板倉雄一郎事務所 Yuichiro ITAKURA OFFICE

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KISS 第81号「勘と理屈」

以前にも書いたことですが、僕は「理屈っぽい」と評されます(笑)
冗談じゃありません。
僕は、多くの判断を「勘」に頼っています。
頼ると言うか、自分の「勘」を信じています。
ただそれを、他人に伝える時、「なんかいい感じなんだよねぇ?」では、説得力がないと思うので、人に伝えるために、自分の「勘」による判断を、左脳で一生懸命、論理的に説明しようとするだけです。
結果、他人には、「理屈っぽい」となるのでしょう。

ノーベル経済学賞や物理学賞の受賞者の多くも、「ほとんど勘ですよ」と答えています。
彼らもまた、他人に対して、自分の「勘」による結論を説明するための「言語」として、数学を使ったりするだけの話しです。
彼らの多くは、僕の分類では、間違いなく「理屈屋」ではなく、「アーティスト」です。

たとえば、僕が投資対象の企業をスクリーニングするとき、現在では、当事務所主催「実践・企業価値評価シリーズ・合宿セミナー」で教えているような、エクセルを使った詳細な分析は、実は、していません。
会社四季報で簡単なスクリーニングを実施し、「なんかいい感じだな」って思ったら、その後、有価証券報告書に目を通し、その「勘」を確認する程度で、投資判断をします。
(まだまだ、その「いい感じだな」を、有価証券報告書によって、否定されることが多いです。)

「なぁ?んだ、じゃあ、俺も、それでいいや、めんどくさいから」などと、それこそ「勘」違いしないでくださいね。
その「勘」は、地道な学習と、失敗による経験などによって得られた「企業を見る目」の上に成り立っている「勘」ですからね。
つまり、今教えていること(エクセル使ってガリガリ)を、僕も長いことやってきたと言うわけです。

「勘」による判断は、非常に重要です。
この「勘」による判断が出来るのが、計算機と人間の脳の最も大きな違いの一つです。
人間の「勘」は、人間自身も自覚が無い状態での複雑な計算の結果であると思っています。
よって、「勘」には直結しないような学習と経験の積み上げが、「勘」を磨くと言うわけです。
あるとき、自分の「勘」を、信頼できるようになると言うわけです。

話し変わります・・・

不動産投資信託やら、銀行による不動産を対象にした融資が急増らしいです。
フムフム。
そもそも、価値「創造」を行わない投資対象(不動産や債券など)の場合、そこに資金が殺到すれば、価格が上昇し、結果、利回りは低下します。
僕には、「ババ抜き」にしか、見えませんけれど(笑)

一般の人が、その投資対象に目をつけた頃には、既に美味しいところを、プロに持っていかれているわけで、最後に残ったプロは、「誰かに譲らなければ、自分の利益が確定できない」と言うことで、わいわいやるわけです。
わぁ?い。わぁ?い。

また、話し変わります・・・・

DCF法によって、企業の理論株価などを算出すると、「その価格まで裁定が進めばお終いか」などと誤解されることが多いのです。
ちゃんと、経済価値創造を行っている企業の場合、理論株価と全く同じ株価(=つまり、裁定余地が無い)で投資しても、時間と共にしっかり稼げます。
なぜなら、時間の経過と共に、「将来キャッシュフロー」が、「足元キャッシュフロー」に変化し、企業価値が増大するからです。

「価値があるものを安く買う」のと、
「価値創造を行う対象に投資する」のの違い、ちゃんと把握しましょう。
この国の最も貴重な資源は、労働力なのです。
その労働力が生み出す経済価値は、企業(この場合「農家」なども含めて)価値となります。

2005年6月7日 板倉雄一郎

PS:
「おりおば」は、今の原稿の倍ぐらいにしてくれ!ってリクエストを受け、これから勤しみます。
発売遅れます。
ごめんなさい。
遅れても、それ以上に価値を高めたいと思います。
よろしくです。

PS^2:
日経平均が下げていると、TVのニュースで聞きました。
ニュースで聞くまで、僕はわかりませんでしたよ。
だって、自分のポートフォリオは、全然下がらないもん。
下がっても、買い増しするだけの話しです。





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