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KISS 第84号「教育と国力」

本日(2005年6月13日)のテレビ東京の朝の番組「オープニングベル」にて、「九九プラス(3338)」が紹介されていました。
その中で、同番組のアナウンサーが、同社の経営方針として、
「株主への還元は、『株式分割』によって行う」との紹介をしていました。

はぁ?(←ちょっと疲れ気味の感じでね)

もしこれが、アナウンサーのミスではなく、本当に同社の経営者が、株主への便益配分として、まじめに発言しているとしたら、呆れてしまいます(笑)

僕も、毎日、銀行に行って、1万円札を千円札10枚に交換しよっっと(笑)
だって、それで資産が増えるんでしょ????(笑)

日曜日の「サンデープロジェクト」では、「リップルウッド」が特集されていました。
ティモシー・コリンズ氏にも、取材の焦点が当てられていました。
「ハゲタカなのか?」なんてテーマだったような気がしますが、彼らをハゲタカなどと評するのは、「高く評価しすぎ」です。
彼らがハゲタカに『見える』その理由は、我々日本人が、あまりにも、「鳩」だからに他なりません。
彼らは、経営効率の悪い企業(=経営手腕の無い経営者によって経営されている企業)を買収し、「当たり前の経営」を持ち込むだけで、収益を得ることができます。

最近のどの経済的なテーマを拾ってみても、その根本には、日本企業の経営者の無能ぶりが垣間見えます。
優秀な労働力に支えられているだけなのに、無能な経営者の方が報酬多いのです。
もちろん、中には、「給料泥棒」のような労働者も居るでしょうけれど、そんな彼らの給与さえ補えるのは、やはり他の優秀な労働力だったりします。
経営者の能力ではありません。

上場企業の経営者にお会いし、ちょっとした会話をするだけで、「あんた良くもまぁ、経営者やってますね」といいたくなるような人、多いです。

KISS第80号「日本企業の時価企業価値」や、
KISS第26号「日本人が今、考えなければならないこと」や、
KISS第11号「おめでたい経営者」などで書いたことですが、
「国策として」、上場企業の経営者(=取締役)は、「免許制度」にしたらよいと思います。
免許だと立法が必要になるので、これまたファイナンスオンチの政治家を動かすという面倒があります。そこで、東証なりが、上場審査基準にそれを持ち込めば良いのです。
最低限の企業価値創造メカニズムに関するテストを実施して、審査基準にするとか。
馬鹿馬鹿しいアイデアでしょ?
本来、投資家が彼らを評価し、株価に反映されればそれで良いはずですが、その投資家のリテラシーが低いのですから、こんな馬鹿馬鹿しいアイデアでも実施しなければ、いつも僕が危惧しているように、「労働は日本人、その他の経済的付加価値は、外資の手へ」となってしまいます。

根本的な解決のためには、小学生の義務教育の段階から、「資本主義の仕組み」を教えることが必要です。
「資本主義の仕組みを理解すること」=「金の亡者になること」と思う人は、その判断を「資本主義の仕組みを理解してから」もう一度考えてみてください。

我々は資本主義経済の中に生きています。
なのに、
「義務教育」の中で、それについて教えてもらったことありますか?
「親」が、教えてくれましたか?(そもそも親もわかっていないですからね)
それらの策を考え、立法する政治家や官僚は、資本主義について理解している人たちですか?

僕は、自分に子供が居れば、その子にサッカーのルールも教えずに、ピッチに送り出したりは、絶対にしませんけれど。

自動車を売りすぎたり、押し付けられた債券を売却したりすれば、そりゃ(どこかの武力国家から)怒られるでしょう。
でも、資本主義に関する教育によって、国民の教養を高めようとするなら、怒られないでしょ?
これは、気の長い話のようですが、10年もあれば効果が現れます。
バブルが崩壊してから、もう、15年が過ぎようとしています。

2005年6月13日 板倉雄一郎





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