板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「株主総会で何を見るべきか」


そろそろ3月末決算企業の株主総会招集通知が届き始めますよね。
株主総会に出席しようとする目的は、株主によって様々です。
議案に対する賛否を投じるだけなら、「議決権行使書」に「○」を付けるだけで済んでしまいますし、株主提案をしたくても、極少数株主にとっては非現実的だと思う人も多いでしょう。
それでも株主総会に足を運ぶメリットがしっかりあります。
あくまで「僕の場合」の株主総会に足を運ぶ目的の一つですが・・・
「自分以外の株主がどんな方々なのか」
それを「感じる」ために足を運びます。
たとえば・・・
1,資本政策(=財務オペレーション)と株主価値の関係についての知識のある株主が多く存在するか?
たとえば、何度も書いているように、成長期にある企業なのに「配当出せ!」と将来の株主価値を毀損する非合理的なことを訴える株主が居るかどうか。
2、資本運用サイド(=売上高だとか営業利益だとか)ばかりではなく、資本調達サイド(=配当、自社株買い、増減資、有利子負債の増減、買収資金の資本コストなど)に注意を払うことができているか?
たとえば、M&Aによって売上高、営業利益が伸びたことを「無条件で」喜ぶのではなく、その裏にある「買収額とその資本コスト」について考慮できる株主が居るかどうか。
(「ソフトバンク」の事業説明会では、ボーダフォン買収によって「売上高&営業利益が伸びた」ということ「だけ」を孫正義は訴えていたようです(笑・・・かなり苦しい「わかっていない株主の人気取」ですね)
3、株主価値を毀損するオペレーションに「NO!」を言える株主が存在するか?
過去にMSCBを発行した企業の株主総会で、経営陣にいちゃもんを付ける株主がちゃんと居るかどうか。
などです。
しつこいようですが、企業とは「チーム」です。
顧客、取引先、従業員、債権者そして株主によって構成されるチームです。
特に「どんな株主によって構成される企業なのか」は、極めて重要です。
個人投資家は、その株主の一員ですから、自分以外の株主がどれほど真っ当であるか、を探ることは、企業価値評価をする上で極めて重要です。
自分以外の他の株主の大多数が「なんちゃって」だとしたら、自分がいくら真っ当でも、その真っ当さは企業経営に反映されません。
(ただし、その自分が圧倒的なシェアを持っていれば話は別ですが)
このあたり、意外と見落とされがちなことです。
皆さんも、是非、株主総会に出向き、「自分以外の株主」をウォッチしてみましょう。
2007年5月23日 板倉雄一郎
PS:
株主総会に関するエッセイは、来週火曜日に、パートナー公認会計士の吉原がさらに詳しく書く予定です。





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