板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「セミナーランナップ」

先週末(2008年1月12日?13日)は、実践・企業価値評価シリーズ第28回合宿セミナーでした。
年末年始に渡るサーバー障害によって、セミナー準備中は、新規受講生は集まらないのではないか?というガックリ系の想いでしたが、蓋を開けてみれば、定員30名には届きませんでしたが、19名の新規受講生に参加いただき、さらに50名を超える再受講生と共に、盛況のうちに無事合宿セミナーを終了することができました。
新規受講生の方々、再受講生の方々、ありがとうございました。


今回の新規受講生の方々の顔ぶれは・・・
どういうわけか自動車関連大手企業の方々、
(↑ 土曜日夜の懇親会後の「ロビー懇親会」では自動車談義に(笑))
自動車以外の大企業の経営企画・管理部門の方々数名、
不動産関連ビジネスをされている方、
監査法人に勤める方など、公認会計士の方3名、
某広告代理店に勤務されている女性の方、
今回の海外からの受講生は、米サンフランシスコから1名、
大学生の方1名、
IRコンサル、経営コンサルの方々数名など。
今回の特徴は、いわゆる経営・会計における「プロ」の方々が大半を占めていたことです。

セミナーカリキュラムの最後「ワークショップ」では、新規受講生の方々のチームによって受講生が自力でバリュエーションを行っていただくのですが、今回は、普段から経営や会計に携わっている方が多かったせいか、どのチームも説得力のあるバリュエーションを行っていました。

今回の講義用評価対象企業は、「ビールも売っている不動産事業会社」で、スティールパートナーズによるTOB最中のサッポロホールディングス。
今回のワークショップ用評価対象企業は、一昨年上場したIT系ベンチャー。
ベンチャーの企業価値評価は、極めて難しいのですが、今回は評価対象企業の代表者K社長にもゲスト参加いただいたので、ワークショップ開始前に、受講生から代表者への「質疑」が実施され、バリュエーション上の必要な情報を「代表者から直接得ることができたこと」が大変参考になったと思います。
活発な質疑応答は、さながら「株主総会」でした(笑)
結構長い時間の質疑応答を終えたときのK社長の感想は・・・
「昨年の株主総会よりハードでした」とのこと(笑)
ある意味、企業価値について理解している投資家からの質問は、経営者やIRにとってハードかもしれません(笑)

結果は、昨今の相場下落もあり、どのチームも「買い」でした。
実は、僕自身もこの企業は「買い」だと思っていますが(現時点では株主ではありません)、その最も大きな理由は、「代表者自ら企業価値評価の知識を経営に生かそう」という動機の下、過去に合宿セミナーを受講されていたことです。
彼が受講したときの動機は、「証券会社のアドバイスの言いなりになっているわけには行かない」
ということでしたが、その動機に極めて納得したのを覚えています。

増減資、有利子負債の増減、自社株買い、配当、そしてIRなど、いわゆる企業の「調達サイド」の財務オペレーションにおいても、企業価値評価の知識は「絶対に必要」ですし、また、新規(事業)投資、M&Aなど企業の「運用サイド」においても、企業価値評価の知識は「絶対に必要」です。
投資家の視点では、このような知識を持ち合わせていない経営者の経営する企業への投資は、博打に等しいとさえ思います。
その点において、今回の評価対象企業は投資に値すると思うわけです。
(もちろん事業内容も、高く評価できると思います。)

ワークショップ中、この代表者に「セミナーの効果はありましたか?」という質問をしたところ、「細かい数字はともかく、経営戦略を立てやすくなった」という返事をいただきました。
セミナー主催者としては、非常に嬉しい限りです。
K社長、ゲストとしていらしていただき、ありがとうございました。
(↑ って、名前を伏せる理由は特に無いのですが、とりあえず(笑))

(独り言)「本日の相場で、この会社の株式が高騰しませんように」
なぜなら、受講生が長期投資を前提にしたこの企業への投資を行うのなら全く問題ありませんが、短期投機が目的の場合、「受講生同士のゼロサムゲーム」になってしまう可能性があるからです。
受講生同士のゼロサムゲームなんて、悪夢ですからね。

<嬉しい報告の数々>

セミナー卒業生も700名を超えると、セミナーの度に「嬉しい知らせ」をいただきます。
今回も、セミナーの効能として、いくつかの嬉しい知らせをいただきました。

嬉しい知らせ(1):希望職種への転職

32歳、土木建築技師のセミナー卒業生の方は、以前から経営コンサルへの転職を希望していましたが、昨年末に、複数の大手コンサル企業への内定が決まったそうです。
僕が嬉しかったのは、その面接の段階で、当事務所のセミナーで学んでいることをアピールしたことが、内定の大きな理由だったということです。
彼は、履歴書に、「面接担当者が、セミナーのことについて質問するように」、当事務所のセミナーについてしっかり記述したそうです。
面接時、彼の狙い通り、面接官がセミナーについて質問を始め、彼はここぞとばかり、セミナーについて、セミナーで学んだ知識について、アピールしたというわけです。
結果は、年収50%アップ!
あっという間のセミナー参加費用の回収ですね(笑)
おめでとうございます!
でも、転職してからの活躍次第ですね。
がんばってください!

嬉しい知らせ(2):ある大学生の就職活動成功

某私立有名大学経済学部4年生のセミナー卒業生は、今あまり芳しくない業績で注目を集めている米系投資銀行Mリンチ(←そのまんまじゃん)への就職が内定しました。
学生時代にこのセミナーを受講すること自体、すばらしいことだと思いますが、セミナーで得られた知識が就職活動にダイレクトに生きたケースとして、すばらしいと思いました。
就職における試験の内容は、なんとDCF法。
セミナーで学んだ知識は、回答をスラスラ出すことができたことでしょう。
おめでとうございます!

これら以外にも、いくつか嬉しい「セミナー効能」のお知らせをいただきました。
こういう話をいただくと、「セミナー活動やっててよかったよぉ?」って本当に思います。
就職や転職ばかりではなく、自社の経営においても、個人投資家としての活動においても、僕たちのセミナー活動がセミナー卒業生の生活にプラスに働いていることを知ることが、(個人的にはあまり儲かりませんが(笑))セミナー活動を継続させる原動力になっています。
本当に良かったですね。
そして、お知らせいただき、本当にありがとうございます。

<懇親会や打ち上げでの話し>

セミナーの全カリキュラムが終了した後、自由参加の打ち上げを毎回実施します。
セミナーカリキュラムから離れて、世のもろもろについて話すこともまた楽しいわけです。
で、打ち上げで話した内容をいくつか・・・

「証券会社のインチキ講義」

この話は、今回2件知りました。
一つは、ある大学へ某大手証券会社の社員が「わざわざ」出向して、インチキ金融知識を教えている話。
もう一つは、ある金融機関の社員教育カリキュラムで、インチキ金融知識を教えている話。
これら二つのケースはどちらも卒業生が直接接したことですが、それぞれ別の話です。
別の話なのですが、どちらの場合も、「有利子負債にはコストがあるが、株式にはコストが無い」とか言っていたそうです。
これ、由々しき問題です。
株主資本コストがゼロってことは、株主に対する利回りは考える必要が無いってことですが(笑)、それを、企業の株主がお客さんであるところの証券会社が、自社の社員教育や、大学生に対して教えているわけですから、もう、なんというか、あのぉ?、えーと、表現のしようがありません。

そんな証券会社はどうでもいいです。
そんな証券会社でインチキ知識を持った社員もどうでもいいです。
かわいそうなのは、そんなインチキ知識を伝えられる学生や新入社員ですよね。
あきれてしまいます。

証券会社の方のすべてが、間違った知識を持っているというわけではありません。
極めて優秀な方もたくさんいらっしゃいます。
この場合、要するに、「手抜き」なんでしょうね。
わざわざ大学に出向いて教えようとする場合、優秀な人材をそれに割くわけにはいかないと。
で、よくわかっていない人を送り込んでしまっているのでしょう。
本当は、「足元の稼ぎ」より、「将来の稼ぎ」のための教育の方が遥かに重要なんですけどね。
ただ、この某大手証券会社の場合、「大学生にも積極的に教えています!」みたいなことを、積極的にアピールしているところが問題ですね。
企業の姿勢そのものがインチキなわけです。

「投資家の失敗をプロゴルファーにたとえて」

僕も投資活動において「明らかな失敗」をすることがあります。
「くそぉ???!」って思う場合と、
「まっ、仕方ないな」って、すっと諦めることができる場合があります。
この違いは、あるプロゴルファーの話を聞いて、明確になりました。

あるプロゴルファーのテレビでのインタビューの話です・・・
「プロゴルファーは、アドレスに入る前に、いくつかのチェックポイントがある。
 チェックする項目は、平均的に20項目程度。
 プロは、それを数秒の間にしっかり行う。
 すべてのチェック項目をしっかりチェックした上でのミスショットなら、そのミスをあっさり諦め、次のリカバリーショットに頭を切り替えることができるが、いくつかのチェックすべき項目をチェックせず、その上でミスショットしたときは、そのミスが頭から離れず、次のショットにも悪い影響を与える。」
これ、投資活動における失敗にも通じます。
相場全体のトレンド、為替動向、投資しようとする個別企業の株価推移、出来高推移、業績分析、ビジネスモデル分析、バリュードライバー分析、株主や経営者など利害関係者の分析、そして企業価値評価・・・これらすべてを完璧に実行し、自信を持って投資した場合、その後に評価損が膨らんでも、「まあ、仕方が無い。そのうち持ち直すでしょう」ってことで、「投資タイミング」以外の反省は特に無く、平然としていられます。
しかし、これらチェックポイントのどこかを忘れ、半ばテキトーに投資し、その後、その投資が失敗であったことに気づいたときは、なかなか諦め切れません。
そんなことが、何度か続くと、「俺って本当にアホだ!」と落ち込むことになり、しばらくの間、投資家としての自信喪失になってしまいます。
これ、非常にまずいことです。一度の失敗が後を引くわけですからね。
つまり、自らが可能な限りの努力をした上での失敗なら、少なくとも僕の場合、あっさり失敗を受け入れることができるのですが、それを怠った上での失敗は、自らを許しがたいわけです。
皆さんも気をつけてください。
(↑ 以上は、過去のエッセイのどこかで書いたような気がしますが、エッセイの数も1000を越えている現在、思い出せません(笑))

その他・・
「国家とは何か」や、
「日本の株価が下落傾向なのは、日本人が買わないから」や、
「年金問題をはじめとする政治・行政の混乱が、日本人をして、将来への不安を募らせ、結果として経済が停滞する」や、
「北米の経済は、いつごろ持ち直すのか、ジリ貧なのか」や、
「中国のバブルは、いつごろはじけるのか」などなど、多種多様なバックグランドを持つ受講生の方々との会話を毎回楽しませていただいています。
まだセミナーに参加されていない読者の皆様も、機会があれば是非。

<実践・企業価値評価シリーズ第29回合宿セミナー募集開始!>

ということで、次回開催の募集を本日開始しました。
当初、次回は4月開催の予定でしたが、もろもろスケジュール上の都合があり、第29回は、3月の開催となりました。
ご興味のある方は、是非この機会に。
こちらをお読みいただいた上で、お申し込みください。

(なお、現在、サーバー障害からの復旧中であるため、すべての入力フォームが稼動しておりませんので、入力フォームの稼動までの期間におけるセミナーのお申し込みは、セミナー案内ページに記載の通り、必要事項をお書きいただいた上でメールにてお申し込みください。入力フォームの復旧は1月中を予定しております。ご不便をおかけして申し訳ありません。)
以上、よろしくお願いいたします。

2008年1月15日 板倉雄一郎

PS:
サーバー障害によって、「僕にとって今のセミナー事業は大切な事業だな」という思いを新たにしました。
なんというか、「なくなってみて初めてその価値に気が付く」っていうパターンです。
2008年も、コツコツやっていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。





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