板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「歳を重ねると」

良く言われる事ですが、歳をとると、
時が過ぎるのが早い、と感じるようになります。
20歳の頃の1年より、40歳の時の1年の方が、早く過ぎてゆく感じがします。
これ、当たり前です。

n歳の人にとっての1年が、それまで生きてきた時間に閉める割合は、
1年の割合=1年/n(年齢)
で算出されます。
よって、歳を重ねるほどに、
「すでに経験した人生の時間の中」での1年の割合は減少してゆきます。
時間経過を「経験的に」短く感じるようになるわけですね。
(これ以外にも、「何かに触れたときの感動」などが、
 いろんなことを経験するうちに薄れるという原因もあるでしょう)

これ、時間経過に限りません。
たとえば「資産の増減」についても、同じことが言えます。
もし、銀行預金しか資産を運用する手段を知らなければ・・・
毎年100万円を貯金すると仮定すると、
最初の1年で100万円になり、
次の1年で200万円になります。
この1年での資産の増加率は、100%!つまり倍!
なんだか「増えたぁ~!」って感じがしますよね。
でも、10年も経つと、
1000万円が一年間で1100万円にしかなりませんから、
この頃の1年間での資産の増加率は、わずかに10%。
「最近、貯まんなくなってきたなぁ~」って感じるはずです。

資産運用の場合は、「幸い」その合理的手段を知っていれば、
むしろ「複利効果」が得られますから、
複利を上手に利用すれば(=知識を得れば)
「増え方が増えてきたぞ!」と感じる可能性があります。
(資産の面における)人生の楽しさが継続できるわけですね。

お金を稼ぐのは(広義での)労働力ですが、
お金を増やすのは「知識」です。
当たり前のことなのですが、この当たり前を伝えるのは非常に難しい。
なぜなら、
「経済に関する十分な知識を持っていた場合の今」と、
「それを持っていない場合の今」を、個人が比較する事は不可能ですし、
さらに、
知識を得られたときに初めて、「ああ知ってよかった」と思うわけですから、
知識を持っていない人に、知識の価値を伝えるのは、難しいのです。

当事務所のセミナーでも、多くの受講者は、
「清水の舞台から飛び降りる気持ち」で参加決定をするらしいのですが、
2日間を終え、さらに再受講も受けたりすると、
「なんて(価値に対して)安い価格のセミナーなんだ!」と、
セミナーの感想をいただきます。

ああ、何とかならないものだろうか?
そんな事をこの3年間、ずっと考え続けましたが、
結局のところ、「地道に継続する以外に無い」という結論になります。

「継続は力なり」・・・こう思えるのは歳を重ねたおかげでしょうね。
「失う人生の時間」 < 「得られる知識や経験の価値」
死ぬまで、そんな人生を過ごしたいものです。

2006年12月10日 板倉雄一郎





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