が得をします。
ドコモのフェアバリューが如何ほどであるか・・・
これ実は、「おりおばオープン」でやりますよ。
ちなみに、NTT持ち株の大株主は、財務大臣=国民です。当該企業(=子会社)の支配株主(=親会社)が事業会社で、親会社の事業が「衰退期」の場合、わかってる人は、その子会社への投資は手控えるものです。
親会社が子会社の経済価値を吸い取るリスクが必ずあるからです。もちろん、あくまでリスクがあるという範囲であって、絶対に経済価値を吸い取るとは言っていませんので、あしからず。
【参考エッセイ】
⇒ KISS 第126号「学習の方法」
※)ここに自社株買いについての記述があります。
2006年2月15日 板倉雄一郎
PS:
資本市場は、受験現場ほど甘く無いです。なぜなら、受験現場は、学習の範囲が資本市場に比べ「限定的」だからです。
資本市場を理解するには、すなわち、企業、企業財務、企業価値評価、経営者の資質、企業のオペレーションと企業価値の相対的関係、マクロ経済、資本市場メカニズム、そして市場参加者の心理など、多岐にわたる知識と経験が必要なのです。
これらを「簡単な文章」で書くためには、難しい文章で書く以上の理解が筆者になければ、多くの読者をミスリードしてしまいます。
PS^2:
細野真宏さんへ
「あなたは、それなりに影響力があるのですから、
少なくとも基礎をしっかり勉強してから書いてください。
あなた自身と、あなたの読者のために。」