板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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KISS 第77号「告知力」

一昔前、ライブドアのホリエモンは、「フジテレビのリーチが欲しい」と豪語していました。
ホリエモンに限らず、多くの新興企業は、どういうわけか「リーチ(=告知力)」が大好きです。
書く言う僕も、告知力を意識したがために、「朝まで生テレビ!」をはじめとするテレビ番組の出演依頼を、快く受けてまいりました。
おかげで、当事務所WEBのアクセスは、劇的に上昇し、その後なだらかに低下し、それでも、長期で安定的なアクセス増となっています。

「リーチ(=告知力)」って、本当に、いかなる場合でも、経済価値を生み出すのでしょうか?
有名になることは、その企業や個人にとっての経済価値の増幅に役立つのでしょうか?
考えなければならない問題は・・・
告知力を得ることによって、リニアに商品などの販売が伸びるのか否かです。
つまり、告知力を得るための「コスト」は、果たして、その告知力の結果生まれる利益を上回ることができるのか否か、という問題です。

告知力を得ようとするのは、企業に限りません。
必死でブログを書いている個人にしても、
ネットショッピングに取り組む零細企業の独特な商品の通信販売にしても、
個人そのものの人気やビジネスチャンスを得るための名刺交換や「名誉職への就任」などにしても、広義でいうところの告知力を得るための手段です。

そんなに告知力を欲しがる、その原因は・・・
「もっと宣伝するコストをかけることが出来れば売れるのに」
「もっとメディアが取り上げてくれれば、売れるのに」
「私が評価されない原因は、告知が足りないからだ」
などと、「売れない原因」、「評価されない原因」を、告知力不足にあると、何の根拠も無しに断定しているからではないでしょうか?
確かに告知は、やってみなければどれほどの効果があるかわかりません。
この「効果が予測できない」ということを、逆手にとって、「試していないこと(=告知にコストをかけてみる)が問題の原因」としてしまう傾向って、実は、あるのではないでしょうか。
いわば、一種の「問題先送り」というわけです。

ゴールデンタイムのCM枠を買えば、その商品は本当に売れるのか?
日に何十枚もの名刺を交換すれば、ビジネスチャンスは本当に得られるのか?
名誉職に就けば、その人は本当に認められるのでしょうか?

あなたは、告知力さえあれば、本当に売れるのでしょうか?

ネットを前提にした社会では、マーケットのバイラル効果(「口コミ」などによる情報伝達)が加速します。
よって、価値ある情報を創造できる個人には、たとえ一時的な告知力が得られなくても、自然と「その価値に相当する程度の告知力」は、得られるはずです。

「売れるか売れないか」を告知力の問題とする前に、まずは「売れる商品」に、自分自身を仕上げることが大切だというわけです。

良く見かけるのですよ、自分が売れない、評価されない原因が、告知力不足にあると「勘違い」して、自分のタイトルやメディア出演や名刺交換に奔走する人。
可愛そうに思います。

そうそう、恋愛においても・・・
「彼女に対するアプローチがまずいんだよね、僕は」って、
アプローチ以前の問題だったりする男、居ませんか(笑)?
「私、ファッションにお金と時間をかけられないから・・・」って、
ヴィトンやシャネルやエステ通いが、もてる理由だと思っている女性、居ませんか(笑)?

他人に提供できる価値を持ち合わせていない状態で、無理して告知力を得てしまえば、逆効果になりますよ。ホント。

2005年6月1日 板倉雄一郎

PS:
昨日は、久しぶりに「鳥つね自然洞」にて、名古屋コーチン、秋田比内鳥などを食べてまいりました。
お通しから、いきなりびっくりするほど美味しかったです。
最後に出される「黄身がオレンジ色の卵」を使った「親子丼」は、サイコー!ですが、食べ過ぎてしまいました。
今日は、絶食です。
最近、ひたすらデブが加速しています。





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