板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「ルックスルーで考える」

マグロの漁獲高が制限されることになった。
それに伴って、「完全養殖マグロ」に期待が集まっているらしい。

「完全養殖」とは、自然に存在する「若い種」を捕獲して、
大きくなるまで人の手で育てる手法とは異なり、
「卵」から、食用になるまで、完全に養殖すると言うことらしい。

で、このことをテレビのニュース番組が報道していた。
完全養殖のメリットを、近畿大学のなんとか教授が、
「完全養殖の場合、自然界から資源をとる必要が完全になくなる。」
と発言していた。
はっきりと、「完全になくなる」と発言していた。

こいつアホか!
完全養殖で使う「えさ」は、サバらしいが、そのサバは、どこから持ってくる?
もし(違うとは思うけど)、サバも完全養殖だったとしよう。
その場合、サバのえさはなんだ?
そのえさのえさはなんだ?
と突き詰めれば、やはり自然界の資源をとってきるじゃないか。
(これが流行れば、きっと「サバ」が高級魚になる。)

そんなシステムを作ったところで、「利益の配分先が変わる」だけで、
根本的な解決にはならない。
まずは、アメリカ人に、「食べ物は大切な資源」ということを、
教える必要があるんじゃないだろうか。
もちろん、私たち日本人においても。

と、思考を「ある範囲」で勝手に止めず、
可能な限り想像力を生かして、「その結果が他に与える影響は?」と、
何度も何度もネストを掘り下げてゆく必要があると思う。
限られた資源の中で、人口が増加し、
世界のあらゆることが連鎖しているわけだから、
ルックスルーという考え方は、今後非常に重要になると思う。

以上、ちょっと思いつき。

2006年11月27日 板倉雄一郎

PS:
マグロの完全養殖という手法を、否定しているわけではありません。





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