板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

企業価値評価・経済・金融の仕組み・株式投資を分かりやすく解説。理解を促進するためのDVDや書籍も取り扱う板倉雄一郎事務所Webサイト

feed  RSS   feed  Atom
ホーム >  エッセイ >  Keep it simple,stupid  > KISS 第18号「いんたらくてぃぶぅ~」

KISS 第18号「いんたらくてぃぶぅ~」

***まずは、臨時アップデートです***

ライブドアのMSCBの内容を、よーく見てみたら、コールオプションがついているのね。
「当社が本社債を繰上償還する場合、又は、当社が本社債につき期限の利益を喪失した場合には、償還日又は期限の利益喪失日以降本新株予約権を行使することはできないものとする。」

ならば、なおさら、フジテレビのTOBに応じて、キャピタルゲインを稼いで(あれ?フジのTOB価格だとキャピタルロスになっちゃうのかな?)、CBが株式に転換される前に、繰上償還したほうがいいよ。
リーマンと、その辺の打ち合わせ(買収の成否が確定するまでは、行使期間であっても株式に転換しないとかね)が出来ているなら、大丈夫だけどね。

***以上、臨時アップデートでした***

自分の文章を読み返していて、僕はあることに気がつきました。
つまり僕は、愚かだった自分の過去と堀江君の今を(今と昔では、直接金融においても、ITにおいても、そのマーケット規模が違いますから、自ずと僕のあの頃と堀江の今は、その規模が全然違いますが・・・)重ね合わせているのですよね。
その上で、
「あの時の自分に、今の僕のような者がアドバイスをくれて、
それをあのときの自分が直に聞くことができていればなぁ?」
との、届かぬ思いを、自分ではない者にぶつけているのですよ。
生意気に言うならば、堀江に対するアドバイスなのですよ。

それでは、ちょっとだけ関連がありますが、基本的には一般論として、
「いんたらくてぃぶぅ?」です。

巷の消費者は、本当にTVがインタラクティブになることを望んでいるのでしょうか?
新しいものには、皆、興味を惹かれます。
それは、わかります。
TVドラマを見ていて、ある場面で流れている楽曲を、その場で買うことが出来たり、
好きなタレントが着ている服を注文することが出来たり、
TVドラマの行方を、視聴者の投票によって、リアルタイムに変更することが出来たり、
そういうことは、過去にも何度か規模は小さくても、試されてきました。
確かに、最初「だけ」は、その目新さに興味が集まると思うのです。
ですが、以上のようなサービスが、継続されたことは、ほとんどありません。
歴史的にも、そうなのですから、地上はデジタルでも、IT企業とTV局の提携でも、それが実現されても、企業としての価値創造に、本当につながるとは、僕には、思えないのです。

インタラクティブとは、英語の語源としての意味は、
「Inter」+「Active」なわけで、つまりアクティブ同士を繋ぐってことです。
アクティブ同士を繋ぐってことは、見ているこちらも、アクティブでなければ、その恩恵を十分に受けることが出来ないと言うことです。
確かに、パソコンに向かい、ネットサーフィンをしている最中は、こちらも「おもろい情報は無いものか?」と、かなりアクティブに接しているわけですよね。
だから、ネットは面白いのです。
ですが、常にアクティブじゃ、疲れちゃいます。
非インタラクティブメディアであるところのTVを見ているときぐらい、鼻くそほじりながら、「へぇ?」とか思いながら、イイカゲンに観ていたいのですよ。
パソコンでネットサーフィンしているときに、鼻くそほじくっていたら、キーボードやマウスが、鼻くそだらけになっちゃうじゃないですか。
でも、TVなら、鼻くその悪影響は、最悪でも、せいぜいリモコンのボタンが押された状態で、戻ってこなくなるぐらいですよ。
んなもの、テーブルの角に、ボタンが動かなくなったリモコンを、2,3度ぶつけてやれば、直ります。

DVDだって、そのほとんどは、一度スターとさせたら、最後まで(おしっこでトイレに行くときに、ポーズをするぐらいで)、通しで観るじゃないですか。
僕、身の回りのものが、なんでもかんでも、インタラクティブになってしまう未来には、暮らしたくないなぁ。
疲れちゃいますよ。
究極のインタラクティブであるセックスと、究極のパッシブであるマッサージと、それぞれあるのがいいでしょ。
どっちかだけになっちゃったら、いやだよ(笑)

2005年3月1日 板倉雄一郎 

PS:
ニッポン放送の、新株予約権のフジテレビに対する第三者割り当ては、まずいですよ。
こがまずいからといって、それで堀江君が正しいとするのが、世の愚かさなのですよ。
「VS」という構図で報道するから、こんなへんてこりんが起こるのですよ。

堀江のMSCBも、フジテレビのそれと同程度にまずいのですよ。
でも、堀江って、根性あるよね(笑)
自分がやった有利発行(MSCB)はOKで、自分が投資した企業が有利発行すると、司法に訴えるんだからね(笑)
自分が株主の立場で有利発行をやられて始めて、堀江君もわかったでしょ・・・
ニッポン放送買収のために自分が実施した800億円のMSCBが、ライブドアの株主の犠牲の上に成り立っていることを。
(まあ、その企業の株主がOKと言うことなら、OKなんですけどね)





エッセイカテゴリ

Keep it simple,stupidインデックス