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ITAKURASTYLE「リクエストに答えて(3)サブプライムローン問題その2」


米国サブプライムローン問題について、
「誰がババを引いているかわからないことが最大の問題」
と過去に書きましたが、このところ、
「私ババ引いちゃってました!」
という金融機関が続出していますよね。
AIG、ゴールドマンサックス、メリルリンチ・・・
(特にメリルリンチはひどいですね)
「リスク管理は大丈夫なの?」
という市場からの厳しい評価は当然ですが、
一方で、
さっさと「膿出し」を行う姿勢は結構評価できると思うのです。
これが、日本の「お役所系(=たとえば年金運用)」となると、「わかっているのにしばらく公表しない」という最悪の行動をしかねないですからね。
投資家が最も嫌うのは、
「悪い知らせ」以上に、「悪いことをさっさと知らせない経営」です。
そんな折、ウォーレンバフェット氏は、
「米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)市場の問題が続いた場合に割安となる企業を引き続き探していく」
と表現しているようです。
確かに。
こういう悪材料が立て続けに出る時、ミスターマーケットは実態以上に悲観的になる傾向があります。
しっかり価値を見極めることができる人にとって、サブプライムローン問題による株価下落は、「投資チャンス」となるでしょう。
一方、「真っ当な経営を行っている日本の輸出企業の株主になるのがリスクとリターンのバランスが良い」と表現しているのは僕ですが、米景気後退「懸念」を考慮すれば、
その企業の輸出「地域」はどこか?
工場などの新規投資「地域」がどこか?
が投資対象を評価するうえで非常に重要になるということでしょう。
IRをしっかりやっている企業の場合、WEBサイトなどに、「(輸出)地域別売り上げ」なるグラフ付きの資料をアップしている企業もありますので、これと合わせて、「現在投資を行っている地域(=将来の売上比率が高くなるであろう地域)」を調べ、投資対象の選定に生かすべきだと思います。
とはいえ、たとえば、北米以外の売り上げ比率が高い(または、高くなる)としても、その企業の株価が、割安であるかどうかは、企業価値評価ができなければ把握できませんけれど・・・
以上、皆様の参考になれば幸いです。
2007年10月26日 板倉雄一郎
PS:
今週末は、「実践・企業価値評価シリーズ第27回合宿セミナー」です。
セミナーでも、サブプライムローン問題に端を発する様々な問題について意見が交換されると思います。
楽しみです。
読者の皆様も良い週末を!





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