板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「ああ株価対策」

新興(特に)IT関連企業の「株価対策」が煩雑に行われています。
ただし、彼らの思うところの「株価対策」に過ぎません。

たとえば・・・(過去に書いた例の範囲で)
KISS第101号「日本駐車場開発は太っ腹?」や、
ITAKURASTYLE「GMOって忙しい会社ですね」や、
KISSで散々取り上げたライブドアの経営(「経営」とはとても呼べませんが)など、
それはそれは、良くて「迷走」、悪くて「インチキ」。

なぜか・・・
たかが自動車を運転するだけでも「免許」が必要ですし、
たとえ、まずい料理を出す店でも「免許」が必要ですが、
経営者、とか、企業家、とか、もちろん上場企業経営者であっても、
それには、「免許」は必要ないから、なのかも知れません。

起業家と称する「一応の」経営者は、その多くが、
実は単に「営業部長」だったり、単に「企画部長」だったりするだけで、
一時の「金儲け」には成功します。
しかし、彼らは、
他人資本を広く募り、その運用に責任を持つ立場の「経営者」ではないまま、
または、
その知識を持ち合わせていないまま、
上場してしまったり、メディアにもてはやされたりする結果、
「俺は、経営者として立派なんだな」なんて、勘違いをするからでしょう。

株価対策とは、つまるところ、「企業価値の最大化」であって、
喜怒哀楽の激しい市場が付けた短期の「価格」を、
「操作」することではありません。
どれほど「テクニカルに」株価を操作したところで、
本質的な価値に変動がない限り、一時の株価対策で終わってしまうわけです。

上記の企業のテクニカルな株価対策と、
その後の株価推移を是非比べてみてください。
早ければ、数日、遅くとも数ヶ月で、元の木阿弥、
ならまだマシですが、
多くの場合、知識のないまま「いじりすぎる」結果、
市場の「わかっている人=頭数は少ないが動かす資金量が大きい」からの
信頼を失い、結果として、裏目に出るわけです。
きっと、企業経営における「理念」が無いのでしょう。

ああ株価対策・・・
そんな行為は、よほどのことがない限り必要のないことです。
経営者が考えるべきことは、しつこいようですが、
その株価を担保する「企業価値の最大化」に他ならないのです。

「デイトレが大好き!」という、ある一部上場IT系企業の経営者が実在します。
(「今日は自宅で仕事する」とか言って、
 会社行かずにデイトレ三昧ですから呆れます。)
彼は、「企業価値」についての概念をまったく知りません。
予想通り、わけのわからない「株価対策」をし続けています。
哀れです。

彼らの問題は、「知識」に対して、あまりお金を払わないことです。
自分の指示通りに「機械のように働く人間」を、
ひたすら安く雇用しようとするだけで、「知識」に金を払おうとしません。
その付けは、いずれ彼ら自身が払うことになるでしょう。

賢明なる投資家は、そんな「チーム」に株主として参加してはなりません。
正義でも、モラルでもなく、「経済的な損失」を被ることになるからです。

2006年9月13日 板倉雄一郎

PS:
「ある一部上場企業経営者」の女性を口説く常套文句は、

「僕は、君が会った男の中で、一番金持ちだよ」
らしいです(笑・・・実際に口説かれた複数の女性から聞いた話です。)

思い当たる社長殿、あなたの下品な口説き方を、
結構多くの人が知っているのですから、考え直したほうが良いと思います。
「品」とは、
ばっちりスーツを着こなし、ピッカピカの靴で歩くことでは無いのです。
上記のような「下品な言葉」を使わないことなのです。
下品な言葉や経営手法は、どんなに繕っても、本人の「下品な心」から、
自然と出てきてしまうのです。

以上は、当人に向けた「苦言」です。
揶揄することが目的ではありません。
だって、それでも友人ですから。

と書く僕は、僕自身を決して「上品だ」などと思っているわけではありません。
ってか、かなり「表面的には」下品ですから、僕。

下品言葉ランキング・・・
1位・・・「しこたま儲けましたよ。儲けることの何がいけないんやぁ!」(笑)
2位・・・「企業は株主のものやぁ!」(笑・・・ある人のワンツーフィニッシュ)
3位・・・「(上記の)僕は、君が会った男の中で、一番金持ちだよ」(笑)

そして最も下品なのは、そんな下品さをエッセーで取り上げる僕。
ああ、こういうのもうやめたい。
本と、下品だと思うわ。





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