板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「バーゲンセール?」

ひとつの株式市場の株価変動が、世界中に伝播するようになったのは、
1、世界的に有利子負債によるレバレッジが効き過ぎていること(=金余り)
2、企業のキャッシュフローの源泉が世界中に広がっていること(=グローバル化)
の2つが大きな原因として考えられます。
ここ10年ぐらいで、その傾向は一層強くなりました。
よって、「どこかの何らかの問題」は、グローバル化の結果、その価値変動が「広く伝播」し、且つ、レバレッジによって「増幅(=Amplifired)」されます。

私達投資家に求められることは、市場全体を「十羽一からげ」で原因を探ることより、一つ一つの企業の将来業績予測をしっかり行い、
1、ミスターマーケットに引っ張られた結果の当該企業の株価下落なのか?
2、そもそも当該企業の将来業績を低く見積もらなければならない事態(=価値下落)の結果、株価下落となっているのか?
つまり、「単なる価格変動=バーゲンセール」なのか、「価値変動による価格変動=腐った果物」なのかを見極め、1であれば投資のチャンスであり、2であれば投資のチャンスとはいえない、と言うことを明確に確認する必要があります。
個別企業それぞれを精査しなければ、投資のチャンスは見つけられないというわけです。

とは言え、「底値」を見極める明確な手法がこの世に存在するわけではありませんから、いつも書いているように、「価値 > 価格」のタイミングを待つことの方が遥かに合理的です。
必ずしも、「底値」で投資する必要は無いのです。
(というか、「底値」を見分ける明確な手法など、この世に存在しません。)

大きな変動があるときほど、冷静に客観的に、そして合理的に判断して行動することが求められます。

現在、最も懸念されることは、「世界の消費市場北米」の景気後退です。
グリーンスパンが言うように、年後半に北米の景気が後退するようなことがあれば、世界中のあらゆる企業は、その業績を下方修正せざるを得なくなり、それは「価格変動」ではなく、「価値変動」となります。
着目すべきは、短期の株価変動より、北米の景気です。

2007年3月5日 板倉雄一郎





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