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ITAKURASTYLE「知識レバレッジ(SF)」

もし僕が、無限大の予算を与えられ、
「空飛ぶ円盤」(←表現が古過ぎ(笑))を、
開発しなければならない立場になったとしたら・・・

「世界中から天才科学者を集めて反重力エンジンの開発に挑む」
なんてことは、やりません。
なぜなら、そんな技術は(おそらく)この世に(現時点では)無いからです。

ではどうするか?

「世界中から遺伝子や生物学に関する天才科学者を集めて、
 天才科学者に成りうる『新生物』を生み出し、
 その『新生物』に、反重力エンジンを開発させる。」
という手段を取ります。

つまり、
今ある技術や知識を「直接」利用するのではなく、
今ある技術や知識によって、
今以上の技術や知識をもてるであろう「生物」を創り出す事を通じて、
「知識のレバレッジ」を得る手段を取るのが合理的だと思うわけです。

さて、以上は、「倫理観」を無視したSFの御話しです。
しかし、以上の考え方は、本当にすべてSFの話しでしょうか?

僕は、以上を「絵空事」だとは思いません。
なぜなら、「企業活動」は、まさに「知識レバレッジ」だと思うからです。

「企業は人なり」とよく言われます。
「人を育てない企業は、いずれ崩壊する」とも言われます。
全く、その通りだ、と思います。

知識や技術、そして社風などを過去から受け継ぎ、
それらを受け継いだ者が、新たな価値を創造する。
その繰り返しこそが、企業の存在意義だと思うのです。

以前、以下のような命題を書いたことがあります。
「さて、トヨタ自動車は、本質的に何業でしょうか?」

僕は、その一つの答えを、
「車作りを通じて、人を育てる業」だと思います。

おそらく、数十年後には、
今、車作りを通じて育った人間が、
「燃料電池駆動によるロボット」
なんかを作って売っているのではないかと思います。
あくまで妄想の範囲ですが。

2006年7月3日 板倉雄一郎

PS:
週末は、第18回合宿セミナーでした。
いつものように、楽しく、充実した2日間でした。

今回のセミナーの特徴は、
1、過去最多の参加人数
2、過去最多の海外からの受講生
(↑ オーストラリア、アメリカ本土、ハワイ、フィリピン・・・)
3、ワークショップが「初めて」時間内に終了した
(↑ ワークショップとは、セミナー最終コマで、受講生のグループによって自力で行うバリュエーション)
4、ワークショップでのバリュエーションにおける「Ke=株主資本コスト」に、すべてのチームが、 (あてにならない)CAPMを利用せず、「自分勝手割引率=自己予定利回り」を利用していた。
などの特徴がありました。
(ちなみに、ワークショップ評価対象企業は、「昭和シェル石油」、
 講義用評価対象企業は、「阪神電気鉄道」でした。)

本文で書いたように、僕自身も、
「人を育てる事業」を行えていることに、とても感謝しています。
彼らが、彼ら自身と彼らが暮らす環境のハッピーの力になる事ができ、
僕自身が、その「一つの力」になれていると実感できれば、
それ以上の僕にとってのハッピーはありません。

PS^2:
そもそも「子育て」とは、「知識レバレッジ」に他ならないと思うのです。
そもそも「教育」とは、講師が知っていることを100%伝えるだけでは、
十分な目的を果たせていないと思うのです。
講師の知識を伝え、
その知識を伝えることによって、更なる知識を生み出す者を育てる事が、
教育の本来の目的だと思うのです。

僕なんぞを遥かに超える知識を持つ者を、
僕自身が育て、
「あらぁ~やられた! 教えなきゃ良かった」
と思えるような人が育つことを期待しています。

そのとき、僕は、「悔しくなる」と思いますか?
いえいえ、僕はその人に「投資」しますから、大丈夫です(笑)

PS^3:
当事務所のパートナーO氏は、ワールドカップ観戦に行ってきました。
詳細はこちらから。
如何にディフェンスが大切かについても、しっかり書いています。

 





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