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ITAKURASTYLE「意思決定」

(今日は、ITAKURASTYLEらしく僕の個人的なことを書きます。
 新連載は、このサイトのリニューアル後に開始しますので、
 もうしばらくお待ちください。)

飲酒運転による事故が後を絶ちません。
顕在化した事故が毎日報道されるほどですから、
事故や摘発に至らない飲酒運転はもっとたくさんあるでしょう。

飲酒運転がなくならないのは、その対策がまるで効果的ではないからです。

車を運転して出かけてしまった以上、飲酒後に、
運転代行を呼ぶか、
駐車場に車を置いたまま帰るか、
飲酒運転をして帰るかの「意思決定」は、
「酔っ払った状態」で行われますから、まともな意思決定などできません。

飲酒運転の「罰」を重くしようが、
飲酒運転の「結末」をいくら報道しようが、
(一定の効果はあるにせよ)その情報を得るときは「シラフ」でも、
その情報が生かされるはずのときは「酔っ払い」ですから、
やっぱり効果が無いわけです。

よって、
真っ当な意思決定のできる「シラフ」の状態の内に、
飲酒運転の恐れがある環境を排除するのが合理的だと思います。

僕の場合、都内で飲む可能性のあるときは、
車を宿泊先のホテルに置きっぱなしにします。
自宅周辺で飲む可能性のあるときは、「徒歩」で行ける範囲に出かけます。
最近では、合宿セミナーの2日目に打ち上げで飲む可能性が高いので、
セミナー会場のホテルの部屋をあらかじめ予約しておきます。
つまり、
真っ当な意思決定ができる状態の内に、を心がけています。
(そんなに酒に弱いわけではありませんが)

これ、企業経営も同じだと思います。
ひとたび事業がスタートすれば、とんでもなく忙しい毎日がやってきます。
何かを始めれば、それを始めたことが、
その次の一手の意思決定に影響を与えます。
忙殺される中で、一つ前の一手の影響を受けながら、
次の一手の意思決定を続けるとなると、気が付いたころには、
「あれっ?こんなはずじゃなかったのに」となる可能性は高くなります。
つまり、
事業の失敗の本質的原因は、事業開始時点に潜んでいる、というわけです。

具体的な理念の確立もなく、
≒何のために事業を始めるのかも明確でなく、
「企業とは何か」という質問にも明確に答えることができず、
≒企業の存在意義も知らず、
企業経営における最低限のファイナンスの知識もなく、
≒経営者のミッションを知らず、
そんな状況で、単に「儲かりそうなアイデアや商材がある」だけで、
事業を始めるということは、
事業開始後のあらゆる意思決定の「基準」が無いということです。
意思決定の「基準」が無ければ、
「その場その場の障害を回避すること」だけに時間が費やされ、
「計画通りに事が運ばない」
⇒「やばいことをする」
⇒「バレそうになったら隠す手立てを考える」
⇒「誰かに助けを求め、不当な条件でも受け入れてしまう」
そして最後には、金も名誉もプライドも失ってしまう。

世の中には、
「違法じゃないからOKでしょ」とか、
「バレなきゃ、やってないも同然だ」などと、
自らの行動規範を、他人が作った「法律」に委ねるばか者がたくさん居ます。
僕は、
「飲酒運転は捕まれば処罰されるからしない」と考えるのではなく、
「飲酒運転は、自分と誰か他人の人生を壊すからしない」と考えます。
僕にも、
(飲酒運転によって傷つけてしまうかもしれない)誰か他人にも、
社会のために、やり残していることが、たくさんあるのですから。

2006年10月5日 板倉雄一郎

PS:
「今日は予定が無いな」と、夕方から近くの寿司屋で飲んでいるときに、
女の子からデートの誘いがあった場合はどうするか?(笑)
もう酔っ払っているから真っ当な意思決定ができないわけです。
だから、最初からケータイを家に置いていく。





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