板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「メッセージ」

テレビ放映をきっかけに、このサイトを始めて訪問いただく方々のために、これまで僕が訴えてきたメッセージを簡素にまとめて書いてみたいと思います。

メッセージ1:「すべての経済的取引は、価値と価格の交換である」

すべての経済的取引は、それが、
株式投資であれ、
債券投資であれ、
不動産投資であれ、
企業買収であれ、
消費活動であれ、なんであれ、
誰かの価格と、他の誰かの価値の交換です。

価値を把握できない対象に、大切なお金を使うのは馬鹿げています。

たとえば、自動車を買うとき、多くの人は、その価格と自動車という価値を比較し、その上で高い安いを考え、購入の意思決定をします。
これは、株式投資でも「全く同じ」です。
株価チャートには、その株式の持つ価値は一切表現されていません。
価値を無視し、価格変動にだけ興味を持つのは、博打と同じです。
株式投資をするなら、その株価で手に入れることが出来る価値(=株主価値)を把握できる人がするべきです。


メッセージ2:消費も投資も基本は同じく「投資」である。

すべての経済的取引は、「消費」と分類されている行動でさえ「投資の一部」です。
レストランで御食事をする・・・一般的には消費とされますが、食事をする目的は、「楽しい時間を過ごす」、や、「栄養をつける」など、要するに「価格」を支払、何らかの「価値」を手に入れるということに他なりません。
株式投資の場合、株価を支払、(投資家から観た)企業価値の一部である株主価値を手に入れます。
どちらの場合も、価値と価格の比較は非常に大切です。

「支払った価格以上の価値を手に入れる」

これは、いかなる経済活動においても豊かになるために絶対に外せないポイントです。
いわゆる株式などへの投資と、自動車や食事などの消費を分けることさえ、おかしなことです。
消費の場合、その投資対象は、時間経過と共に価値は減少します。
しかし、中には時間経過と共に価値が増大する場合もありえます。
株式投資も同じです。
価値破壊を行っている企業に投資すれば、その株主価値は時間経過と共に減少します。
真っ当な経営者による企業は、時間経過と共に価値が増大します。
消費の場合の価値把握は、得られる価値が「心の満足」という個人の価値観に強く依存しますが、投資の場合の価値把握は、得られる価値も「経済価値」であるため、消費の場合より「個人の価値観の違いによるブレ」は少なくなるだけです。

「投資とは、現在の明白な価格を差し出すことによって、将来の不確定な何かを手に入れるということ」

金融商品への投資の場合に限定すれば・・・

「投資とは、現在の価格と、投資対象が将来生み出すであろうキャッシュフローの交換である」

というわけです。


メッセージ3:経済的に豊かになるためには、自らの価値を創造すべし

「かっぱらい」や「搾取」でもない限り、個人が社会に対して、ある場合は企業を通じて、ある場合は直接社会に対して、何らかの価値を提供する見返りとして「お金」が得られます。
社会に対する価値を提供せずにカネを手に入れようとする行為は、運がよければ短期で成り立ちますが、少なくとも長期では理論的にも統計的にもモラル的にもありえません。

何かを売る場合・・・
「価値は自ら作り出すもの、価格は他人がつけるもの」
(堀江君の間違いは、価格そのものをでっち上げようとしたことです。)

何かを買う場合・・・
「価値は自ら把握するもの、価格はその価値に対して自らつけるもの」


メッセージ4:お金とは社会に対する議決権

お金は、それを消費や投資によって社会に対して「還元」して始めてその価値を行使できます。
タンスにしまっているお金は、社会の役に立ちません。したがって長期的にはその価格に変動がなくても、価値は下落してしまいます。

「カネが金を生む場合も、社会の役に立って始めて実現します。」

このとき、インチキ会社の商品を買ったり、インチキ会社の株式に投資をしたりすれば、あなたのお金は結果的にインチキを蔓延させる力を持ってしまいます。

「お金は、社会に対する議決権」なのです。


メッセージ5:社会に提供できる価値を増大させるには、先ず知識を学ぶ

がむしゃらに努力すれば豊かになれるわけではありません。
サッカーに置き換えましょう・・・
がむしゃらにボールを追ったところで、チームの勝利は得られません。
サッカーのルールを知り、それぞれの役割と価値を知れば、どのようにすれば勝つことが出来るかがわかります。
それがわかれば、ただがむしゃらにボールを追いかけることが重要ではないことがわかるはずです。

「お金の仕組み、経済の仕組みを学ぶことと、カネにガツガツすることとは無縁です。
 むしろ仕組みを知らないからこそ、カネにガツガツし、結果として失敗するのです。」


メッセージ6:価値を生み出すのはカネじゃない、人なのです。

当たり前のことです。
我々が豊かになってきたのは、人が働き、社会に対して価値提供を一生懸命やってきた結果です。
この国が豊かで平和であるために、我々の環境(=たとえば資本主義)について学び、その上で何が出来るかを考え、社会に対する価値提供を楽しむことが大切です。
社会に対する価値提供が継続できれば、それこそハッピーです。
お金は、その価値を社会が評価した分だけ、勝手に入ってくるものです。
お金そのものを追いかける人ばかりになってしまえば、この国は崩壊してしまいます。


メッセージ7:未来は今の我々の言動が創り上げるもの

未来予測は、必要です。
しかし、未来は今の我々の言動が創り上げるのです。
予測した未来が、好ましくなければ、そうなら無いように今の我々が行動すればよいのです。


と、いろいろ書きましたが・・・

右フレームバナーより・・・

DeepKISS・・・主に企業価値評価に関するファイナンスの面を書いているエッセーです。
KISS・・・DeepKISSの過去のエッセーです。
SMU・・・現在の活動を僕が開始することになった経緯に関するエッセーです。後半は、ファイナンスの技術的な部分も書いています。
ITAKURASTYLE・・・このエッセーのように、僕の道具や思想について書いています。

よろしければ、お時間のあるときに御目通しください。

ありがとうございました。

2006年3月22日 板倉雄一郎

PS:
継続的な読者の方々にとっては、無駄なエッセーでごめんなさい。
でも、同じことを何度でも、違った角度から訴え続けさせてください。
カネカネ社会は、我々自身を滅ぼしてしまいます。

PS^2:
本日も、あるテレビ局の「特別番組」の出演打ち合わせをしました。
これまた「短期トレードを煽るような企画のたたき台」だったので、散々説教しました。
テレビの影響力は非常に大きいわけです。作り手がその内容に対して理解していない状態で番組を作るなんてのは、視聴者に対して極めて無責任。
2時間以上、打ち合わせではなく、講義をしてしまいましたとさ(笑)
いい番組、本当のことを伝える番組を作り、視聴者に価値を提供していただきたいと思います。
出演するかどうかは未決・・・ですがアドバイスはいつでもするということで。

 





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