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ITAKURASTYLE「タクシードライバー症候群など」

<EDINETリニューアル>

既にご存知の方も多いと思いますが、EDINETがリニューアルされました。
期待されているXBRLは先送りですが、インターフェイスの改善による検索性が高まっているようです。
まだ、じっくり触ったわけではないので、僕のコメントは現時点ではありませんが、皆さんも是非使ってみてください。

ただし!(リニューアル直後だからでしょうか)すんごく遅いです(笑)

<個人マネー外貨預金へ>

円高を受けての行動だとは思いますが、もし外貨預金に走っている個人が「そのリスク」について十分承知しているとすれば、「これ以上の円高の可能性は低い」と思っていることになりますが、本当にそうでしょうか。

為替の行方を予測するのは極めて難しいことですから、なんとも言えませんが、皆さん結構「リスクテイカー」だなと思います。

この数週間に外貨預金をした(=円売りした)個人が結構居る(←だからこそ新聞などで報道されるわけですが)とすれば、それは、少なからず「円売り圧力」になっていたわけですが、それでも円高は進んでいるわけですから、個人の「円売り」がなかったとすれば、もっと円高に振れることになります。
したがって、為替差益を狙った「円売り」は、まだ早いと思います。
もちろん、これで円高は一段落なのかもしれませんが。

<少数株主側 V.S. カネボウ側>

これ、興味深い展開になっていますね。
TOB価格の決定方法について、「配当割引モデル」なのか、「エンタープライズDCF法」なのか、なんていう議論が法廷でも繰り広げられそうです。
この件、当事務所企業法務担当の森が、次回の彼のエッセイで取り上げる予定ですので、お楽しみに。

<源流対策はまだなのか>

ITAKURASTYLE 「わがまま息子の甘やかし」などでも書いたことですが、現在のアメリカの経済対策は、徐々に「源流対策」に変化しつつありますが、米政府は公的資金の金融機関への注入などの積極的、直接的な源流対策には慎重な姿勢です。
「民間のことは、民間でやれ」という考えは、米共和党による「小さな政府志向」には合致していますし、僕個人的にも「小さな政府」を(僕は米国における選挙権を持っていませんが)支持します。
しかし、「火があって煙が出ている」(←つまり、「金融機関のリスク管理が甘かった」という火によって、「実態経済がリセッションし始めている」という煙が出た)わけですから、これを、「煙を消す装置」によって(←経済全体に対する金融緩和などの対策によって)解決するのは効果的ではないと思います。
やはり、「火そのものを消す」(←金融機関への直接の支援)を行わない限り、いつまでもズルズル引きずることになるでしょう。

思い出します。日本の90年代を。

<タクシードライバー症候群>

「俺は、金を支払う側の客だぞ!神様だぞ!言うとおりにしろ!」
って言う人、結構居ますよね。
はっきり言って、ものすごく「みっともない」し、「下品だ」と思います。

もちろん、お金を支払うことによって常識的に得られるはずの価値が得られなかった場合には、文句を言って当然だと思います。
たとえば、料金の大部分がいわゆる「サービス料」であるところのホテルのサービスが、イイカゲンだったら僕は結構怒りますし、場合によっては説教すらします。
たとえば、「源泉掛け流し」と謡っている温泉が、実は「加水循環」だったら怒ります。
けれど、そういう真っ当な範囲を逸脱した「俺様は客だぞ!」系の人、増えているように思います。
報道によれば、たとえば、コンビニにて、「おい、タクシー呼んでくれ!コンビニなんだからそのぐらいして当然だろ!」とのたまうばか者も居るようです(←ちょっと前の日経の記事)が、このような方々は、
「サービス」=「無料」
と思う込んでいる方々ですよね。
そもそも「言葉の意味」を履き違えているわけですね。
このような方々を、「タクシードライバー症候群」と名づけたいと思います(笑)

というのは、映画だったか、メディアの報道だったか、お笑いネタだったか忘れてしまいましたが、あるタクシードライバーが、休みの日に、わざわざタクシーを利用し(←つまり勤務のときとは逆にタクシーの客になり)、普段勤務しているときに、ばか者お客からされる行為によって溜まったストレスを発散するという話がありました。
彼は、タクシーを捕まえ、
「~まで」とドライバーに伝えます。
ドライバーからの返事がないとなれば、
「おい!聞いってんのか!」と怒鳴ったり、ドライバーズシートを後ろから蹴飛ばしたりするそうです(笑)
この話、本当かどうかはわかりませんが、「モンスター顧客」と、それを受ける「サービサー」の関係を如実に表していると思うわけです。
で、「価格を支払う側」と、「価格を受け取る側」の極端な関係を、「タクシードライバー症候群」と勝手に名づけてみました(笑)

ところで、そんな社会、本当にいいですか?
客として価格を支払う際に、モンスターに化ける人って、他方で価格を受け取りサービスを提供するときには、「ペコペコ」しているのが容易に想像できますよね。みっともないですね。

本来、「価値と価格の交換」をしているだけの話であって、どちらかが「偉い」というわけじゃないですよね。
顧客として、
「受け取る価値」 > 「支払う価格」
であれば、価格を支払う側の顧客も「ありがたい」と思うべきですし、そうでなければ、文句も言うべきだと思います。
経済的取引に関する極めて原始的なこの考え方がわからない人が多いのだと思います。
これもまた、いわゆるフィナンシャルリテラシーの欠如による一つのケースですね。
お金に対する、へんてこりんな価値観が蔓延しているのでしょう。
「金さえあれば神様になれる!」・・・そんなバカな(笑)

コンビニで、「タクシー呼べ」という客、実は普段コンビニの店員やっていたりして(笑)

以上、ポツポツと書いてみました。

2008年3月18日 板倉雄一郎





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