板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「さよならVOLVO君」

11年間乗り続けた「VOLVO 850 Turbo Estate」が、ついにぶっ壊れてしまった。

この車は、僕が乗り継いできた、BMWやFerrariやPorscheなどより遥かに役に立った。仕事でも大活躍した。

荷物も運んでくれた。ワンコを連れ、海、山、湖、どこへでも連れて行ってくれた。デートにも付き合ってくれた。出張のときは、成田や羽田や東京駅の駐車場でじっと僕の帰りを待っていてくれた。

ステーションワゴンのくせに、トップスピードは220Km/hは出た。加速力もすこぶる良く、2L+Turboぐらいのボーイズレーサーより、少なくとも直線では速かった。

僕の人生の中で、最も長い時間、僕に付き合ってくれた車。一度も事故を起こさなかった。

昨年あたりから、不具合がたくさん出るようになった。燃料噴射系もしくは電気系のトラブルで、走行中にエンストすること度々。「バッテリーはビンビンだぜ」(←「雨上がりの夜空」より)なのに、スターターが回らないこともしばしば。

電動ドアロックは正常に動作せず、すべてのドアを鍵で開け閉め。だからトランクを開放したまま何日も放置することもあった。それでも愛着があったから、騙しだまし乗り続けた。

今思えば、彼は悲鳴を上げながら、僕の都合に付き合ってくれていた。

そして先週、様々な修理を依頼した。

修理工場から、「車としては諦めてください」と宣告された。これ以上の僕の愛着は、むしろ彼を苦しめ僕自身の修理コストもかさむ。仕方なく、彼の一生を見送ることにした。

ありがとう!僕のグリーンメタリックのVOLVO君。

11年間ありがとう! 以下誤解を恐れ、しっかり説明しますね・・・

1995年、ハイパーネットが「IMS」という音声応答装置によるマーケティングサービスで伸び始めた頃、僕は、それまでの愛車BMW-M5からFerrari F355 Spiderに乗り換えました。

「社長失格」を読まれた方の中には、「銀行からの借金でFerrariを買う馬鹿経営者」と思われた方が多いようですが、良く文章を読んで頂ければ、前後が逆なことがお分かりになると思います。

Ferrariの価格を支払ったのは、1995年の確か4月。Ferrariが納車されたのが同年9月。住友銀行からの最初の融資が実行されたのは、同年11月です。

Ferrariは、それまでの長年の個人貯蓄の中から自分へのご褒美として個人名義で買いました。 Ferrariだけでは普段の移動が出来ないので「ついでに」VOLVOを買いました。

買ったときは「ついで」だったので、この車に11年も乗るとは思いもしませんでした。名義は、当時の僕の資産管理会社(と言っても事実上の資産はVOLVOだけ)でした。

同じ年の秋、その後のジェットコースター「ハイパーシステム」の事業化がスタートしました。

上場準備も同時に開始していたので、「ハイパーネットに注力せよ!」という周囲の意向にし沿う格好で、資産管理会社の全株式と代表権を友人に譲渡しました。

またその後、ハイパーネットとこの会社の取引は、一切ありません。

2年後ハイパーネットは倒産し、僕も自己破産しました。

(以上、詳しくは、著書:「社長失格」にて)

倒産と自己破産後、移動のための足が欲しかった僕は、その友人からVOLVOを譲り受けました。

結果的に、この車は、富めるときも貧しいときも、僕に付き合ってくれたというわけです。以上、自己破産の最中に資産隠しをやったのではないかという誤解を恐れ、詳しく事情を説明いたしました。

こんなこといちいち説明したくは無いんですけどね。念のため。

余談ですが、この車のナンバー「55-83」は、「ゴーゴー破産」。

納車されたとき、冗談で言っていたことが、現実になったといういわく付き。

しかしその破産も、今では、僕の肥やしになっているというわけです。

で、早速、近くのトヨタに冷やかしに行った。「冷やかし」のつもりだったのにその帰りには、しっかり僕のサインが入った「売買契約書」を持っていた。(笑)

シグナスなんて余計なギミックがたくさん付いていて価格が高いのは買わない。

フツーの「Land Cruiser 100」に必要最低限度のオプションだけ。

ナビも一番安い奴。(だって、自分の脳みその方が遥かに役に立つ)タイヤとかホイールとかも、買った時のまま乗る。長く付き合うつもりなら、余計なモノは無いほうがいい。中古車が良かったのだけど、ランクルは中古と新車の価格に大差ない。だから新車にした。

このところVOLVOでの遠出はリスキーだったので、ワンコを遊びに連れて行ってあげられなかった。

でもこれで、春からワンコと一緒に「あそこ」とか「あんなところ」とか行ったりできる。当事務所のパートナーの現在の人数なら、全員一度に乗れる。(ちときついかも)レンジローバーも考えたけれど、やっぱせっかくカネを行使するなら、日本社会に還元される商品を買う。

カネは「社会に対する議決権」ですから。地方にお出かけして壊れたときにも、トヨタなら修理工場がたくさんある。

問題は、V8-4.7L による環境破壊と資源消費。だから、ゆっくり運転しますです。そして、普段のお買い物には、母の「ダイハツ・ミラ」で動く。(そろそろこいつも壊れそうなので、母へのプレゼントでヴィッツとかを買う予定)ランクルは、あくまでランクルでなければ、行けないところに行くとき、多人数で乗るとき、犬を一緒に連れ出すときに使う。

15年乗るぞぉ~!!!
(でも、電気自動車が主流になれば乗り換える予定)

しかし、世界の車の中で最も盗まれやすいこの車。

だから盗難保険にだけはしっかり入る。もちろん、積み立て保険になんて入らない、掛け捨てね。さらに、「自爆事故」用の車両保険には入らない。但し「相手」や「同乗者」に関する保険は無制限に入る。
(↑「おりおば」の99ページ参照)

VOLVO君とのお別れの寂しさを打ち消して欲しいよ、ランクル君。

2006年2月9日 板倉雄一郎

PS:
えっ、トヨタが一兆円も利益を出しているのが消費者として気に入らないって?なら、同時に同社の株主に成ればよいのです。





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