板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「本末転倒」

いきなり「自動車の扱い」という比ゆで恐縮ですが・・・

僕は、自分が所有する自動車を割りと神経質にメンテナンスするほうです。
ボディーの傷、汚れは気になるし、
特に海や雪道に出かけたときは、塩分を洗い流すために直ちに洗車するし、
エンジンや駆動系の不具合に至らないように油脂類の交換はこまめに行うし、
ホイールアライメントが狂えば、コストをかけて調整するし、
ローテーション可能なタイヤ(←ユニディレクションでなく、前後のタイヤサイズが同じ)であれば、こまめにローテーションするし、
室内においても、快適にドライブできるように、こまめに掃除をします。
自動車に関し下手に知識があるものだから、いろんなことが気になり、気になれば直ぐに対応しないと気が済まない、そんな傾向があります。

けど、メンテナンスに神経質になっている自分に気がつくと、

「おい俺、ところでそのメンテナンスは、何のためにやってるんだ?」

と疑問に思うことがあります。

今、フェラーリなどの平べったい車を卒業した僕が主に乗っている車は、キャンプや釣り、そしてオフロード走行を楽しむための「道具」として購入したトヨタランドクルーザー100。
なのに、あまりにも神経質にメンテナンスしていると、オフロード走行における泥んこ遊びを躊躇するようになります。
それじゃ本末転倒ですよね(笑)

道具を道具として快適に利用するためのメンテナンスならばやってしかるべきですし、メンテナンスがろくにできない人はその対象を管理する能力に欠けると思います。
けれど、メンテナンスに神経質になりすぎると、何かの目的のために道具を道具として快適に使うことより、道具を綺麗に保つことそのものが目的化してしまうことがあります。

そんな時、僕はこう思います・・・

「俺って、本末転倒。」

以上は、自動車の扱いを比ゆとして使いましたが、自動車でなくても何でもそうです。

「お金」は、誰でも欲しいですよね。
だから、お金を貯め増やすことには誰でも興味があります。
お金が増えてゆく様は、気分の悪いものではありません。
けれど、そのお金、一体何のために必要なんでしたっけ?

「知識」は、誰でも欲しいですよね。
だから、知識を得ることには誰でも興味があります。
知識を習得し、腹の底に落ちる理解が得られたとき快感を感じます。
けれど、その知識、一体何のために必要なんでしたっけ?

目の前の「手段」に没頭しているうちに、本来の「目的」を失ってしまう「本末転倒」は、それに気がつくのが遅れると、おそらく人生の最も大きな損失・・・時間の損失になってしまいます。

2008年3月26日 板倉雄一郎

PS:
現在募集中の第30回合宿セミナーは、「合宿形式としては」最終回になります。
このセミナーで得られる知識は、株式投資、企業経営、普段の業務や生活を行うための「道具」です。
つまり、知識を得ただけでは何の意味もないわけです。
企業価値評価やファイナンスの知識は、様々な意味で、極めて役に立つ「手段」ですが、ある意味「知ってて当たり前」のレベルの話だと思います。
そんな知識は、さっさと習得し、その知識を応用する段階に進まないと人生の時間がもったいないと思います。

PS^2:
僕個人の人間関係について、このところ考える機会が多いです。
人との付き合いは、相手が許してくれる限り「継続性」を前提にしますが、その人との関係を維持継続するために、他を犠牲にしている場合もありますよね。
それはやはり本末転倒。
「どっちを取るか」という選択が必要な場合、「そもそも僕は何をしたくて生きているんだっけ?」に立ち返ることにしています。
人間関係の大半が「正のシナジー効果」ばかりなら言うことありませんが、どれほど勤めても現実には「トレードオフ」の場合がありますよね。
それに気がついたとき、互いのために関係を断ち切ることも必要ですよね。





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