板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「ゲーム理論」

国際政治は、問題解決においてゲーム理論が基礎として使われます。
米ソ冷戦下の様々な「代理戦争」も、「核抑止力」についても、
各国の言動は、ゲーム理論によって説明することが出来ます。

しかし、ゲーム理論が役に立たない場合があります。
それは、「相手」が、とんでもない天才の場合、
そして、「相手」が、とんでもない馬鹿の場合、
ゲーム理論は、何の役にも立ちません。

つまり、
酔っ払いや、
自国の国民を平気で犠牲にするようなイカレタ連中が相手では、
ゲーム理論は通用しない、ということです。


ご存知の通り、国際紛争におけるわが国の取れる手段は、
「経済制裁」など、非武力的な行為に限定されます。
相手方の武力的な行為に対しては、米国の武力に頼らざるを得ません。
また、情報収集や「交渉の後ろ盾としての武力」も、
米国に頼らざるを得ません。

以上から、
ゲーム理論的に考えた場合のわが国にとって「最も重要な問題」は、
「米国にとって、コストを支払ってでも、日本を守るメリットがあるか否か」
という点です。
これは、「相手次第」です。

米国が日本を守るため「その相手と武力衝突すること」に、
米国のコストに見合った米国のメリットが無い場合、
いくら日米安保条約があったところで、頼りにならないと、
僕は思います。
賢い相手なら、このこともしっかり計算するでしょう。
(↑ それがゲーム理論です。)


経済のグローバリズムが進み、
複数の国々の経済的相互依存が高まることによって、
平和的解決の可能性は高まる、と思います。
そうであって欲しいです。
しかし、この考えは、
すべての国が「ゲーム理論が通用する相手」という前提が必要になります。

2006年7月5日 板倉雄一郎

PS:
株式相場においては、日本の「地政学的リスク」は、
少なくとも現段階では、さほど大きなリスクとして捉えられていません。
いつまでもそうであって欲しいと思います。

それどころか、鉄や重工業が上げていますね。
果たして、該当各社の将来キャッシュフローの上昇見通しに見合った株価の上げなのでしょうか?

こういう「脅し」に対して、マーケットがいちいちビビッているのでは、
それこそ、「脅し国家」の思う壺にはまってしまうということです。





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