板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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会計ばなし 第6回「過剰在庫はいかがなものでしょう」

(毎週火・木・土曜日は、パートナーエッセイにお付き合いください。)

板倉雄一郎事務所パートナーの大橋です。

お正月はいかが過ごされましたでしょうか。
僕は実家やら友達の家で食べて飲んでの正月でした。
とても楽しい時間でしたが同時に体重も増加(涙

さてタイトルの過剰在庫。
読んで字の如く在庫を持ちすぎているということです。

昨今では在庫は出来るかぎり持たないのが良しとされています。
在庫を過剰に抱えたときに起こる問題は色々ありますが、
まず思いつくところで以下二つ。

1.保管スペースを必要とする。
2.キャッシュが滞る。

1については次のようなことが考えられます。

在庫が増えすぎ自社の保管スペースに収まらなければ、
倉庫を借りる必要が出てきます。
また、製造業で工場内の一部を在庫保管場所としている場合
在庫を減らして工場内スペースを上手く活用すれば
他製品の生産ライン設置が可能になるかもしれません。
倉庫を借りるのも工場内スペースを一杯使うのも
ムダが発生している状況といえます。

2についてはどうでしょう。
キャッシュの流れで考えれば
手許に製品が残っている状況はあまりよくありません。
製品が売れ、
回収をしてはじめてキャッシュインとなります。
製品在庫が手許に残っている状態は、
キャッシュインが無いことに加えて、
製品を作るのに要した材料費や人件費のキャッシャアウトが生じます。

お金は出るけど入りがない、
と言えば感覚的に良くないなと分かるかもしれません。

以上のことなどにより企業は在庫削減努力を行っています。

在庫削減の究極は在庫ゼロかと思いますが、
やはり現実的にはそうはいきません。

受注時に在庫がなく納入が遅れれば
顧客は次回から他の会社に発注する可能性があります。
ですから常に受注に備えて在庫を持っていて欲しい、
というのは営業部門の想いかもしれません。

また、
在庫は増えるが一個当たりの単価を抑えられるために
ある程度の数を作ったほうがいい、
というのは生産部門の想いかもしれません。

以上のそれぞれの立場から最適在庫量については、
議論が尽きませんが、
投資家の立場として財務諸表を見るときは、
売上と対比してみるのが良いと思います。

売上の増加よりも在庫の増加が大きい場合は
見込んだよりも売れなかった状況が考えられます。
在庫は減っているけれどよく見ると売上も減っている場合は、
その製品需要そのものが縮小している状況が考えられます。

一概に数字から決め付けることは出来ませんが、
以上のようなことを可能性の一つとして考慮するのが良いと思います。

さて僕自身が在庫を抱え過ぎていないか考えてみました。

なかなか在庫資産に該当するものが見当たりませんが、
敢えて「本」を在庫として考えると明らかに過剰在庫です。

本屋をぶらぶらしたり、
Amazonをチェックしていると、
ちょっとした興味でどんどん本を買ってしまいます。
ですから部屋に占める本を置くスペースの割合がどんどん
増えます。

それらの本を随時読んでいければよいのですが実際は、
読みかけの本、
読んでない本、
で一杯です。

これらはまさに在庫です。

在庫のままでは何も起こりませんから、
本を手にとって読み進める。
また、せっかくですから読んだ本について
何かの折に話題にしてみたり、
書評などを書いたり、
何かを書くときの参考にしたり
といったことが出来ると良いと思います。
そして純粋にその本から知識を得たり、
感銘を受けることは報酬に値すると思います。
企業で言えば収入に該当するでしょうか。
無理矢理か、、、(笑

良い本を選ぶ(良い品を仕入れる)力をつけて、
その本を読む時間を作り(在庫を溜めない)、
本から得たものを社会に還元していく(在庫をはける)、
といった一連のサイクルは企業で言えば、
良い在庫管理が出来ている状態と言えるかと思います。
これも無理矢理か、、、(笑

また、読み始めたときに内容が無いと思ったら
そこに時間を費やすことなく次に行くことが大事です。
持っていても価値のない在庫であれば思い切った処分も大切ですね。
板倉さんはそのあたり、ばっさりとやってしまうようです(笑。

参照:SMU 第114号「何をしない人?」

以上を考えると本については近年恒常的に過剰在庫ですから
在庫を減らす心がけをしていきたいと思います。
みなさんは在庫を抱えすぎていませんか?

ところで、、、
目下の過剰在庫は正月の食べすぎによる
お腹まわりの贅肉です(涙

2007年1月13日 N.Ohashi
ご意見ご感想、お待ちしております!

次回のパートナーエッセイは1月16日(火)に石野さんが担当します。

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会計ばなし 第5回「なんで違うんだ!」