板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「お金を大切に扱う」

その昔、ある女性(←イベントコンパにゃぁ~)と軽く御付き合いしているとき、彼女に忠告されたことがあります。
僕が食事の後、テーブルにて会計を行っているとき・・・
「板倉さんは、お金を大切に扱っていない。それってよくないよ」
と。

僕は、「紙幣」そのモノをさほど貴重なものだと思っていません。
そもそも、紙幣そのものが「お金」だとは思っていません。
だから、サーバントがわかりやすいように、一枚一枚、「ポンポン」と紙幣を財布から出すわけです。
もちろん、紙幣を投げつけるわけでも、紙幣で紙飛行機を作って遊ぶわけでもありません。
ただ、至極丁寧に扱うわけでは無いと言うことです。
(↑客観的に見ても、注意されるほど紙幣をゾンザイに扱っているわけでは無いと思います。)

で、上記の彼女に文句を言われたわけです。
言うまでもありませんが、僕は彼女に幻滅し、彼女との交際をその後断ち切りました。
彼女に僕の子供と生んでいただく可能性を考えていたわけではありませんが、彼女がもし僕の子供の母親だったなら、「馬鹿な子供(=本質を見失い、カタチにばかりとらわれる人)に育てられるに違いない」と思ったからです。

「お金を大切に扱う」ということは、お金という「経済価値」を大切に扱うことが重要なのであって、お金という経済的な価値を「中央銀行が紙であらわした紙幣そのモノ」を大切に扱うことを意味しているわけではありません。

「紙幣」そのモノを大切に扱う一方で・・・
価値把握もろくに出来ないのに株式投資を行ってしまうこと、
ろくに使いもしないモノを得る事の引き換えにお金を失ってしまうこと、
たかが見栄を張るためだけにお金を使ってしまうこと、
お金に目が眩み悪徳業者の不良商品に大切な議決権というお金を使ってしまうこと、
これらの方が、遥かに「お金を大切に扱っていない」と言えるでしょう。

紙幣そのモノに、異常な執念、異常な信仰心があるのって、人として「イカレテいる」と僕は思います。
紙幣は、お金という経済価値の「証明書」に過ぎず、
お金は、価値交換の「媒体」に過ぎないのです。
大切なのは、お金という交換媒体によって交換される様々な価値なのです。

こういう「金そのモノに目が眩んだ人」というのは、
金を頂く場面では、ひたすら「ヘコヘコ」し、
一方で、お金を支払う場面では、ひたすら「偉そうに」振舞うものです。
僕は、そんな人を見ると、どれほど綺麗で可愛く見えても、一瞬にして幻滅してしまいます。
「ああこの娘、お金の本当の意味が全然わかっていないんだな」って。

「金を払う側が常に偉い」という発想は、そもそも経済的な取引の本質である「価値と価格の交換」ということが全く理解できていないのでしょう。
金を払う一方で、価値を頂いているわけであって、単なる「価値と価格の交換」に過ぎないのです。
お金に唯一の価値基準を求める人・・・みっともないですよ。
それこそ「金にガツガツした人間」ですよ。

2006年5月20日 板倉雄一郎

PS:
「お金を大切に扱う」ということは、すなわち「経済の仕組みを理解する」ということに他なりません。
経済に対する理解に対し、時間やお金を惜しむことが、お金をゾンザイに扱うということです。





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