板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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会計ばなし 第9回「会計はつまらない、、のか?」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

みなさんこんにちは。パートナーの大橋です。

会計はつまらない。
会計の話もつまらない。
そもそも僕が書いている文章がつまらないのか!?

まあそんな文章であるが、
毎度、「分かりやすかった」などと
気を使ってメールをくださる方がいる。

先日の「しっかり説明できますか!」のなかの
「正しくあれ、俺!」
という言葉にえらく共感してくださった方が、
感動しました!とメールをくださった。
大変ありがたい。

今自分に向かって言いたい言葉は
「頑張れ、俺!」
である。

そんな掛け声かけたところで面白い文章がかける
わけでもなんでもないのであるが、、、

さてなぜ会計はつまらないのだろうか。
ここでいう「つまらない」は誰にとってのつまらないかと言うと
普段仕事等で会計に接していない方達にとってのつまらないである。
(面白いと思っている人がいたらごめんなさい。)

そういう方達がみる会計というのは主には財務諸表
ということになると思うが、
財務諸表というのは単なる1年の活動結果である。

これサッカーで言えば、サッカーを普段あまり見ない人が
試合結果だけ見せられるようなものである。
スタメンは誰で、結果は何対何で得点者は誰。
ある程度サッカーに知見があってリーグ戦の行方に感心があれば
まだ良いが、そうでない人にはまるで面白くない。

せめて得点シーンを見たいと思うわけである。
エキサイティングな得点シーンを見れば少しは面白くなってくる。
そこで興味が出てくれば得点シーンだけでなく試合開始から終了までゲーム全体を見たいと思ってくる。

いよいよ更に興味が深まれば、テレビに映っていないピッチ全体を見るためにスタジアムに行きたくなってくる。
ピッチ全体を見渡すとボールを持っている人だけでなく、
11人の選手が得点を目指すために駆け引きをしながら動きまわり、
相手の11人もボールを奪い返すために動きまわっている。

もうこのあたりで随分と面白いのだが、
ルールを知ればサッカーに対する理解がなお一層深まるわけである。

結局「動き」が分かると面白いのである。

財務諸表を見ただけでは「動き」が分からないから面白くない。

そう思って「動き」を見せてしまえ!
と思ったのがきっかけで、
合宿セミナーの財務基礎講座で使っている
財務諸表のエクセルシートを作ったのである。

例えば、売上や利益が上がっただけでは現金が増えない
ということを知っている人は多い。
設備を買ってそれを使えば減価償却費が発生することを知っている人は多い。
ところが財務諸表上でどのように「動く」のか知っている人は
あまり多くないし、
企業価値評価をするのであれば、
将来業績予測の数字を作りこむときにそれぞれの数字の関連性を
意識して作っていくことができないのである。

企業価値評価の将来業績予測とまで言わなくとも、
セミナーでは「動き」を見てもらうだけで面白いと思ってもらえたり、
財務諸表の関連性の理解を深めて頂けることが多い。

ということで、
損益計算書の売上が増えると貸借対照表のどこが動いて、
貸借対照表に設備額が載ると償却費はどこに載ってきて、
キャッシュフロー計算書はどのように動くのかを見せるわけである。

百聞は一見にしかず、である。
(ちなみに他のコマでエクセルを使いながら自分の手を動かすのも
同様である。)

話ばかりで「動き」が見えん!と言う方。
残念ながらセミナーに来てくださいというしかないのであるが
4月以降の不定期となるセミナーに来て頂く機会があれば存分に
ご覧頂きたいと思う次第であります。
(と、ここで急に丁寧な言葉遣い)

ただし忘れていけないことは財務諸表の動きが本質なのではなくて
財務諸表の動きの原因となっているビジネスそのものの「動き」が面白く、
さらにはその理解が言うまでもなく一番大切なのである。

会計マンはついついそれ(ビジネス現場の動き)を忘れがちである。
そうすると数字の話ばかりでお前の話はつまらんと言われてしまうのである(涙

2007年3月3日 N.Ohashi
ご意見ご感想、お待ちしております!

次回のパートナーエッセイは3月6日(火)に石野さんが担当します。

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会計ばなし 第8回「しっかり説明できますか!