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KISS 第47号「広告と情報価値」

情報には、当然ながら価値があります。
たとえそれが、企業の商品の情報であれ、個人の日記であれ、とにかく情報には、それなりの価値があります。
主に広告収入によって成り立つマスメディアを前提にした場合、多くの人を魅了する個人のキャラクターや、話題の報道を、「金を払ってでもメディアに載せたい」と、メディアは考えるわけです。
なぜなら、その情報価値によって、視聴者、聴視者や読者が増え、結果的に「リーチ(=告知力)」が得られ、そのリーチを担保に「広告収入」が得られるからです。
これら広告も含めた情報価値を、キャッシュフローによって分類すると・・・
(1)リーチを得るための一次的な情報=いわゆる番組などのコンテンツ=情報を提供する代わりにキャッシュインとなる。
(2)コンテンツによって得られたリーチを利用した情報提供=いわゆる広告=情報を提供させてもらう代わりにキャッシュアウトとなる。
さらに、(1)と(2)の中間に位置する広告を兼ねた情報=いわゆるペイドパブ=情報を提供する代わりにリーチも得られるので、キャッシュアウトとはなるが、(2)よりキャッシュアウトは少なくなる。ただし、広告主の表現したいことを100%満足するかどうかは、わからない。
と分類できます。

さて、以上は、あくまで「インターネット」の存在を無視した、あくまで「マスメディア」のビジネスモデルから分類される情報価値の種類と言うことになります。
ネットの登場が社会にもたらす影響については、KISS第13号「ネットとは」。
これを、まずはご一読いただいた上で、以下をお読みください。

僕自身のビジネスモデルを例に話を進めましょう。
僕は、「日本人のフィナンシャルリテラシーを向上させる」という理念の下、
自らの経験、学習そして考えを、
このブログ、書籍、講演、そしてマスメディア上のコンテンツという様々な手段で社会に提供しています。
もちろん、
「板倉の情報なんて必要ない。」とか、
「板倉情報は迷惑だ。」と思われる方もいらっしゃるとは思います。
ですが、おそらく、僕が発信する情報に価値があると思っていただける方が、少なからず存在するのでしょう。その結果、僕は、「来るもの拒まず」という情報選択の可能なネット上のコンテンツに限らず、ある意味「押し付ける効果」のある、マスメディアにも、出させていただいているというわけです。
以上の、僕のビジネスモデルを整理すると・・・
1、 自分自身が生み出す情報を情報選択式のネット上で、公開する。
2、 検索エンジンなどを経由し、興味のある方が訪問される。
3、 僕のコンテンツに価値があれば、話題になり、バイラルに視聴者(ヒットやページビュー)が増える。
4、 場合によっては、僕の情報価値を、マスメディアが、彼らのリーチを得るために利用しようと考える。
5、 僕は、僕自身のリーチを得るために、マスメディアに出演する。
6、 マスメディアを通じて得られたリーチは、結果的に、このブログの訪問者を増やす。
7、 僕は、このブログのリーチを利用して、講演やセミナーの集客をする。
8、 講演やセミナーを通じて、情報価値を提供し、その見返りに「お金」を頂く。
9、 頂いた「お金」を、生活や学習、そして理念に基づいた活動に費やす。
10、以上で余った「お金」は、僕が育って欲しいと思う「人や企業」に投資する。
(間違っても、必要以上の銀行預金やタンス預金はいたしません。
社会から頂いたご褒美は、可能な限り早く社会に還元することを理念としています。
詳しくは、KISS第31号「お金とは」をご一読ください。
お金は、社会に対する「議決権」なのです。)

という、サイクルをもって、僕のビジネスモデル(というか、活動モデル)としているわけです。
このモデルの場合、「広告費」が、どこにも存在しないことにお気づきでしょうか?
広告費抜きでも、リーチを得られている理由は、僕個人が提供する情報に価値があると思っていただける方が、少なからずいらっしゃるからです。

しかし、情報価値は、放っておけば陳腐化してしまいます。
同じ情報ばかりを提供していれば、いずれその価値は減衰してしまいます。
つまるところ、僕は、広告費などではとても解決できないほど大きなコスト(=努力)を、学習、情報収集、情報分析、情報表現のために、費やしているということになるのでしょう。
しかし、その努力は、同時に、自分自身の価値を高め、自分自身が豊かに暮らすための肥やしにもなっているというわけです。

電波やネットという「器」そのものに、価値が無いとは思いません。
しかし、「器」そのものに価値はあっても、価値を「創造」することは出来ません。
箱と箱をくっつけたり、はがしたりするだけでは、価値創造は行われません。
価値を創造するのは、人間なのです。
人間の集合としての企業が、初めて社会の中で価値創造を行うことが出来るのです。
電波やネットは、人間の価値を効率よく流通させるための媒体に過ぎません。
テレビとネットが融合することによって、テレビ局や、媒体としてのネット運営者以上に、情報価値=コンテンツそのものを生み出し続ける者が、最も多くの便益を得られてしかるべきです。
そうでなければ、ただの「器」は、それ自体の価値さえ失ってしまうのです。

2005年4月日 板倉雄一郎 (Japanese by Nature) 

PS:
風邪と花粉症の合併症らしく、全然頭が回転しません。
が、本日は、講演があったりします。
価値提供を継続するためには、「健康」は、最も重要というわけです。
当たり前のコンコンチキでした(笑)





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