板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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ITAKURASTYLE「バフェット&ゲイツ」

ご覧になった読者の方もいらっしゃると思いますが、昨日(2008年2月8日)の夜、NHK-BS1にて、「ゲイツとバフェット後輩と語る」(←邦題)という番組が放送されていました。
英題は、「BUFFETT & GATES GO BACK TO SCHOOL」なのですが、邦題になると、バフェットとゲイツの順番が逆になるところが面白いですね(笑)
確かに、一部の投資家やこのサイトの読者を例外に、この日本では、ゲイツの知名度は高いですが、バフェットの知名度は、無いに等しいですからね。

この番組を観た僕の感想は・・・
(1)ゲイツの発言は、「やはり」面白くない(笑)というか示唆が得られない。
(2)バフェットの発言は、ウィットに富んでいて、且つ示唆が得られる。
でした。

バフェットの言葉の中で印象的だったことは・・・
(1)「幸せ」は、自分の心の中にある(自分の外部の点数より、自分の内部の点数を重んじるべき)
(2)学生の「誰にアドバイスを求めますか」という質問に対し、「鏡を見る」と答えたこと。
投資活動という仕事の性格上、誰も責任を取らない多人数の合意による判断は、そこそこの成果しか上げられないという意。
(ただし、パートナーのチャーリー・マンガーや、昔の師匠であるところのベンジャミン・グレアムに対する敬意はしっかり言及していました。)
(3)学生の「失敗したことは」という質問に対し、「自分の失敗は表に出ないところで起こっている」と答えたこと。
投資活動における最も大きな失敗は、チャンスであることを認識しながら、そのチャンスを生かせなかったことにある。したがって数字には表れない。
(4)学生の「どんな方法でガバナンスを保っているのか」という質問に対し、「新聞テスト」を例に出していたこと。
新聞テストとは、「今日、自分がやったことが、明日、新聞に載ったとして、自分の家族や友人や世間が嫌な思いをするかどうかを行動規範にする」ということ。
つまり、厳密なルール作りより、一人ひとりの善意による判断を尊重するという姿勢。

などでした。

つまるところ、バフェットの生き方には、常に「自分」があるということ。
責任は自分にある。
判断は自分が行う。
幸せは自分が幸せと感じるか否かに依存する。
アドバイスは自分に求める。
生きてきた時間の大部分は、自分で考えることに費やしてきた。

さらにつまるところ、自分自身が下した判断によって得られた成果は、それがどんな結果であれ、等身大の自分の姿であり、それに満足できなければ、自分自身への投資を行い続けるしかない。
そう感じました。

彼の言葉は、どういうわけか、僕自身に自信を持たせてくれます。
なんか不思議な人ですね。
そしてとてもチャーミングだと思います。

世界一の投資家という側面より、彼の生き方そのものが好きなんですよね、僕の場合。
僕の場合、計算上、うまく行っても、彼と同じ年になるまでに、現在の彼の資産の100分の1にも届かないでしょう。
(↑ だって僕の場合、10年前にゼロリセットですからね。)
その意味で、「(資産家としての)バフェットになれる!」なんて思いませんし、「(資産家としての)バフェットのようになりたい!」とも思いません。
しかし、彼のような考え方に基づいた生き方ができれば幸せだと思います。

「ビルも私も、ものすごく運がいいと思う。
だって、自分のしたい事を、自分の好きなやり方で、しかも、自分が選んだすばらしい仲間と一緒にやっているんだから。」by Warren E Buffett

自分を信じる生き方。
幸せの根源は、これにあるのではないでしょうか。

2008年2月9日 板倉雄一郎

PS:
2006年に製作された番組なので、また再放送がある「かもしれない」ので、見逃してしまった方は、再放送をお楽しみに!
(このサイトで放送前にお知らせすればよかったですね。ごめんなさい。)

PS^2:
バフェットの言うところの投資の失敗を僕の例に当てはめれば、
(↑ 比較にならないほどチンケなことですが(笑))
2006年中に任天堂への投資を行わなかったことです。
2006年の板倉雄一郎事務所のクリスマスパーティーでも、Wiiを使ったゲームで盛り上がり、皆で、「(ゲームフリーク以外の人もマーケットとして捉えようという戦略を実現した)任天堂ってすげえ!」みたいな話をしていたにもかかわらず(←つまり投資のきっかけがあったにもかかわらず)、任天堂の有価証券報告書も読まなかったし、したがって1円も投資しなかったことです。
ああもったいない。
ああもったいない。





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