板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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KISS 第9号 「不公平とは」

本日、お会いした、ある信頼できる方から、驚くべきことをお聞きしました。
内容は、またかよ「ライブドア」関連と言うわけです。
(注意:以下の文章中、「ライブドア取締役の発言」は、僕自身が直接確認した内容ではありません。よって、以下の文章は、「もし、この発言の趣旨に間違いが無かった場合」という前提の下に書いています。)

その方の情報によると、ライブドアのある20代の取締役の発言は・・・・
「そもそも、既存株主の中でも、安く買った人も居れば、高く買った人も居る。(中略)
以前に買った株主は、今買っている人より安く買っているという不公平が元からあるのだから、
不公平なのは、仕方が無い。」(趣旨抜粋)
僕は、耳を疑ってしまいました。

説明する必要も無いと思いますが、相場の中で投資家が、高値掴みをしたり、安値で仕込めたりするのは、(企業からの情報開示が正当に行われている場合に限り)不公平と言うものではなく、単にタイミングの問題です。
つまり、その投資家自身の問題であり、成果なのです。
一方、今回のMSCBのように・・・・(これまたしつこいですが(笑))
「全く同じリスクのものを、
ある特定の人に、
それ以外の人と同時期に、
それまでの株主に断り無く、
割り引いて販売する」
と言うことは、まさに不公平そのものです。
それとこれの区別がつかないのでは、こりゃもうしゃあないですわな(笑)

以前に今より安く投資した人は、今投資する人に比べ、長い時間リスクをとり続けてきたわけですから、その分キャピタルゲインを得て、当たり前です。
もちろん、投資家の目論見が外れて、キャピタルロスになる場合もありますが、ゲインとロスのどちらの場合も、不公平どころか、取ったリスクに対して公平そのものです。

もし上記のライブドア取締役の発言が本当だとしたら、彼らのしていることは、
「上場企業という器を利用した性質の悪いサークル活動」としか言いようがありません。
それも、多くの投資家の資産を巻き込んでの・・・・。

堀江あたりに、これから出てくる起業家が、ミスリードされないことを祈るばかりです。
また同時に、その取締役の発言内容は、僕に伝わる過程で、趣旨が捩れてしまったのだと、思いたいところです(笑)

なんだか、ホリエモンがかわいそうに思えてきました。
彼らは、自分達がしていることの本質を、理解できていないのでしょう。
結局、ホリエモンは、他の誰か(笑)の思惑の中で、
その「フロントライン」に立たされてしまったのではないでしょうか。
そもそもメディアの買収とその後の経営がうまく行ったことなど、あまり聞いたこと無いですからね。

(以上の文章は、しつこいようですが、また聞き情報を元に書いています。
「ライブドア取締役の発言」そのものについて、僕は全く保証いたしません。)
っていうか、「まさか」上記のような発言を上場企業の取締役が、
「するわけ無いですよねぇ・・・まさか」(笑)

メディアの方々へ、「ライブドアVSフジテレビ」という切り口では、本質を見落としますよ。

2005年2月18日 板倉雄一郎 

PS:
風邪が流行っております。
皆さん、十分に気をつけてくださいね。
価値を生み出すのは、人間そのものですから。

それから、
「板倉さんは、今回の件で、むきになっているのではないですか?」
というメールを読者の方から頂きました。
はい。僕は今回の件で、むきになっています。
ですが、堀江君に対してではなく、新しく生まれてくる起業家が、堀江のようなものにミスリードされることがないように、むきになっています。
この点、お断りしておきます。





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