板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「経済指標は信頼できる?」


この記事の中に、
<携帯新料金がCPI全面採用なら、長期金利急低下の思惑>
なる部分があります。
成長期を過ぎ、成熟期に至った携帯電話事業が、価格競争に突入した結果、消費者が携帯電話の利用に付き支払う金額が減少する傾向にあるわけですが、その携帯電話に対する消費者の支出を、CPI(消費者物価指数)の因数として取り入れれば、CPIが下方に修正されるわけです。
金利調整において重要なCPIが下方に修正されれば、日銀の利上げ時期に影響を与え、金利が急低下するのではないか、ということが言われています。
以上のニュースについて、読者の皆さんは何か違和感を感じませんか?
僕はめちゃくちゃ違和感を感じます。
つまり、「実体経済」と、「ある人為的な基準によって測られた部分経済」のどちらを根拠に経済政策が行われるのか、という点において、上記のニュースは明らかに、「経済政策は、実体経済より、人為的な基準によって測られた部分経済によって行われる」ということを示しているわけです。
確かに実体経済の「すべて」を、数値で客観的に捉えることなど不可能です。
だから、ある基準(←それは誰かが考えた経済原理の場合もありますし、誰かが何らかの思惑をもって規定した統計手法の場合もあります)によって得られた数値動向を、経済政策に利用することを否定するつもりはありません。
しかし、あからさまに、「それがCPIにカウントされれば利上げ延期か利下げ、カウントされなければ利上げ」みたいな事をへーきで表現するのって、その分析者があまりにもテクニカルに依存しすぎているのか、そのメディアが暗に当局のイイカゲンさを表現しているのか、そんな指標を参考にしようとする当局がイカレテイルのか、僕にはわかりませんが(笑)、携帯電話の新料金体系がCPIに組み込まれようが、組み込まれなかろうが、実体経済は、確かに携帯電話の新料金体系の影響を受けているわけです。
(だって、携帯電話って、今はだれでも持っているでしょ)
世に伝えられるあらゆる経済指標なるものは、「その指標をデザインする人の思惑に依存している」ということを、是非知っていただきたいと思うわけです。
でも、このような記事を読む方々の多くは、何の疑いも無く、「なるほど、(携帯電話の新料金体系がCPIに)採用されるのかなぁ、どうかなぁ」なんてことを、「金儲けのために」素直に、まじめに、考えるんでしょうね。
ある意味、幸せな生き方だなぁ、と思ったりします(笑)
こういうことは、他にもたくさんあります・・・
この記事によると、日本は儲け過ぎ、だそうですが、本当にそうなんでしょうか? すべての経済的取引がしっかりカウントされているんでしょうか?(笑・・・こういう知ってて知らないふりって嫌らしいですかね)
で、こういう記事に繋がっていくわけですが、米車が日本で売れない、または、米国内で日本車に米車のシェアが奪われているのは、為替が大きな原因なんでしょうかねぇ(笑)
統計数値は、その信頼性を確認することが非常に難しいです。
つまり、誰かが、その思惑によってデザインしたとしても、そう簡単に真偽の程を確認することができないですよね。
だから、デザインできる立場の人にとって、都合がよいですよね。
いつの世も、「ルールを作った人間」が、そのルールの中では有利な立場なんですよね。
2007年10月24日 板倉雄一郎
PS:
風邪を引いてしまったらしく、非常に調子が悪いので、今日は「特に結論の無いエッセイ」でした、失礼しました。





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