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KISS 第56号「好きこそ、金の稼ぎなり」

「好きこそ、ものの上手なれ」という言葉は、ご存知かと思います。
好きなことをやっていれば、上手になれるということですね。
僕も、大賛成です。
これを経済に発展解釈すると、「好きこそ、金の稼ぎなり」となると思うのです。

たとえば、「音楽で食って生きたい」と思う人が居ます。
彼は、ある程度、彼自身に音楽の才能があると判断し、
また、他の仕事より、音楽の方が楽しいと思うことによって、
「音楽で食って生きたい」と思うようになるわけです。
始めのうちは、食えなくても仕方がない・・・そのうち食えるようになるさ。
と、毎年毎年、「いつか食えるようになる」と信じて、音楽を続けます。
しかし、たいていの場合は、それで生計を立てられるようにはならないものです。
いつしか、ブレイクした音楽家を批判するようになったり、
自分がブレイクしないのは、世間の評価が悪いのだと思うようになったりします。
そして、多くの人が、夢を捨てます。

以上の彼は、本当に音楽が好きなのでしょうか?
現実に、音楽で食っている人(=プロ)と同じぐらい音楽を愛しているのでしょうか?
僕は、違うと思うのです。
彼は、音楽を愛していたのではなく、
「金を稼ぐ手段として、音楽を利用したかった」だけなのではないでしょうか?
そして、その考えが、彼の音楽を通してにじみ出、
聴く人を魅了できなかったのではないでしょうか?
聴く人が、「金を払ってまで聴くほどの音楽ではない」と判断したのではないかと思うのです。

僕は、中学からギターをやっていました。
当時は、ご他聞に漏れず、「ディープパープル」から始まり、
「ジェフベック」や、「エリッククラプトン」と王道(?)を辿り、
ここ10年は、(弾くことはありませんが)「パット・メセニー」に惚れています。
ちょっと、ジャンルは違いますが、「エドワード・ヴァン・ヘイレン」も大好きです。
余談ですが、僕がギターを止めたきっかけは、「パット・メセニー」の演奏を観たことがきっかけでした。
「俺には、無理だ。」
考えるまでもなく、当たり前のことですが、彼のパフォーマンスは、僕をして、非常に素直に、そう思わせてくれました。
彼らのナニがすごいのか?
早弾きなどの演奏技術?
巧みなメロディー?
奏でられる魅力的なサウンド?
確かに、これらも魅力の一つではあります。
しかし、僕が、彼らを「すごい!」と思う最も大きな原因は、他でもなく、
「楽しそうに、演奏する、その姿」なのです。

「これ以上の楽しみなんて、あるわけないやんか!」といった気持ちが、彼らの演奏から非常に強く伝わってくるのです。
小さなスタジオに、とびっきりのミュージシャンが集い、DVDの収録にあたる「パット・メセニー」しかり、
大きなコンサートホールの舞台を駆け回りながら、ギターをかき鳴らす「ヴァン・ヘイレン」しかり、
彼らの頭の中に、「今日は客が一杯入っているなぁ?儲かりそうだ」だとか、
「今日の演奏は、結構いけてるから、きっとDVDが売れるだろう」などと、
その収益を思い浮かべながら、演奏していることなど、あるわけないのです。

彼らは、それが楽しくてたまらないからやっているだけなのです。

楽しくて、楽しくて、たまらなくて、次々に新しい発想が出てきて、新しい創造を止められないのです。
その結果、生まれた音楽には、多くの人を魅了し、多くの人が、「金を払ってでも聴きたい!」と思うのです。
結果、彼らの元には、莫大な金がもたらされるのです。
社会に対して行った価値提供に見合った金しか、社会は支払ってくれないのです。
提供できる価値を最大化するために最も合理的な方法は、
「好きなこと」を、とことん追求することなのです。

「好きこそ、ものの上手なれ」・・・「好きこそ、金の稼ぎなり」
金が欲しければ、金を追うのではなく、自分が出来る社会への価値提供を追及することです。

ただ、それだけのことです。

2005年4月20日 板倉雄一郎 

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僕は、受講生の「なるほどぉ?!」という顔を拝見するのが、楽しくてたまらないのです。





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