板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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KISS 第75号「仕事とお金」

僕は、他人から「プレゼンテーションが上手だ」などと評されることが多い。
それが本当かどうか、自分自身では良くわからないが、そもそもプレゼンテーションの評価は他人がするものだから、きっとそうなのでしょう。

たとえば、女性を口説くとき(←これには結構自信があったりする(笑))、うまくクロージングまで持っていけるときと、そうでないときが、もちろんある。
その違いは何か?
結論は、とても簡単・・・心からその彼女を可愛いとか、抱きたいとか思い、その気持ちをストレートに表現したときに、クロージングは成功する。
が、「とりあえず、今日はこの辺で・・・」というときは、ほとんどまともにクロージングできない。
つまり、このケースの場合の成否は、少なくともテクニックではない。

お食事会で、「これはいける!」とか、「これはモノにしたい!」と、心から思った結果として、大失敗することは、ほとんど無く、また逆に、「この娘は、?だから、僕にはちょっと無理」とか思いながら口説いたところで、ほとんど成功したためしがない。

つまり、拡大解釈すれば、女性にもてる男性とは、すなわち「女性が大好きな男性」ということです。

女性を口説くケースばかりではなく、これは、プレゼンテーションにおいても、仕事においても、ほとんど同じだと、少なくとも僕は、経験的に確信しています。
つまり、プレゼンテーションの上手さとは、プレゼンしようとする商品なり、考えなり、つまり自分自身について、心から自信を持っていることとイコールです。
身振り手振りでもなければ、パワーポイントの使い方でもありません。
つまりテクニックではありません。

自分自身の考えや行動に、心から自信を持つことが、仕事の成否をわけるとすれば、どのような仕事を選ぶかという段階で、仕事の成否が決まるともいえる。

いい子ぶるわけではないが、たとえば、誰にでもわかる仕事の分類の中で、僕がやりたいと思う仕事とは、「環境ソリューションビジネス」や「教育」がある。
地球環境を改善するビジネスや、表面を詰め込む教育ではなく、考える力を付ける教育などは、少なくとも僕の場合、取り組んでいる最中に、自分のしていることそのものに疑問を抱かずに、続けることが出来ると思う。
もちろん、その効率だとか手段に関する疑問はたくさん湧いてくるだろうし、もちろん解決することも出来ると思う。
しかし、その本質が、「とにかく社会に貢献している」という「安心感」に包まれていれば、自分の行為を正当化するイイワケを、いちいち考える必要が無く、純粋に仕事に取り組める。
その結果として得られた金は、誰にはばかることなく、消費や投資として自分の好きなように社会に還元することが出来る。

仕事の結果、手に入れた「その金」は・・・
一体誰から移転された金で、
その誰かは、金と引き換えにどんな価値を手に入れたのか、
=自分はその金を得る代わりに、どんな価値を提供できたのか?
そして、その行為は、社会に対してどのようなインパクトがあるのか?
などを、常に考え行動していない人を「悪」だとは、思いません。
思いませんが、少なくとも僕は、以上を考えた結果、その動機と手段において、自分自身が納得するような仕事でなければ、安心してやっていられない。
なぜなら、その結果、ビジネスとしての成功を収めても、それが自分自身や社会の犠牲の上に成り立っていると後に気がついたとしたら、それは取り返しがつかないほど、苦しむことになるだろうから。
「僕は、こんなことのために、金を追っていたのか」と後悔する人生など、真っ平ごめんです。
この場合のビジネスでの成功は、人生の失敗にしかなりません。

問題は、以上のような考察を常に行っていたとしても、時間の経過と共に、「最初は、これでよいと思っていたけれど、どうやら違うらしい」とか、「世間は、自分を?と評価するが、それは自分がしたかったことではない」などと思うことが無いわけではないことです。
その場合でも、考えて行動した結果と、単にお金を追うための仕事を続けた場合とでは、ダメージがずいぶんと違うと思いますが。

僕は、自分の知識や能力と比して、金儲けが下手だ。

2005年5月26日 板倉雄一郎

PS:
明日以降、会食、取材(これを最後に、慎重な取材打ち合わせ無しに取材は受けない)、地方講演、合宿セミナーと予定が詰まっていますので、週明けまで、エッセイはお休みです。
しつこいようですが、KISSのバックナンバーをお楽しみください。
KISSは、その導入で時事ネタを取り上げてはいますが、そのコンテンツは、時間の経過によって劣化するものではないと自負しています。





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