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KISS 第90号「インプット・モード」


首長たちよ、
いつまでも己のことばり
考えていてはならない
いつまでも己の世代のことだけを
考えていてはならない

子孫の代のことを
子々孫々
まだ見ぬ子供たち
大地から生まれてくる
子供たちのことを考えるのだ

西暦1000年頃、イロコイ連合を建国したピースメーカーの言葉

だそうだ。

このところ、エッセイのアップ頻度が落ちています。
今度は「ネタ切れ」ではなく、「インプットモード」なのです。

出してばかりじゃ、情報価値が枯渇しますし、
入れてばかりじゃ、意味がありません。
ということで、In?Out?In?Out?・・・
(↑朝からすんまそん(笑)・・・「時計仕掛けのオレンジ」風です。)
という短い期間のIn?Outだけではなくて、長期でも(少なくとも僕の場合)、この波があるわけです。
ちょうど、フラクタルのように。

ある読者から、突然プレゼントが贈られて着ました。
良くあることなので、数日間放っておきました(←ごめんなさい)
中身を見たら、音楽CDやA4より大きめのフォト書籍に混じって、直径5cmぐらいの銀色の球状のものに導火線(?)のようなものが!
「爆弾!」と思ったら、キャンドルでした(笑)
そのA4サイズより大き目のフォト書籍を、ぴらぴらめくっていて、僕は驚いちゃいました。
その内容もさることながら、この本を、この読者の方は、なぜ僕に贈ろうと思ったのだろうか?
同封された手紙には、「社会に対する価値提供」という僕の言葉から多くを得られたのが、プレゼントの動機だそうです。
それが何しろ、驚きです。
普通、人生やビジネスのヒントを得ても、「いただきぃ!」ってだけでしょ。
この方、「Give and Given」で生きているのです。きっと。
さらに、このプレゼントパッケージから想像するに、「この本を、キャンドルナイトで、このCDを聴きながら読んでみてくださいね」とのメッセージを感じ取ることが出来ます。
まるで、気の利いた友人宅を訪問したときに、ブランデーと、それに良く合う葉巻で、もてなされたような心地よさを感じます。

この本の出だし・・・

「・・・・私は『死』と言う言葉を使った。
だが、『死』などというものは実際には存在しない・・・
ただ魂が生きる世界、次元が変わるだけなのだ。」

「んだ!」(←共感している感じね)
さらに読み進めると・・・

「すべてのものは、現在・過去・未来を通じて存在し続ける、人間の理解を超えた全体の一部である。」

「んだんだ!」(←さっさと先を読みたい感じでね)

この本、 「ネイティブアメリカン叡智の守りびと」 (築地書籍)
ネイティブアメリカンの写真と言葉、そして生き方を取材してまとめた書籍です。

すんごく、お勧めです。
プレゼントしていただいた読者の方に、この場を借りて、お礼を申し上げます。

人は、宇宙や自己に対する認識を本来持っています。
なぜなら、人、それ自体が、宇宙の一部だからです。
しかし、多くの人は、現代社会にもまれる中で、その感覚を喪失してしまっていると、僕は常日頃から考えています。
人が本来持っている能力や、古代から伝わる知恵・・・これらは、ネイティブアメリカンが彼らの言葉によって後世に伝えようとしているように、我々日本人の中にも、ことわざなどの言葉で受け継がれています。
僕は、このような根源的で、単純化された知恵を人生に生かしたいと思っています。

たとえばですが・・・
僕は、人にお会いするとき、その方の詳細な情報を、可能な限り「入手せず」にお会いするようにしています。
「そんなの相手に失礼だ」という意見もあるかと思います。
しかし、事前に入手できる情報など、その方の書籍だとか、職業だとか、そんな程度の情報に過ぎません。
下手に、そんな部分的情報を仕入れてしまうと、その情報に影響され、「その方そのもの」を感じることが出来なくなってしまうのです。
余計な情報を排除することによって、五感の働きを最大化することができ、その人そのものを「感覚として」理解できるのです。
もちろん、その方が、自分と同じ波長を持っていればの話です。

これまで、いわゆる社会的に成功されている方にお会いする機会がたくさんありました。
しかし、
どれほどビジネスとしてのチャンスが想定できる相手でも、
どれほど美形でセックスのチャンスを想定できる相手でも、
「なんか気に入らない」とか、
「なんかつまらない・・・伝わらない、響かない」といった感覚を持てば、僕は、その感覚に従い、それ以上のコミュニケーションを、「ひとまず」止めてしまいます。
一方、ほんの5分の会話でも、自分と相手の「共鳴」を感じれば、たとえその方が無名の貧乏人でも、垢抜けない女性でも、積極的にコミュニケーションをとろうとします。

20代後半?30代前半までの一時期、僕は、以上の感覚を忘れ、人をスペックで判断していた時期がありました。
ご存知のように、その結果は大失敗でした。
失敗と、その後の隠居生活(?)によって、自分の五感を信じることを取り戻すことが出来ました。
そんな自分の五感を信じたコミュニケーションは、今のところ、功を奏しています。

たとえば、当事務所の8名のパートナーについて、僕は彼らの学歴や職歴など、今でもよく知りません。
(↑嘘っぽいけど、ホントの話しです・・・ってか、彼らの過去の学歴や職歴なんぞに興味がないので覚えられないのです・・・興味があるのは、それらの過去によって形成された今の彼らそのものです。)
面接といっても、最初の数分で、僕はパートナーとしての関係を決めてしまうので、履歴書など見たこともありません。
僕の面接とは、自分の五感に問い合わせ、「この人と一緒に仕事をして楽しいだろうか?」を感覚的に判断するだけです。

僕は、魂同士の会話によって、その方を知りたいと思っています。
(だから、女性を口説くとき、その彼女から、
「まだ、逢ったばかりで何も知らないでしょ?」とか言われたり、
条件を提示されたりすると、がっくりこんなのです。
なぁ?んて(笑))

物事、その本質は、極めてシンプルな原理で動いています。
複雑に見えるようでも、その根源を探れば、至ってシンプルです。
僕は、感覚的に「映像として」それが理解できているのですが、今の僕の表現力では、上手に表現できません。
ある人は、その人の理解を、物理現象という側面から、数学を使い表現し、
またある人は、その人の理解を、音や言葉という側面から、音楽を使い表現する。
様々な人が、何かに気がついたとき、表現手段させ持ちあわせていれば、その気づきを社会に伝えることが出来ます。
今の僕は、せいぜい、資本主義の本質について、文章やセミナーで伝えるのが、精一杯です。
彼らネイティブアメリカンや、詩人に比べれば、僕なんぞ足元にも及びません。

しばらく、思いつきのエッセイを書きながら、インプットの時間を楽しんでみたいと思います。

2005年6月24日 板倉雄一郎

PS:
KISS第89号に対して、面白いコメントを頂きました。

「仕込んだ次の日に、株価が10%下げれば、買い増しできるのが個人投資家、
仕込んだ次の日に$が10%下げれば、席が無いのがディーラーです」

面白すぎます(笑)
この方、僕の(夜遊び)友人ですが、おそらく日本人の為替ディーラーとして5本の指に入る腕利きです。
「ディーラーやファンドマネージャが、稼いでも稼いでも憂鬱な理由」について、今度書きますね。

PS^2:
週末は、ワクワク合宿セミナーです。
主に、アウトプットしてきます。
が、きっとインプットもすごくたくさんあるはずです。
楽しみです。





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