表題から、哲学的な話をご想像されるかもしれませんが、そんな難しい話ではありません。
言葉の話です。
「アメリカ合衆国」・・・「United States of America」
これは、「合州国」の間違いでしょう。
恐らく誰かが昔、誤って訳してしまったのではないかと思います。
合衆国なら、独裁政権でもなければ、すべて合衆国ですからね。
「資本主義」・・・
これも、「資本経済システム」とか、「資本経済方式」と訳せばよかったと思います。
「主義」と書くと思想や哲学の匂いを感じますが、少なくとも「資本主義」とは、単なる経済価値交換の「システム」に過ぎません。
資本主義「そのもの」を、とやかく言う人がいます。
(そのような方々の多くは、僕が知る限り、そもそも資本経済システムについて理解がないか、カネに対する相当な執着心があるにもかかわらず、カネを掴めないでいる方々の場合が多いです。カネに執着すればカネは逃げていきますし、たとえカネを掴み多くのモノを所有したところで、幸せがセットで手に入るわけではないというのに)
もちろん、現在の「資本経済システム」が、社会を豊かで平和にするための「最良のシステム」だと思っているわけではありません。
しかし、それに代わるシステムを提示できない以上、現時点での我々の暮らすシステムを理解し、それを有効利用するしかありません。
また、仮に「理論的に」、多くの人の平和と豊かさを維持できるシステムを提案できたとしても、それが現実社会で理論どおりに機能するかどうかを検証する手立てはありません。
よって、安易に「このシステムの方が良い!」と主張することは出来ません。
(共産主義という、数億の人口を巻き込んだ「実験」が現実的に機能しないことを検証するまでに、数十年もの時間が必要でした。)
どのようなシステムでも、その利点を生かすには、そのシステムに参加する人々のシステムに対する理解が必要不可欠です。
自動車という「道具」は、病人を病院に運ぶことも出来ますが、使い手によっては、殺人をするための道具にも成りえます。
かと言って、自動車「そのもの」が悪だとは言えないでしょう。
どのような道具や機能や仕組みでも、それの使い手次第で、その作用は如何様にも変化します。
それが単なるシステムに過ぎないと理解できれば、「そのシステムをどう利用して、社会を豊かにするか」と考える人が、今より多くなると思うのです。
どのようなシステムにも、長所と短所があります。
どのようなシステムを採用しても、社会は人の心によって動きます。
人には、善悪の区別がつかない人も居れば、善悪の区別が付いたところで、それさえ個人の価値観に依存します。
人の心がそのまま現れるのが社会です。
もし、人の心を遮断するシステムがあったとしたら、そんなシステムは、本当にすばらしいものなのでしょうか?
それは、独裁に他ならないでしょう。
サッカーが競技として機能するためには、
1、ピッチに上がるプレーヤーが、そのルールや仕組みを熟知していること。
2、審判をはじめ監督する立場の者が同様の理解があること。
3、観客も、同様に理解していること。
が必要でしょう。
そうでなければサッカーは成り立ちません。
しつこいようですが、どのようなシステムであっても、それに参加する人々の多くが、そのシステムについて理解すること、それがシステムを有効利用するための最低限の条件だと思います。
同時に倫理観を育てることも必要でしょう。
昨日の「VOICE」の対談(発売は3月10日)では、御相手のドリームインキュベータ社堀紘一氏と多くの点で意見が一致しました。
中でも、特に印象に残ったのは、「日本はヒトラーが生まれる環境が整っている」という点です。
堀江君は、さほど賢い人間ではありませんでした。
だから彼らの仕組みも稚拙であり、あっという間にとっ捕まりました。
しかし同様のことをジェットを所有したり、六本木ヒルズに住んだり、乱交パーティーをしたり、 Tシャツで人前に出たり、「カネで人の心は買える」と言ってみたり・・・
そういったことをせず、上手に活動していたとすれば・・・・・・
僕が最も危険だと思うのは、
堀江君のように、「僕は異端児です!」と自ら主張し、実際に異端な活動をする人ではなく、「株主様のため」と言いつつ株主を毀損したり、スーツを着こなし丁寧で上品な雰囲気を作りながら、言っていることと、やっていることがまるで違うような人間です。
多くの大衆は、堀江君の場合とは違って、きっと騙され続けることでしょう。
そして気が付いたときには、ヒトラーが生まれている・・・
社会を監視するのは、公安や監督官庁である前に、そのシステムに参加する我々自身であるべきです。
我々自身が、我々の暮らす環境について十分に理解し、我々自身が豊かで平和に暮らせる社会を維持するしかないのです。
他人任せでは、ハッピーは得られないと思います。
メディアも、政治家も、経済学者も、堀江君の稚拙なインチキを見抜けない程度の人間が数多く居ます。
また、堀江君を利用することで、カネを稼ごうとする人間も多くいるようです。
しかし、その番組を観ることによって視聴率を上げてしまう視聴者、その政治家に大切な一票を投じて当選させてしまう有権者、権威に騙され鵜呑みにする勉学者がいる限り、ヒトラーを生み出す可能性は、低くならないでしょう。
未来は、現在の我々の手に委ねられているのです。
2006年2月18日 板倉雄一郎
PS:
いやぁ~堀さんよくしゃべる(笑)
で、言っていることは、言葉こそ違えど、僕の考えとさほど違わなかったので、「うんうん」と聞いていました。
ファイナンスの話は本題ではありませんでしたが、彼もハーバードビジネススクールを卒業しているだけあって、話はスムーズでした。
金融工学を知る人間が、「結局は人なんだよ」という表現をするのは、それを知らずに同様のことを主張するのに比べ、説得力があります。
どんな原稿になるんだろう????今から楽しみです。
松下幸之助が、社会に知識を広めるために創立した出版社であるPHPが、(事件発覚前の)ホリエモンの本を出版したことを、昨日初めて聞きました。
汚点を残してしまいましたね。残念です。