板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「株安の連鎖」

結論:
「価値ある企業のバーゲンセール」と、
「価値破壊を伴った価格下落」の区別をしっかり見極められれば、
またとない投資チャンスである。

世界的な株安の連鎖について、多くのメディアが報じています。
それらを要約すると・・・

1、「円キャリー投機」の資金が世界の株式市場から引き上げ。
2、1の原因でもある円高は、1による円の返済のための円買いでさらに円高へ
3、日本株に関しては、円高の影響が拍車をかける。
4、さらにヘッジファンドの「売り」による株価下落

などなど・・・これらが本当だとしても、
これらの理由付けは、「資本市場のみの原因」に留まります。
個別企業の業績や、それぞれの国の経済の状態といったファンダメンタルズの悪化が世界的な株安連鎖の「大きな原因」ではなく、投機筋の世界をまたがった「レバレッジ(とその解消)」のおかげで、株価変動は「増幅」されているが、個別企業の価値が大幅に下がった結果としての株安では無い。というわけです。

ただし、
1、円高による日本の輸出企業の「価値」は、それなりに破壊されていること
2、資本市場の混沌は、それが長引けば、いずれ企業の業績に影響を与え、企業の価値破壊の原因になりえること
3、金属などコモディティーにおいても同様のメカニズムで価格下落が起こるとすれば、企業価値の大部分がコモディティー資産によって形成されている企業の価値は大幅に破壊されること
などの注意が必要ですが、
以上を注意深く「個別企業の価値評価」に生かせば、
「価値ある企業のバーゲンセール」と「価値破壊を伴う価格下落」の区別
をすることができるはずです。
個別企業の将来業績予測をしっかり行うことが、チャンスをチャンスとして生かすための合理的な方法でしょう。

2007年3月6日 板倉雄一郎

PS:
このようなパニックが一段落すると、企業の株主の「顔ぶれ」が一変するんですよね。
慌てなかった者、冷静に状況を分析した者が、結局は「価値あるもの」を手に入れることになるわけです。

「上がったら喜んで余計なモノを買い、下がったらロウバイして損切り、んでもって、また上がり始めた頃、割高であることも知らずにまた買う」なんて事を繰り返していたら、あっという間に大切なお金なくなっちゃいますよ!
しっかり、企業価値評価を行い、
1、時間経過と共に価値が増大するであろう企業に、
2、「価値 > 価格」のタイミングで投資を実施し、
後は、市場価格の変動に翻弄された余計な売り買い、をしないこと。
これが最も合理的な投資手法です。

つまり、価値を把握できない対象にお金を使うべきではない、って事です。
価値を把握できないから市場価格に翻弄され煩雑な売買で大損するわけです。

ウォーレンバフェット氏に言わせると、
「For investors as a whole, returns decrease as motion increases.」
となります。





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