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ITAKURASTYLE「大切なのはディフェンスなんだよ!」

「サッカーで勝つためには、どうすればいい?」
と質問すると、多くの人は、
「相手のゴールを奪う(=点を取る)」
と答えます。

間違いです!!!!!!

サッカーで勝つためには、「ゴールを奪われないようにする事」が大切なの。
勝つためには、先ず、負けないようにする必要があるの。

あと、「成功体験は、後の失敗を生む」の。
川口選手は、前半~後半の前半まで、
ほとんど「一人ディフェンス」で調子が良かったの。
で、「おっシャー、おれがなんとかするでぇ~」って、出て行っちゃったの。

多くの人は、昨日のオーストラリア戦の敗因は、
「得点のチャンスを逃したから」と言うけれど、
(ジーコも同じようなことを、試合後のインタビューに答えていた)
違うの!
「ディフェンス」なの。

相手のゴールを奪いに行くという事は、
その瞬間ゴールを奪われるリスクを背負います。
企業が、新規事業を始めようとすれば、
その瞬間、新規事業が失敗するリスクを背負います。
しかし、
サッカーで、ゴールを奪いに行かないわけには行きませんし、
企業が成長のために新規事業をやらないわけにも行きません。
そのとき大切なのは、
サッカーの場合、
「安心して攻撃できるための信頼できるディフェンス」ですし、
企業の場合、
「そこそこの事業利回りでも、
   企業価値を増大させられるための『低い資本コスト』」
なのです。

企業が価値を創造するためには?
という質問に対して、
「利益を上げる!」と答える人が大半です。
もちろん、間違いではありません。
が、利益を上げること以上に、「資本調達コストを上昇させないこと」
が重要なのです。

事業利回りを1%上昇させることと、
資本コストを1%低下させることの、
どちらが企業価値を押し上げるかといえば、
明らかに、資本コストを1%低下させた方が、企業価値が増大するのです。

すべては、その「両側面」を見なければなりません。

「調達と運用」、
「インフレ率と増えたお金」、
「奪われたゴールと、奪ったゴール」、
「支払った価格と、手に入れた価値」、
「くだらん仕事に使った時間、くだらん仕事で得られた金」、

多くの場合、「本当にインパクトのある側面」が忘れ去られています。

事業の成否は、資金の運用側ではなく、調達側で決まります。
サッカーの勝敗も、攻撃ではなく、防御で決まります。

あー残念。

でも、次があるさ。
だって、「失敗体験は次の成功を生む」のですから。

2006年6月13日 板倉雄一郎

PS:
(読者)「おいおい、今頃ワールドカップネタかよ。」
(僕)「すいません、ビデオで観たもので。」





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