昨日(2005年7月28日)の日本経済新聞に、ある方(=知人・金融畑・金融機関のトップ)のインタビュー記事を見つけ、その内容に「えっ???」を発見しました。
記事の内容を読む限り、
「配当の増加 → 時価総額の増加」と読み取れる内容でした。
何度も書いていることですが、配当とは、そもそも時価総額を担保する株主価値の一部を、現金というカタチで株主自身が引き出す行為です。
よって、明らかに、「配当」=「株主価値の下落」、になります。
なぜなら・・・
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「配当前の株主価値」=「配当金額」+「配当後の株主価値」
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であるからです。
つまり、現金を引き出す代わりに、「その分」株主価値は下落します。
(だから、悪いことだと言えるわけではありません。)
株主「全体」に対する還元とは、主に二通りの方法があります。
一つは、配当による「現金引き出し」であり、
一つは、株主価値≒時価総額の増大です。
(自社株買いは、株主「全体」に対する還元ではないので、割愛しました)
また、株主価値の増大とは、
「投下資本利益率の十分に高い投資対象に対する企業内部での再投資により、投資家に帰属する将来キャッシュフローの増大」、
または、
「当該企業の加重平均資本コストの低減」
によって、実現できます。
ちなみに、資本コスト低減の本質は、経営者に対する市場の「信頼」に他なりません。
株主価値の増大を伴わない時価総額の増大は、すなわち「バブル」です。
ただし、本記事の趣旨は、
「日本企業の経営者が、株主に対する価値配分を軽視した結果、日本企業の時価総額が低迷している」というもので、それ自体に、僕は100%賛成です。
しかし、上記のように、配当が時価総額を押し上げるというのは、根本的に間違っています。
確かに、使い道の定まらない現金=要するに遊んでいる現金、を、たくさん保有している企業は、個人にたとえれば「タンス預金」または、「銀行預金」であり、さっぱり社会の役に立たない現金です。
このような現金を企業内部に温存するのは、「おめでたい経営者」であって、さっさと、配当なり自社株買いなりの方法で、株主に還元すべきです。
事実、そのような会社はたくさんあります。
しかし、上場している企業の中には、投資対象が具体的にあり、そのための準備として、現金を一時的に積み上げている企業もあります。
このような企業の場合には、配当や自社株買いなどの、「現金による直接的な株主還元」よりも、企業内部での再投資による将来キャッシュフローの増大=株主価値の増大を選択すべきです。
つまり、「配当をすべき」と、十把ひとからげで主張することによって、企業価値に対する理解の無い多くの投資家によって、「そうだ!配当だ!」と、「配当トレンド」が起こってしまえば、企業の株主価値創造の妨げになる可能性があると危惧します。
「配当の是非」、
「自社株買いの是非」、
「企業買収の是非」、
「買収防衛策の是非」
と、単なる経営手法そのものの是非を論ずることは、はなはだ馬鹿馬鹿しいことです。
これらのオペレーションを行う企業の、様々な角度からの「状態」を考慮しなければ、是非など論ずることは出来ないのです。
参考エッセイ:
KISS第39号「配当と株主価値」
板倉雄一郎 2005年7月29日
PS:
と書きましたが、僕は、今回取り上げたインタビュー記事の方のことを、結構好きなのです(笑)
そして、この新聞記事のおかげで、彼と直接メール交換する機会に恵まれました。
その点、とてもうれしいです。
そして、もちろん、数回のメールのやり取りの後、互いに十分理解し合えました。
良かったです。




















