板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「納税義務」

広義では、
「国民年金への支払い」も、
「健康保険料の支払い」も、
要するに「名前が特別につけられただけの税」である。

若い世代の国民年金の支払いが滞っている。
最近ある若い世代の者とこのことについて話したところ、
「だって、皆払ってないし、使われ方に疑問があるし、自分達はもらえないし」
などと、
「一見」筋が通ったような、その実、全く持って「自分勝手」でしかない主張を聞いた。

確かに、「税の使われ方」には、多くの国民が不満を抱いているだろう。
確かに、「今の若者が支払った価格以上の年金を受け取れる可能性」は低いだろう。
しかし、その一方で、その若者のが親の加護の元、成長する過程では、
その親が、年金を受け取っていたり、健康保険の恩恵を受けているはずだ。
もし、
それらの若者が、親が過去に受け取った年金や、
これから親が受け取るであろう年金を、
すべて自分の収入によって賄うつもりがあるのなら、
彼らの主張を納得する可能性もある。
しかし、多くの彼らの主張は、
「得られる便益は受け取るが、催促されなければ支払いはしない」といった、
極めて自分勝手なご都合主義にしか、少なくとも僕には見えない。

One for all and All for one.

こんなシンプルな言葉に集約される概念を忘れてしまったら、
社会は、国家は、成り立たない。

こんな若者を育ててしまったのもまた、教育の問題であろう。

2007年1月23日 板倉雄一郎

PS:
この若者は、「極めて納得行かない」という顔で、
しぶしぶ僕の意見を取り入れていたように思えた。
しかし、根本的な問題は、
「積極的に(広義の)税を支払おうと思わせない政治にあり、
 その政治を選択した、私達世代にあるのだろう」と思う。

税制に対する文句が言えるのは、
現在のルールに従って、納税を行っている者だけの権利だろう。
その上で、議決権を行使すればいい。

PS^2:
「年金払ったって、僕達は将来もらえない」といった意見は、
ある意味真っ当な「投資感覚」である。
しかし、そんな主張によって国民年金を支払わない連中が、
その一方で、
支払う株価(=現在の確かなお金)に比べ、
遥かに小さい将来のキャッシュフロー(の割引現在価値)を、
交換している(=たとえば明らかに割高の企業への株式投資)事実があるとすれば、彼らの主張は、やはり『身勝手な自己都合」でしかない、と思える。





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