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KISS 第65号「社会幻想と制度」

昨日のエッセイ(第64号「組織」)について、ある読者からコメントを頂きました。

以下、抜粋です・・・

KISS64号の組織論面白く読ませていただきました。
人は、労働力を売って金を買っていると考えれば、まったくそのとおりですね。
労働力も市場の原理で動いたほうが効率的です。この考えの上では、労基法が
邪魔な存在に見えてしょうがありません。企業は、労働力を買う上で、労働者
に金を売り、さらに社会保障をセット販売しなくてはなりません。また、労働
力を時間で売り買いする規制もセンスゼロです。社会保障は、出口で一元化し
て抑えればオッケーと思っちゃいます。正当な生活保護のみ。これからは、企
業は、労働力を個人事業主から調達すればよいと思います。

男と女の関係も一緒ですよね。結婚という制度は、まったく合理的でありませ
ん。自ら、不倫の権利を放棄しながら、不倫(不法行為)をしてしまう人多過
ぎます。

・・・以上抜粋でした。

ハッキリしていることは、
「制度が生産性を向上させたり、人を幸せにしたりはしない」
ということです。

いや、むしろ、
「やかましい国民を増やさないように、考えない国民を育てよう」
という意思が、様々な制度の中に、潜んでいます。

たとえば、源泉徴収制度や、年末調整などは、
「サラリーマンが、税や社会保険について考える機会を無くす」
という効果を持っています。
すべての人が、個人事業主のように、自ら「確定申告」を行うようになれば、「一体どのくらいの金を何のために支払い、その便益として何を得ているのか?」と言うことについて、考える機会が得られるはずです。
すると結果として、制度や仕組みについての学習をすることになり、その上で「選挙の投票率」も上昇するでしょう。

結婚制度についても、組織内での昇進についても、
「それが何を意味するのか?」
「そもそも、何のための制度なのか?」
について考えた上で、結婚や昇進を選択する人は、おそらく多くは無いでしょう。
「企業に入社した以上、最後は取締役まで上り詰めてやる!」と思う人が少なくないことと同様、結婚についても、「好きだから結婚したい」などという、「全く意味不明」な衝動なのでしょう。
企業の取締役は、執行側であるところの従業員の最終目標ではなく、あくまで株主の代表であることは言うまでもありませんし、結婚という「制度」によって、愛が育まれるわけでもありません。

まあとにかく、
その定義が非常に曖昧な「常識」であるとか、
それが効率的であるか、誰も担保していない過去からの慣習であるとか、
それが安心である根拠など無い「右習え」であるとか、
そういう社会幻想が、人の幸せを奪っているように思います。

ところで、社会的、経済的に自立している人間にとって、
結婚すると、なんか良いことってあるのでしょうか?(笑)
結婚するということ「でしか」得られないことって、何ですかねぇ???

ああ、「ファミリー割引」が適用になるのね、、、なるほど。

(あのぉー、「結婚するのはアホだ」とか、「結婚制度は悪だ」と書いているわけではありませんので、あしからず。)

ところで、あなたの会社の社長さん、「IPOするぞぉ!」とか、叫んでいませんか?(笑)
「目的は何ですか?」と、聞いてやってください。

2005年5月10日 板倉雄一郎





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