板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「潮時」

このところ、エッセーに関する異論反論が結構来ます。
多くの場合、

「どうせこの国は崩壊に向かっている」とか、
「どうせ政治かもインチキばかり」とか、
そんなことを、わざわざ書いてよこしてくれるわけです。
(↑・・・お疲れさまです。)

日本人の文章読解力が低下したなと、つくづく感じます。
このような方々は、

「未来は、予測するためにあるのではありません。
 私たちの今の言動によって「創る」のが未来です。」

というワンフレーズの文意を理解できないのだと思います。

社会を、まるで客観的に評価できる人間はこの世に居ません。
あらゆる個人は、社会の一部ですし、よって、あらゆる個人の活動が、
社会とその個人の未来に影響を与えるのです。

「一人が動き出さなくて、社会全体が動くはずも無い」

この2年間のエッセーで最も訴えたいことであり、
何度も訴えてきていることです。

未来は、今の我々の手に委ねられています。
その我々が、「どうせだめだから」と思うのなら、
子供を作ることは「罪悪」になるだろうし、
自分の子供が居なくても、社会に対する裏切りになるでしょう。

また、「部分的な」経済に対する理解の基、
くだらない指摘をよこしてくれる人もたくさん居ます。
多くの場合、
「んなこと200%承知して書いています」と回答せざるを得ないことばかりです。

さらに、
「おりこうさんとおばかさん、に2分するのはいささかやりすぎではないか」
なんていう意見にも疲れます。
もし僕が、「小学校の教員」なら、
PTAから、そんな意見を頂いても、仕方が無いとは思いますが(笑)
僕は、小学生に向けてエッセーを書いているのではなく、
「大人」に向けて、書いているわけですからね。

僕は、このような意見に、一つ一つ回答を重ねてきました。
しかし、正直、疲れてきました。

こうして、本当のことを伝える人間は、疲れ、
その社会貢献を断念してゆくことになるのでしょう。

文章の読解力の無い方に、文章で説明することは不可能です。
(もちろん、そうでない読者の方が圧倒的多数であることも承知しています。)

文章の読解力についてばかりではありません。
企業について、マクロ経済について、ファイナンスについて、
読者からの様々な質問にも、一つ一つ答えてきました。
しかし、僕の返答に対する読者から「了解した旨のメール」が返ってくるのは、
せいぜい返答したメール中、10%にも満たないのです。
文章読解力以前に、「礼儀」を知らない者が多すぎます。
ネットは、人を勘違いさせ、
ネットを使うことのよって、漫然となってしまうのでしょう。
そのような方々に対し、
僕の貴重な時間を使って具体的な回答をすることは、
もう、したくありません。

(↑ こんなことを書くと、一部読者から早速、
 「相手にお礼を求めているのは、いやらしいことです」
 などと、わかったような意見が来るわけです。
 僕が「求めている」のは、「お礼」ではなく、
 「相手自身の将来のための理解」です。
 その方の将来のために、気が付いて欲しいと思い、書いているのです。
 そもそも返信がなければ、
 僕の回答を理解されたのか、満足されたのか、それすらわからないわけです。
 相手に「対価」を求めているのなら、最初から、
 「教えるから金よこせ」と言っているでしょう。
 こんな、わかったつもりの意見にも、正直疲れます。)

資本主義経済についてだけではなく、
ネット文化においても、この国は後進国です。
ネットにおける物理インフラがどれほど整ったところで、
資本主義経済における「制度」がどれほど整備されたところで、
その利用者のリテラシーが低ければ、機能しないのです。


しかし、僕は、広義では諦めません。
多くの「文意を理解できる読者」の存在を感じるからです。
しかし、今のままの活動を継続する自信は薄れてきました。

「こんなトンチンカンな意見に、一つ一つ回答する人生の時間は、
 本当に効果的なのだろうか?
 本当に国民のフィナンシャルリテラシーの向上の役に立つのだろうか?
 人生の時間を無駄にしない方法が他にあるのでは無いだろうか?」

そんな迷いが、僕の中に沸いてきていると同時に、
「事業がしたい」
「事業を通じて、現在の理念を社会に伝えることの方が効果的では無いか」
と、このところ思う機会が増えて来ました。

そろそろ「潮時」かな・・・そんな感じです。

以下、今後の方針について書かせていただきます・・・

1、「実践・企業価値評価シリーズ合宿セミナー」は、今後も継続します。
  なぜなら、当事務所のセミナーと同等品質のセミナーなど、
  この国には、少なくとも現時点で存在しないからです。
  おそらく、しばらくの間、同等品質のセミナーは他では実現できないでしょう。
  ただし、ペースを落とします。
  2006年一杯は、およそ月一度のペースで実施しますが、
  2007年以降は、(需要次第ですが)ペースを落とします。
  本当に学習意欲のある方にだけ、全力で知識を伝えたいと思います。

2、「このサイトのエッセー」の更新頻度を落とします。
  本当に価値ある(と僕が思う)エッセーを、数少なく書く予定です。

3、新規事業に僕自身の時間配分を増やします。
  やはり事業によって、僕の理念を訴えることの方が、
  今のように「評論家」のような活動より、遥かに向いています。
  (↑ もちろん僕は評論家では絶対にありません。)
  新規事業のオプションは、実は、ものすごくたくさんあります。
  すべてを実現することは不可能です。
  もろもろ考えて、「自分がやるべき事業&やりたい事業」を選別します。

4、テレビなど大衆メディアへの出演を止めます。
  今週末の「サンデープロジェクト」の出演を最後に、
  よほどのことが無い限り、メディアへの出演を取りやめます。
  僕は、テレビタレントではありませんし、
  大衆メディアに出ると、その直後に、
  トンチンカンな意見(←感情的な意見)が殺到するので疲れます。

僕は、この夏休みを利用して、以上のオプションを含む様々なことについて、
ゆっくり、じっくり、考え、具体的方針を決めたいと思っています。

僕にとって、僕の人生の時間は、何にも代え難い貴重な資源です。

「学びたい!」と思う方に、僕の時間を割くのは有意義です。
しかし、
くだらない感情的な意見に、
(↑ 本人は極めて論理的だと思っているのでしょうけれど)
人生の貴重な時間を浪費することは避けたいことです。

僕は、限られた「人生の時間」を、可能な限り効率的に、
「社会に対する価値提供」と、
「自分自身のハッピー」のために、使いたいのです。

以上、これまで僕の活動を支えてきてくれた多くの読者の方々に、
ご理解いただければ幸いです。

2006年7月14日 板倉雄一郎

PS:
板倉雄一郎事務所は、今後も活動を続けます。
しかし、現在のペースで、現在の形態での活動は、
2006年一杯で終わりにしたいと思います。

PS^2:
トンチンカンな意見、を見るたびに、疲れるんですよ。
日に「万」という単位のアクセスのあるブログを書いている人なら、
(↑ そんな人は極稀でしょうけれど)
お分かりいただけると思うのです。

凄く生意気で、思い上がったな主張であることを承知して書きますが、
「F1ドライバーが、タクシーの運転手をして、
 乗客から、運転の仕方を、やいのやいの言われているような感覚」
なのですよ(笑・・・生意気すぎ???)

ホント、疲れるんですよ。
消耗するだけに思えてきたんです。

「甘え」ではないかと、つくづく考えましたが、
決して「甘え」ではありません。
なぜなら、今ある今後の僕のオプションは、
少なくとも今の活動よりハードだからです。

PS^3:
「ブログを楽しみにしていた俺たちはどうなるんだ!」
という意見もあるかと思います。
大丈夫です。
既に、セミナー卒業生のブログの品質は、
一昨年に僕が書いていたエッセーに匹敵するぐらい、
その価値を高めています。
「板倉セミナー」だとか、そんなキーワードで探してみてください。
僕の哲学と、ファイナンスの知識は、
しっかりと卒業生に引き継がれています。

PS^4:
たくさんの読者の方から、様々な意見を頂いています。
断っておきますが、
「現在の理念を変更するのではなく、手段を変更する」
と言うことですので、誤解のなきように。

 





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