板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「リスクを知りたがる人、知りたくない人」


たとえば、
投資家が自身の投資判断に基づき(=自身の知識や経験に基づき)、
「これはいい企業だ!」と判断し、
(その人にとって)割と大きな額の投資をしたとします。
投資実行後、他の「経済や株式投資に関して割りと知識や経験のある人」が、投資家自身が気づいていない当該企業のリスクについて指摘したとします。
その指摘に対して、以下のいずれかの反応があったとします・・・
(1)ムッとして聞きたがらない
(2)当該企業を良く評価してくれる人の意見を求めようとする
(3)そのリスクを過小評価して、議論をしたがる
(4)そのリスクについて非常に強い関心を持って聞き入る
さて、読者の皆さんは、どの反応を示す投資家でありたいと思いますか?


は、






す。
少なくとも僕自身は、
(1)より(2)、(2)より(3)、(3)より(4)の反応を示す投資家でありたいと思います。
しかし僕の経験では、
僕が当該企業に対するリスクを「親切で」指摘したとしても、
((1)は論外だとしても)
(4)より(3)、(3)より(2)の反応を示す方が多数です。

僕は、
「この会社どう思いますか?」とか、
「この会社いいですよ!伸びますよ!」とか言われるたびに、
「どれどれ」と、ざっくり調べてみたり、その業種業態に潜むリスクについて考え、考えた通りのことを答えます。
そのとき上記の(1)や(2)のような反応を示す投資家の場合には、
「この人、投資で成功したいの? 
      それとも議論に勝ちたいの?
      それともプライドを守りたいの?」
と不思議に思ってしまいます。
そもそも、どんな企業にもリスクがあります。
また、リスクを取らなければリターンは望めません。
リスクの指摘は、
「(株価が)絶対に上がらない」とか、
「(株価が)絶対に下がる」とかいうことではありません。
リスクを指摘されたからといって、指摘された銘柄を保有する投資家が、直接損失をこうむるわけでもありません。
しかし、投資対象に関するリスクについて十分に把握することが、投資活動において非常に大切です。
なぜなら、リスクを具体的に想定しておくことによって、そのリスクが顕在化する「兆候」を見落とさないで済みますし、そのリスクが顕在化したときに、どれほど一株あたりの価値にインパクトを与えるか、を直ぐに把握できるからです。
投資対象のリスクを十分認識し、「それでも投資する」という選択をすることによって初めて「自分を信じる投資」に成りえるのだと思います。

でも、親切心でリスクの指摘をした結果が、
「んなことたいした問題じゃねぇ!」
みたいに噛み付いてこられたら、僕自身も不愉快なので(笑)、今後は、
「ですよね、たいした問題じゃないですよね」
と柔らかくやり過ごすようにしようと思います(笑)
2007年10月30日 板倉雄一郎
PS:
教育事業って、ホント難しいです。
受講生はある意味「お客様」ですから、お客様の気分を害するようなことは極力しない方が、「金儲けとしては」良い結果に繋がります。
しかし、正しい知識が教育事業の「商品」だとすれば、間違っていることを、間違っていると指摘したり、その方が見過ごしているリスクを指摘することも大切なことです。
でも、それによってお客様の気分を害する場合、どう指摘すればよいか困ることがあります。
ホント難しいです。





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