板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「Google」

昨日(2007年1月21日)のNHKスペシャルは、Googleについてでした。
ご覧になった方もたくさんいらっしゃると思います。

細かいことは省きますが、僕にとってGoogleは、
「むちゃくちゃ、むかつく企業!」です。

僕の著書「社長失格」を読まれた方は、気がついていると思いますが、
彼らのビジネスは、今から10年以上前に、
僕が実現したかったが実現できなかったビジネスだから、
起業家としての僕は、とんでもなくむかつくんです。
(もちろん、そのむかつきは、なしえなかった自分へ、ですが)

しかし、投資家としての僕は、「Google大好き!」です。
当然ながら彼らのIPO前から、最も投資したいと思う企業のひとつでした。
しかし、IPO前に投資することはできませんでした。
IPO後は、「割安のチャンス」をしばらく待ち、
昨年(2006年)、四半期決算の下方修正が発表され、
例によってミスターマーケットが過敏に反応(=株価下落)したとき、
僕はチャンスを逃しませんでした。
おかげで今では、
僕の外国株ポートフォリオの中で、Goolgeは、最も大きなポーションを占めます。

わずか数年で、時価総額20兆円に迫った企業Google.
しかし、
彼らの事業は、どこかの国で「一瞬」風靡した何とかドアとは明らかに異なり、
コンピュータとネットワークの「技術」をベースに、「ものづくり」をしています。
そこがすばらしいと思うのです。

その昔、「ビットバレー」なるわけのわからない集団が渋谷に生まれました。
何度か、その会合に足を運び、あるときはスピーチもさせていただきました。
が、この集団、なんとなく気に入らなかったのです。
彼らのやっていることのほとんどは、「仕組みビジネス」に過ぎず、
なんら新しい価値を提供しているようには思えなかったからです。
一方の本家本元「シリコンバレー」には、
SunMicrosystems、Apple Computer、NetScape Communications、
そしてGoogleと、「技術ベースのベンチャー」ばかりです。
(仕組みビジネスの大家(?)Yahoo!を除く。)
やはり、価値を生み出すのは、「真っ当なものづくり」なのだと、
彼らの成功は、僕をして思わせてくれます。

もうひとつGoogleのすばらしい点・・・
Yahoo!全盛の時代まで、ネットは、それまでの既存ビジネスをネットに置き換えることによる「業務効率アップ」の手段でしかありませんでした。
これをもって、「ネットは、産業革命の再来だ」という主張がまかり通りました。
僕は、そのような主張を聞くたび、「違うんだよねぇ~」と一人呟いていました。
(詳しくは、KISS第13号「ネットとは」に記載していますので、是非お読みください。)
しかし、Googleは、
僕が思うところの「ネットの未来」を、着実にカタチにしている初めての企業です。
旧態ビジネスの業務効率アップの手段としてネットを利用するのではなく、
ネットインフラを前提として、そのインフラをどう生かすか、をまじめに考えている企業がGoogleなのだと思います。
だからこそ、古い価値観に囚われないアイデアを生み出し、そのアイデアを技術によって実現しているのだと思います。
そこが好きです。

もうひとつのいいところ・・・
エリック・シュミットGoogleCEOは、「バフェットのファン」だそうです。
もう言うことありません(笑)

それでも、ちょっと「シブチン」だった僕は、
昨年の投資チャンスで、持てるすべての経済価値をGoogleへ!
とすることはできませんでした。
(実は、昨年、トヨタにも投資チャンスがありましたが、
 Googleへの投資と同様、ちょっと「シブチン」でした。)
正直、ものすごく反省しています。

「優れた経営を行う企業」は、稀で、
且つ、
「その企業の株価が割安になるとき」もまた稀です。
よって、「優れた経営を行う企業への投資チャンス」は、極めて稀です。
だからこそ、そのチャンスを見つけたら、全力で投資することが合理的です。
そうは言うものの、それを説いているものの、僕自身が「シブチン」でした。
「シブチン」の理由は、僕自身の投資対象を見る目に対する僕自身の確固たる自信が築けていないから、なのだと思います。
他人に教えているわけだから、まだまだ精進しなくてはならないと思います。

企業価値評価の知識を十分に得たとしても、
それを自身の事業や投資活動に生かす「心得」が得られていなければ、
「評論家」には成れても、「企業家」や「投資家」には成れません。
他人に何かを教える立場の人間は、
教えていることを、自ら経験していなければならないと思います。
(だから、経営をしたことが無い経営学部の教授など、
 「AVを3000本観ただけの童貞」だと思っています。
 「接合部分」のことなど何も知らないのに、良く教えられるよね。)

一方で、僕は、以上のように、「哲人」ではなく、「フツーの感覚」も持っています。
だからこそ、一般の投資家や経営者がどこで失敗するのかも経験的に理解できます。
今後も、自分が犯した失敗を、他の方が同じ失敗をしないように、経験をベースに大切なことを伝えてゆきたいと思います。

2007年1月22日 板倉雄一郎

PS:
とは言え、Googleにせよ、TOYOTAにせよ、結構、儲かってますけど(笑)

PS^2:
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(ただし、再受講プログラムは継続しますし、ひとつの可能性として、これまで同様の合宿セミナーが「最適だ」という結論に達し、これまでとさほど変わらない形式で継続するかもしれません。)

 





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