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ITAKURASTYLE「Back to Basic」

このところ、エッセーのネタに困ることが多いのです。
「書きたくない」とかいうことではありません。
何か「ネタ」になりそうなことを、
資本市場や企業経営のニュースの中に見つけたとしても、
「それって、すでに書いたよなぁ・・・」っとなってしまって、
タイピングが進まないのです。

たとえば、本日(2006年9月14日)の日本経済新聞15面に、
「MSCB リスク顕在化」と題して、
今年3月に板硝子が発行したMSCBの「その後」についての記事があります。

この記事に書かれている、
1、MSCBに関する説明や、
2、株式への転換と株価の関係や、
3、一株あたり価値の希薄化現象や、
4、そもそも引き受け証券会社が儲かる仕組みであることや、
5、よって企業にとっての「サラ金」に過ぎないこと
などは、2005年のライブドア騒動のころから
散々書いてしまっているわけです。

参考エッセーは、大変多くあるので、検索エンジンにて、
「MSCB and 板倉雄一郎事務所」などのキーワードで調べていただければ、
たくさんのエッセーがヒットすると思いますので、参考にされてください。

で、思うわけです。

「千のケースを学ぶより、三つの基礎を学ぶほうが効率的」
であること、そして、
「ケースの暗記より、基礎の理解の方が、
       予期せぬ事態に対する応用が利く」
であることです。

何度もこのサイトのエッセーで書いている、
「すべての経済的取引は、誰かの価格と、他の誰かの価値の交換である」
という、この一点に着目する事によって、
企業買収などのような複雑な取引を含め、
あらゆる経済的取引に対する本質的な理解を得ることができるわけです。

高卒で、自己破産の経験があり、会計士でもなければ、
ビジネススクールにも行ったことがない僕は、
この一点だけで、その取引を分析し、理解し、この場で表現しています。

つまり、「基本がすべて」なのです。
あらゆる実例は、基本的な要素の積み上げで説明可能ですし、
あらゆる不測の事態には、基本の組み合わせで対応可能です。

9月下旬(もしかしたら10月初旬)から始める予定の
DeepKISSに代わる連載は、
よって、「Back to Basic」と題して、
企業のオペレーションと企業価値の関係などについて、
「誰のどんな価値を、誰がどれほどの価格で交換するのか」
そしてその結果、
「誰が得して、誰が損をするのか」について書きたいと思っています。
100回ほどの連載をすべてお読みいただければ、
経済について、相当な知識を得ていただけるのではないかと、
(まだ一行も書いていないのに)思っています。

「Back to Basic」をよろしくお願いいたします。

2006年9月14日 板倉雄一郎

PS:
「予告はもういいから、早く連載始めろよ!」って事ですよね(笑)
はい、わかっています。
でも、このサイトのリニューアル準備中なので、もうしばらくお待ちください。
すんまそん。

PS^2:
「すべての経済的取引は、誰かの価格と、他の誰かの価値の交換である」
と書くと、「いちゃもんを付けることが目的の『一部の読者』」から、
「なら、物々交換はどうなるんだ」などと、短絡的な文句をいただきます。
物々交換であっても、「通貨」という媒体が省略されているだけで、
実際には「価格」が内包されているのです。
たとえば・・・
時価500万円の自動車の所有者が、
「この車大きすぎて乗りにくいから、小さいのに替えたい」
と思ったとしましょう。
希望に合った自動車を中古市場で見つけ、
その自動車の時価が100万円だった場合、
自動車そのものを物々交換するより、
手持ちの自動車を中古車市場で売却し、一時的にキャッシュに変換し、
その後、そのキャッシュの「一部」と、新しい自動車を交換する。
という行為が合理的ですよね。
乗り換えたい自動車が、
手持ちの自動車とほぼ同価格で流通しているときに初めて、
(キャッシュへの変換を省略して)「なら、物々交換にしましょう」となるわけで、
物々交換を選択するときにも、
実は「市場価格」がその判断に影響を与えているというわけです。

「すべての経済的取引は、誰かの価格と、他の誰かの価値の交換である」
この一点で説明できない経済的取引はありません。
この一点で、あらゆる取引を説明して見せましょう。
お楽しみに!

で、第一回目のテーマは、「有利子負債の増減」の予定です。
皆さんも、是非、
「有利子負債の増減とは、誰の価格と誰の価値の交換であるか」
について、考えてみてください。
その上で、
どのような場合に、誰にとって、有利子負債の返済が合理的であるか、
どのような場合に、誰にとって、有利子負債の返済が非合理的であるか、
を考えてみてください。
このトレーニングを続けることによって、
企業経営の真の姿をよーく理解できるようになると思います。
以上、宿題です(笑)





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