板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「村上会見」

「儲けることが何が悪いんだ!」
「この国は、おかしくなっている!」
と、発言していました。

儲けることが悪いのではなく、
他人が創り上げた価値を奪い取ることによって儲けるから、
だから、彼が期待するほど評価されないのです。

(ってか、村上ファンドは、単なる「グリーンメーラー」に過ぎません。
 グリーンメーラーを高く評価する国など、どこにもありません。
 腕利きのグリーンメーラーを高く評価するのは、
 そのファンドへの出資者だけなのです。
 グリーンメーラーとは、要するに企業の「寄生虫」です。)

「社会に対してたくさんの価値を提供した結果として大儲けする人」を、
我々日本人は受け入れるでしょう。

この国は、確かにおかしくなっている部分はあります。
それは、
村上氏のような人間の行動の「本質」を見抜ける人間を、
これまで教育してこなかったことが原因であって、
村上氏自身が認められないから「おかしくなっている」わけではありません。

もし彼が、
「株主を軽視する企業をたたきなおす」という当初の理念を、
持ち続けられれていれば、きっと評価されたのに、と思います。

さらに、
「才能のある人間を生かさないことが、この国のためになるんでしょうか!」
などとも発言していました。
「振り込め詐欺」だって、「ねずみ講」だって、ある意味「才能」です。
どんな才能でも「国のためになる」わけではありません。

確かに、株主を軽視する経営者の襟を正した、という「功」はあったと思います。
しかし、その「功」のための彼の手段が、最も合理的であったかどうかは疑問ですし、
そもそも、「奪い取るためのイイワケ」にしか聴こえません。
事実、村上ファンドの儲けは、「経済価値を生み出した結果」ではなく、
投機先企業の現金の配当による引き出し(=企業価値の取り崩し)と、
村上ファンドに群がる投機家への「高値売り抜け」による儲けに過ぎません。


私たちの国は、欧米とは事情が違います。
何が違うか・・・生きていくために重要な、
食料、エネルギー、防衛を、外部に依存している点が違うのです。
私たちの国は、それらを調達するために、外部に対し、
自動車、家電、プラントなど「価値ある商品」を提供し、資金を稼ぎ、
その資金で必要な資源を買ってこなければならないのです。
内部での「奪い合い」をしている場合ではないのです。

「出る杭は打たれる」と、簡単に解釈できることではない、と思います。
奪い合い、は、継続的な成功を得られません。
なぜなら、「多くの人の応援」が得られないからです。
「出すぎた杭」も、それが社会に対する価値提供を伴っていれば、
それを「打つ国民性」では無いと、僕は信じています。

2006年6月5日 板倉雄一郎

PS:
僕は確かに10年前に「大失敗」した。
ケレド、人生に誓って、「他人から奪おう」とは思わなかったし、
適法の範囲で失敗した。
しかし社会に大して損害を与えたのも事実。
だから、失敗によって社会に与えた損害を、
どうにか「知識と経験を伝える事」によって、
返してゆきたいと思うのです。

PS^2:
「潔さ」を演出した会見でしたが、
本当に、
「(ライブドアによるニッポン放送買収を)聞いちゃった」だけなのかぁ(笑)
おいおい、白々しいよ。
高校生の「株式小僧」が、そのまま45歳になっちゃった、
って感じが丸出しで、笑えました。
ご愁傷様。





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