板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  ITAKURASTYLE  > ITAKURASTYLE「実感の信頼性」

ITAKURASTYLE「実感の信頼性」

「好景気が続いているとは言うけれど、実感無いよねぇ~」
といった発言、このところ良く聞きますよね。

その「実感」って、信用してよいのでしょうか?

この10年、消費者物価は上昇していないどころか、下落していました。
一方で、「多くの就労者」の賃金は、一定か、もしくは微妙に上昇しました。
(以上、もちろん例外の方もいらっしゃるでしょうけれど)
給与水準が一定で、物価水準が下落したのだとしたら、
明らかに「(経済的な面で)暮らしやすくなった」はずです。
にもかかわらず、受け取る「額面」に変動が無いために、「好景気に実感は無い」と思ってしまったりするわけです。

人の「実感」ってのは、かくのごとく、イイカゲンなわけです。

根拠がはっきりしない「実感」を頼りにすると、時として大きな問題が起こります。
たとえば、「納税」と、「その便益享受」の関係において考えて見ましょう。

税制とは、それを全体で捉えれば「所得の再配分」です。
金を取られる「納税」という側面と、
その税が使われ普段の生活において何かしらの便益を得られる側面があります。
人は、「取られるとき」は、極めて敏感に「実感」しますが、
(書く言う僕も、毎年3月となると非常に神経質になります(笑))
一方で、整備された道路、上下水道、公園、防災、国防など税によってなされる「サービス」については、「それがあって当たり前」と思い込んで居たりする結果、「自分が納税しているおかげで、その便益を得られている」と、普段は考えない傾向にあります。
結果、「払いたくない=とられたくない」且つ「便益は受けて当然」といったワガママ有権者が増え、その有権者に支持された議員が政治を行うようになります。
かくして、政治は常に「短期的な票田意識の政策」を選んでしまうことになるわけです。

「実感」を疑ってみる・・・これ結構大切なことかもしれません。

2007年3月5日 板倉雄一郎

PS:
「おいしかったぁ!」という飲食店に対する「実感」は、
その対価(=価格)を考慮しても、本当に「おいしかった」のかどうか・・・

いきなりですが、オリエンタルランドの経営によるショッピングセンター「イクスピアリ」にある「ピッタゼロゼロ(Pitta00)」というお店、ナポリ系ピザが中心ですが、「価格を考慮しても」美味しいですよ。
僕、ナポリピッザには、結構うるさいですが、この店のピッザ、美味しいです。





エッセイカテゴリ

ITAKURASTYLEインデックス