板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「低炭素経済」

「(確か)環境と経済は両立するのか」というテーマで、TXのワールドビジネスサテライトで新春特集をやっています。
昨日見た限りでは、非常に価値あるコンテンツだと思いました。
番組の感想は以上の通りですが、「環境と経済は両立するのか」というテーマは、視聴者の関心を惹くというテレビ的な側面ではよいと思いますが、変なテーマだなと思います。

もし明日、地球が崩壊するとするならば、誰も企業に価値を見出せませんし、誰も給与を稼ごうと仕事をしたりしませんし、誰も投資を行いませんから、経済は破綻します。
明日というのが大げさなら、10年後でも、20年後でも、50年後でもかまいません。
経済は、「今の利益だけ」を追求するのではなく、「今を差し出してでも手に入れたい将来がある」という投資活動によって支えられているとすれば、将来のある時点で地球環境が崩壊すると明確に予測できれば、その「ずいぶん前に」経済は破綻するというわけです。

「環境と経済は両立するのか」という問いは本質的には無意味で、「両立しなければどちらも成り立たない」といえると思いますし、もっともっと本質的には、「環境が(私たちにとって)相応しくなければ、経済は成り立たない」といえるのだと思います。
環境と経済の「両立」なんてのは、人間のおごりです。


2008年の投資テーマは、「地球環境」ではないでしょうか。
「環境が大切なのがわかっている人間が、金儲けの材料として環境関連銘柄を謡うのか!」
という文句も予想できますが、やはり儲けなければお話にならないのです。
なぜなら・・・環境問題に取り組む企業の立場は、
(1)儲けが無ければ再投資原始が得られない=活動を継続できない。
(2)その活動に儲けがあるからこそ資金が集まり、活動の拡大を加速できる。
からですし、
また、環境問題に取り組む企業へ投資する投資家から見れば、
(1)環境問題に対する資金提供という貢献ができる
(2)自ら投資することによって、それをしないときに比べ環境問題に強い関心を持てる
という意識を、「プラスの利回りが得られるであろう期待によって強く持つことができる」からです。
(↑ というより、環境対策に貢献しようという意識のある投資家が、環境問題に取り組む企業への投資で利回りを得られなければ、環境対策に貢献しようとする投資活動を継続できないわけですから、儲けは必要というわけです。)


環境に対する問題意識の比較的高いドイツでは、いわゆるCO2を極力排出しないエネルギーを一般国民が「CO2を排出するエネルギーより数倍のコストがかかっても」購入する傾向があるらしいです。
結果、CO2を排出しないエネルギーのシェアが高まるわけです。
一見、経済を度外視した行動に思われるかもしれませんが、「今、環境対策をするコスト100円は、将来環境が悪化した後に対策するコスト10000円に相当する」という理解の上での行動だとすれば、経済を度外視した行動とはいえませんよね。
つまり、「長期的な経済」という視点を得ることができれば、経済という側面から地球環境問題を解決する糸口が必ず見つかると思うのです。

個人ができることは、メディアで散々流されていますので、ここでは割愛しますが、「個人投資家ができること」という部分で、2008年は、環境関連銘柄を投資テーマにしてみたいと思います。

僕らにできることは、コンセントを引っこ抜くことだけじゃないと思います。
利回りだけの投資活動、なんて、面白くないじゃないですか。

2008年1月9日 板倉雄一郎

PS:
割と低炭素な生活をしているつもりの僕ですが、一点いつも気になることがあります。
それは、乗っている車がトヨタ・ランドクルーザー(4.7リッターガソリンエンジン)だってことです。
それでも、極力、キャンプや釣りなどいわゆる荷物の多いアウトドアの場合の利用に限定し、且つ、(昔の僕からは考えられなかったことですが)むちゃくちゃエコ運転しているわけです。
その上、普段の足は、母の「ダイハツ・ミラ(10年落ち)」ですから、結構努力しているのですが、やはりトータルすれば僕のエネルギー消費は大食いです。
本当は、ディーゼルが良かったのですが、無知な行政が、「ディーゼルは環境に悪い」と誤解し、この地域では登録できないのです。
こういうのって、本とばかげていますよね。
(ディーゼルの粉塵が多い原因は、エンジンのメンテナンス不良、と、軽油の品質なんですよね。)

PS^2:
現在、受講者募集中の「実践・企業価値評価第28回合宿セミナー」は、本日24時を持って、その募集を締め切らせていただく予定です。
ご興味のある方は、こちらからどうぞ。
なお、第29回開催は、早くても4月になると思いますが、現時点での開催は未定です。





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