板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「自己投資」


昨年から、中小企業向け会計ASPを提供するベンチャー企業とのアライアンスをベースに、その顧客(つまり中小企業)に対し、企業価値評価サービス、および、債券格付けサービスを提供してきました。
(正確には、提供しようとしてきました)
上記ベンチャー企業の会計ASPを利用する顧客数万社に対して告知を行ってきましたが、サービスを希望する企業は・・・1年経過した現在も、ゼロ!です。
提携先のベンチャーと「なんで?」を検証したところ、中小企業の場合、企業価値だの債券格付けだの、ファイナンスだの、「直ちに役に立つわけではないこと」より、「日々の資金繰り」が重要だという結論に至りました。
はぁ・・・なるほど・・・確かに日々の資金繰りが満足できなければ、経済活動は継続できませんから、わからなくもありません。
けどね、つまるところ、それら中小企業の経営者が、ビジネスモデルの分析、バリュードライバーの把握、価値創造メカニズムへの理解や企業価値に対する認識が無いことが、資金繰りを悪化させていいるのではないでしょうか。
資金繰りが厳しいから、知識習得や戦略立案など後回しというわけでしょうけれど、それって順序が逆ですよね。
経営に関する知識に乏しく、よって、効率的な戦略を立案することができず、結果として資金繰りが悪化し、融資を受けるときにも格付けが低いから金利が高く、金利が高いからやはり資金繰りが悪化し、金利が高いから企業価値が低いわけです。
「日々の資金繰りなんてほっとけ!」と言っているわけではありません。
今日の資金繰りが満足できたとしても、以上の知識が不足していれば、来月も資金繰りが悪化するわけですし、来年の資金繰りも満足できないわけです。
「その場しのぎの対策」は、常に、次の日の「その場しのぎ」を求められるわけです。
それをマゾヒストのごとく、死ぬまで続けたいのであれば、勝手にやっていれば良いと思いますが、そんなことを続けたくなければ、経営執行に必要な最低限の知識をまずは取得すべきだと思います。

株式投資において、「儲けたいから!」が先に来て、証券口座を開設し、資金を振り込み、相場や経済や企業価値に関する知識の無いまま売ったり買ったりして、即座に儲かると思っている人が居るのと同じことです。
こういう方々は、まず儲かりません。ほぼ間違いなく損します(笑)
ちょっと考えれば、当たり前のコンコンチキですよね。
ゼロサムゲームの中での敵は、情報を収集するチームを持ち、その情報を分析する知識を持ち、朝から晩までモニターに向かって勝負しているプロなのですから、素人が博打ノリで参加したところで勝てるわけがありません。
企業経営においても、株式投資においても、お食事会での成績(?なんのこっちゃ)においても、釣りにおいても、スポーツにおいても、芸能においても、とにかく人生として関わるすべてのことにおいて、「とっととはじめること」より、「必要な知識を十分取得すること」の方が遥かに重要なことです。
なのに、世の中、「今すぐに!」、「簡単に!」、「てっとりばやく!」が最も優先順位が高く、結果として、カモられる人や企業が増殖するわけです。
カモられたくなかったら、まずは「自己投資」です。
他人に投資する前に、自分に投資すべきです。
そうすれば、誰に投資すればよいかが明確にわかります。
そうすれば、何を優先すべきかが良くわかるようになります。
そうすれば、豊かな生活を送ることができるようになります。
直ぐに手に入るモノなど、支払う価格以上の価値が無いモノばかりです。
直ぐに解決できることなど、その場しのぎにしかならないのです。
じっくり時間と金をかけて、自分への投資を行うこと。
それなくして豊かな生活などありえないのですよ。
2007年12月12日 板倉雄一郎
PS:
経営者より一般従業員の方が遥かに自己投資をしている現状があります。
当事務所のセミナーに参加される個人もその一例です。
不思議ですよね。企業のトップは自己投資より日々の資金繰り、従業員は経営や投資に関する自己投資。
本来、企業の舵取りを行うトップほど、自己投資が必要なのだと思いますけれど(笑)





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